<US-RACING>
決勝当日は曇り時々晴れといった天候で、気温も28度まで上昇。レース観戦にはもってこいのコンディションの中、午後1時50分にグリーンフラッグ。5万5千人の観衆が見守るなか、500マイル先のゴール目指して、全車がいっせいにスタートした。
予選5位から飛び出したジル・ド・フェランが絶妙なスタートを決め、コースの一番下からポジションアップを試みるなど、各マシンはコース幅をギリギリまで使い、3台から4台が横に並ぶスリリングなシーンが最初から展開。総立ちの観客は、固唾を飲んでその行方を追う。
その後ド・フェラン同様に好スタートを切っていたファン・モントーヤとマイケル・アンドレッティがすかさずド・フェランをパス、ポールポジションだったポール・トレイシーは、いっきに9位まで転落してしまう。トップを行くモントーヤとアンドレッティは、サイドバイサイドの激しいバトルを演じ、レース序盤からスタンドは大いに盛り上がった。
この2人の争いにさらにケニー・ブレック、クリスチャン・フィッティパルディ、クリスチアーノ・ダ・マッタらも加わって、トップグループはまさに混沌となる。20ラップ目、予選13からスタートしていたエリオ・カストロネベスが3位までジャンプアップを果たし、前を走っていたブレックとモントーヤを次々とパスして、22ラップ目にはトップに躍り出た。
このあと、レースも30ラップを越えたところで、トップグループはこの日1回目のピットインを開始。この時、ピットワークを終えたアドリアン・フェルナンデスがコースに戻ろうとした際にピットレーン出口でスピンを喫し、これが原因でコースは最初のイエローコーションとなる。
46ラップ目、イエローが解除。この時点でのトップはブレック、これにフィッティパルディ、モントーヤ、マックス・パピス、カストロネベスらが続いた。今度はこのトップグループによって、目まぐるしくトップが入れ替わる激しいレース展開となり、75ラップ目を越えたところで、各ドライバーはこの日2回目のピットに入り始める。
その後1回のイエローコーションを挟んで、88ラップ目の時点でのトップグループは、パピス、カストロネベス、ブレック、フィッティパルディ、モントーヤらによって形成。互いにトップを入れ替えながら、お互いにまったく譲らないバトルを展開するが、98ラップ目、このトップ争いに加わってきたフィッティパルディがブレックのサイドポンツーンにリアタイヤを接触。これで弾き飛ばされたブレックはコンクリートウォールに激しくクラッシュし、リタイヤとなってしまった。
ここでブレックの後ろを走っていたド・フェランはマシンの破片を指に当ててしまい、骨折するという不運なアクシデントに見舞われる。ド・フェランはレースを続行するものの、138周目にミッシェル・ジョルダインJRと接触、サスペンションにダメージを負ってしまいリタイヤに終わった。
ブレックのアクシデントでコースは再びイエローとなり、ピットへと雪崩れ込んだ各マシンによってピットエリアはさながら戦場と化す。このピットバトルでポジションアップに成功したのはモントーヤだった。カストロネベスも2番手でピットアウト、これにトレイシー、パピスらが続いた。
106ラップ目、コースがグリーンになった直後、トレイシーは一気に前を走るモントーヤとカストロネベスをパスしてトップに躍進。しかしその次の周にはカストロネベスがリードを奪い返し、125ラップ目までトップを堅持したあと、アンドレッティらと激しいトップ争いを演ずるものの、一時は2位以下に9秒以上ものリードを奪い、独走態勢となった。
レースもいよいよ終盤を迎えた225ラップ目、フィッティパルディのスピンでイエローコーションが発生。ほとんどのマシンは最後まで走りきろうとコースに留まったが、この時点でトップを走っていたカストロネベスと、モントーヤがピットイン。カストロネベスはタイヤを交換したのに対してモントーヤは燃料補給のみで、モントーヤが先にコースに復帰した。
これで9位までポジションを落としたモントーヤだったが、燃料に余裕を持つモントーヤはフルパワーで猛追開始。本来ならこのモントーヤと一緒にカストロネベスも追い上げるところだったが、有利になるはずのニュータイヤが裏目に出、マシンがアンダーステア傾向に陥ってしまう。この日最多となる85周もリードしたカストロネベスは、マシンを必死にコントロールしながら5番手をキープするのが精一杯だった。
トップはアンドレッティで、これにモントーヤが迫ってくる展開となった終盤。あっという間に追いついたモントーヤは、アンドレッティとの壮絶なバトルを展開。2マイルのコースの到るところで抜きつ抜かれつといったシーンが展開し、スタンドは総立ちになってその行方を見守る中、いよいよ最終ラップに突入。
両者サイドバイサイドのままターン1