<US-RACING>
Photo&Report by HIROSHI NAKAJIMA
往年のF1マシンが総勢28台もエントリーしている“ヒストリック・グランプリ”はチャンプカーよりもエントリー台数が多かった。ここにあるのはすべて1968年から83年までの間に活躍したフェラーリ、ティレル、ブラバム、マーチ、ペンスキーなど、まだターボやカーボン・モノコックが採用される以前のマシンだ。ほとんど個人が所有し、メンテナンスも行っている。ちゃんとプラクティスと予選を行い、ラップタイムは現役チャンプカーの8〜9秒落ち程度。その迫力あるサウンドに、多くのファンから注目を集めていた。
CARTシリーズ記録となる開幕3連勝を果たしたトレイシー。ランキング2位以下に26ポイントの差をつけ、早くも独走態勢に入る。今回2位入ったジュンケイラは3戦中2戦で表彰台をゲット。今のところ今シーズンはすべてトップ5でフィニッシュしており、ランキングも2位へと上昇した。3位に入ったフェルナンデスは、昨年のミルウォーキー以来の表彰台に大きな安堵の表情を浮かべていた。
圧倒的な速さを見せるローラ勢に対し、数少ないレイナード・シャシーで奮闘するアメリカン・スピリット・チーム・ヨハンソン。非常に若いチームに移籍後わずか3戦目にして4位入賞を果たしたバッサー。ランキングでも一気に5位まで上がった。チームメイトのハンター-レイも自己最高位の7位入賞で今回ルーキーの中でトップの成績を収めた。
スタートではポールポジションのジョルダインをきわどく抑えてトップに立ったトレイシー。「ジョルダインには全力をだしてもついてゆくのがやっとだった」という。2位で入った最後のピットストップもチーム、ドライバー共にミスなしで迅速にこなし、3位のフェルナンデスもきっちり抑えてポジションをキープした。この直後、トップでピットインしたジョルダインがトラブルに襲われ、優勝のチャンスが転がり込んでくる。
開幕戦、第2戦と共に表彰台を狙える位置にいながらも、惜しくもそれを逃したセルビア。今回もラスト終盤4位を走行しながら、あとわずか3周のところで痛恨のガス欠に見舞われてしまった。地元スペインのファンも大勢集まる可能性の高いヨーロッパ・ラウンドをまえになんとしても表彰台に上がって勢いをつけておきたかったセルビアだったが、その望みは叶わなかった。
開幕2戦はポールポジションを獲得しながらも不運のトラブルに泣いたボウデイ。今回は控えめ(?)に予選5番手からのスタートとなったことで、逆に決勝での活躍に期待されたが、本人曰く「僕はこのコースは嫌いですね」とか。結局今回もメカニカル・トラブルに苦渋をなめる結果となってしまった。次回はいよいよヨーロッパラウンドでの開催。ボウデイの生まれ故郷のフランスから大勢のファンが応援に駆けつければ、勝利の女神を味方につけることも出来るかもしれない。
予選でキャリア初のポールポジションを獲得、決勝ではスタートでトレイシーに先を超されたものの、27周目にはトップを取り戻しリードを広げ、最多リードラップとレース中の最速ラップをも記録したジョルダイン。今回は一番欲しかったシリーズ初優勝の栄冠をを手に入れることが出来なかった。だがこの日の走りを見る限り、勝利を手にする日はそう遠くないはずだ。
無念の悲しみに咽ぶジョルダインを慰めるチーム・オーナーのレイホール。CARTシリーズではドライバーとしてインディ500優勝を含む通算24勝を挙げ、過去に3度もドライバーズ・チャンピオンに輝いた功績を持つ彼でも、ここロング・ビーチではドライバーとしてもチーム・オーナーとしても未だ無冠のままだ。このジンクスを破るのは来年以降に持ち越された。