高度でテクニカルなマシンであるチャンプ・カーは、コンマ1秒速くするために経験深いエンジニアが、長時間かけてデータの分析を行わなければならないことがある。
しかしながら、2度のブリヂストン・プレゼンツ・ザ・チャンプ・カー・ワールド・シリーズ・パワード・バイ・フォードのチャンピオンである、セバスチャン・ブルデイ(#1マクドナルド・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が今日知ったのは、チャンプ・カーを速くするために、時にはウォールにぶつかる必要があるということだ。
ブルデイが彼のニューマン/ハース・レーシングのマシンをターン4のウォールに強くヒットさせてしまったのは、モントリオールのサーキット・ジル・ヴィルヌーヴで行われた予選初日のたった3周目のことだった。しかし、ブルデイのマシンはその衝撃に耐えただけでなく、そこから復帰して栄光までも手にした。このシリーズ・ポイント・リーダーは接触から立ち直り、2.709マイルあるモントリオールのロード・コースを1分21秒193のベストラップで駆け抜けてトップに躍り出た。
過去2回にわたりモントリオールのブリヂストン・ポール・ポジションの勝者となっているブルデイ。様々な出来事が起こった初日の予選を制したことで、日曜日のレースにフロント・ローからのスタートが保証され、チャンピオンシップ・ポイントも獲得した。彼はターン4での予定外の接触を切り抜けただけでなく、第1シケインでミスを犯し、コース・アウトして芝生の上を走行しても無傷ですんでいた。
ブルデイはマシンをスライドさせながらも走行を続けたため、レッド・フラッグによるペナルティーを免れて最速ラップを失うことなく、この日のトップ・タイムを記録した。昨年のモントリオールの覇者であるオリオール・セルビア(#6ガルフストリーム・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、得意のカナディアン・ロード・コースでよい走りを見せ続け、今シーズン最高となる予選2位でフィニッシュした。
過去に2度のフロント・ロー・スタートと表彰台を獲得しているセルビアは、彼の最終ラップとなった12周目に1分21秒523の自己ベスト・タイムをマークし、このPKVレーシングのドライバーは初日のグリッドを4番手から2位に押し上げたのだ。
金曜日の結果で2005年の勝者に続いたのは、2004年にモントリオールを制したブルーノ・ジュンケイラ(#2ホール・イン・ザ・ウォール・キャンプス・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)で、3位のポジションを獲得。このブラジル人は1分21秒856を記録し、2004年のレースを制して以来、初めて訪れるモントリオールで3位に入った。
セッションの前半はネルソン・フィリップ(#4CTEレーシング‐HVMフォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が暫定トップに立つ一方で、半分のドライバーは最初の周に出るのを待っていた。チャールズ・ズウォールスマン(#34マイ-ジャック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)がスピンを喫してレッド・フラッグが出たため、トップ争いにストップが掛かり、ブルデイ、セルビアとマリオ・ドミンゲス(#19サニーズBBQフォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は最初のアタックを見送った。
30分あるセッションの中盤にグリーン・フラッグが振られて再開となり、そこから急激にトップ争いがヒート・アップ。セルビアがリスタート後の2周目にフィリップから暫定ポールを奪うと、ジャスティン・ウイルソン(#9CDWフォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)と2度にわたってポジションを入れ替え、それからブルデイが彼の5周目のラップにトップへ上り詰めた。
ウイルソンのルースポート・チームはレッド-ウォール・オルタネート・ブリヂストン・ポテンザに交換し、ブルデイを下そうと試みるが、フランス人のブルデイは10周目にタイム・アップし、12周目にもさらにタイムを更新して後続を1秒引き離した。セルビアは最終ラップに2位を獲得し、ジュンケイラとウイルソンは2列目に終わった。
カナダ人スターのポール・トレイシー(#3インデック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は1分22秒222でトップ5に入り、モントリオール初勝利を狙う。彼はフォーサイス・チャンピオンシップ・レーシングのチームメートである、A.J.オールメンディンガー(#7インデック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)よりも前に出ることができた。オールメンディンガーは予選前のプラクティスにエンジン・トラブルが発生したため、初日の予選を走行しなかった。前のレースで優勝し、10レースを終えてポイント・ランキング2位のオールメンディンガーは、明日の最終予選では走行するだろう。フィリップはセッションの序盤に暫定ポールを取ったタイムで6位に入り、地元で大人気のアンドリュー・レンジャー(#27ウォルマート・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は1分22秒655で7位となった。
アントニオ・ピッツォニア(#18ロケットスポーツ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、チャンプ・カー・ワールド・シリーズで力強い復活を遂げ、5ヶ月ぶりにロケットスポーツに復帰した。2003年にジャガーでモントリオールのフォーミュラ・ワン・レースを完走しているこのブラジル人は、1分22秒767のタイムで8位に入り、このミシガンに本拠地を置くチームを牽引してみせた。ロケットスポーツにとってこの結果は今シーズンの予選ベストであり、ピッツォニアはルーキー中トップの予選結果となった。
ドミンゲスとウィル・パワー(#5オージー・ヴィンヤーヅ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、1分22秒796の同タイムを記録し、パワーが2番目のベスト・タイムによって9位に浮上する。ドミンゲスは元々9番手だったが、ブロッキングの違反が発覚し、ペナルティーによって最速ラップが取り消されたため、ルーキー・オブ・ザ・イヤーのポイント・リーダーの後ろとなる10位に後退した。
日曜日のレースの最終グリッドは、アメリカ東部時間の午後2時から始まる土曜日の第2予選で決定する。レース・ファンはシリーズの公式ウェブサイトwww.champcar.ws にあるレース・ディレクターを通じてその模様を見ることが可能だ。
トップ3インタビュー
セバスチャン・ブルデイ: 「マクドナルド・カーはほんとうに良い仕上がりだよ。今朝も順調にスタートを切れたからとても嬉しい。完璧とはいえないけど、とても安定したベースがあるから、何も気にすることなく、マシンがコースに合っていたね」
オリオール・セルビア: 「このレースと次の数レースは僕の大好きなコースなんだ。全てが順調に行っているし、僕もチームも一丸となって仕事をしている。このコースは間違いなく僕に合っているね。このチームの最大のポテンシャルを見せることができるはずさ」
ブルーノ・ジュンケイラ: 「渋滞につかまってポール争いができなかったのはとても残念だね。最初のタイヤのセットではセバスチャンにコンマ1まで迫れた。2セット目のタイヤでは渋滞につかまったけど、タイムアップはできたから、渋滞にあわなかったらもっといけたと思うよ」