CHAMP CAR

CARTチャンピオンシップ・シリーズ 第11戦 ミシガン【最終予選】レポート

<US-RACING>
プラクティス中は曇っていたミシガン・スピードウエイも、クオリファイが開始される午前11時には晴れ渡り、気温も20度まで上昇。まずまずのコンディションの中、1台ずつのタイムアタックとなるシングルカー・クオリファイがスタートされた。今までのプラクティスタイムの遅い順からコースインし、3周のウォームアップ後、2ラップのタイムアタックを行って速いほうのラップタイムが予選タイムとなる。

まずはプラクティスタイムの1番遅かったガルシアJRがコースインしてタイムアタックを開始。ガルシアJRは32.714秒をマークして予選23番手に終わる。そしてマルケスを間に挟んで、中野が予選3番目にコースイン。中野は31.886秒のタイムを記録してこの時点でトップタイムとなったが、最終的には19番グリッドからの決勝レーススタートとなった。中野の次は黒澤がコースへ。しかしウォームアップラップでターン4に進入しようとした黒澤は、テールが流れてしまいコントロールを失う。コンクリートウォールに激しくクラッシュした黒澤のマシンは、炎を上げながらターン4を越えたところでようやく止まるが、黒澤は自力で脱出できず。コースマーシャルに救出された黒澤だったが、意識ははっきりしているものの首と左足を痛めたため、病院へ運ばれ精密検査を受けることになった。このため明日の決勝レースは欠場することになってしまう。

クオリファイは11時43分に再開。コースインしたのは、昨年のミシガンで劇的なCART初優勝を果たし、今回のレースから復帰しているカナーン。しかしカナーンは今ひとつスピードが伸びずに31.836秒が精一杯、予選18位に終わった。そして9番目は現在ポイントスタンディングリーダーのモレノがタイムアタック。積極的にタイムアタックを試みるものの、31.567秒で16位と不本意な結果に終った。その後、予選12番目からタイムアタックに挑んだフィッティパルディが好タイムを記録して一気にジャンプアップ、暫定ポールポジションを獲得する。この日バックアップカーでタイムアタック挑んだフィッティパルディは、スムースなライン取りで30.739秒のトップタイムを記録。こうしてクオリファイは30秒台に突入し、ポールポジションの争いはより激しい展開になってきた。

中盤を迎え、プラクティスタイムのトップ10ドライバーたちによる30秒台の激しいタイムアタックが始まる。まずは今シーズン2勝をあげ、500マイルレースで優勝して弾みをつけたいド・フェラン。だが、ポールタイムには届かず30.904秒でグリッド5位に終わる。続くタグリアーニ、フランキッティも30秒台に入るタイムを見せるが、両者フィッティパルディのタイムに一歩届かない。

そしてクオリファイはいよいよ終盤、プラクティスのトップ5が登場だ。まずはモントーヤがトヨタの片バンク・ターボ予選スペシャルエンジンでどのようなタイムアタックを見せるか注目が集まる。しかしタイムは以外と伸びずに30.963秒、グリッド7番手に甘んじることになった。さらにチームメイトのバッサーもタイムアタック、モントーヤを若干上回るものの30.933秒で6位に終わる。これでトヨタの最後の望みはダ・マッタのみとなってしまった。予選用スペシャルエンジンで上位のプラクティスタイムを記録しているダ・マッタは、トヨタの期待を背負ってタイムアタックに挑むが、その期待とは裏腹に31.321秒で14位。クオリファイはフィッティパルディが記録したタイムが破られないまま大詰めを迎える。

残る二人はフィッティパルディと同じフォード・ローラのコンビネーションで好調な走りを見せているアンドレッティと、ホンダの予選用スペシャル・エンジンでプラクティスから圧倒的な速さを見せているトレイシーの一騎打ちだ。先にタイムアタックに入ったアンドレッティは、スムースなライン取りでフィッティパルディのタイムを破る30.687秒を叩き出してトップに躍進。チームメイトのフィッティパルディとともにワン・ツー体制が形成され、スタンドでは大歓声が上がる。あとはトレイシーのクオリファイの結果を待つのみだ。全員が見守る中、最後にトレイシーが独特の甲高いエキゾーストノートを響かせながらタイムアタック開始。超高速でスライドするマシンを巧みに操ったトレイシーは見事その期待に応え、コースレコードを破る30.646秒をマークしてポールポジションを獲得。さらに大きな歓声がスピードウエイに響き渡った。トレイシーにとって97年のミルウォーキー以来、ホンダエンジンによる初のポールだ。これで2位はアンドレッティ、3位はフィッティパルディ、4位フランキッティと、2つのチームでフロントロウと2列目を独占する形となる。ホンダにとっては今シーズン5回目、通算45回目のポールポジション獲得だ。

なお非公式だがトレイシーは朝のプラクティスで294MPH(約398.4Km/h)という瞬間トップスピードを記録。まさにトレイシーの独壇場となった、プラクティス&クオリファイだった。

ちなみにエンジン別のクオリファイ・トップ10の結果は、ホンダがポールと4、5位、 フォード が2、3、8、9、10位。トヨタが6、7位に入る。メルセデスベンツはマーク・ブランデルの17位が最高位。シャシー別ではレイナードがポールで、ローラが2、3位。続いてレイナードが4、5位と入り、ローラが6、7位とほぼ均衡状態。

明日の決勝は250ラップ、今年はじめての500マイル(800キロ)の長丁場となる。単発的な速さのみならず、レースに生き残る持久力も要求されるだけに、スタートからゴールまで目が離せない展開とることは確実。レースは午後1時30分にグリーンフラッグでスタートする!

●第11戦でポールを獲得したトレイシーのコメント
「今日は本当にすばらしい走りができたよ。チームのエンジニアであるティノ・ベリにはほんとうに感謝している。スーパースピードウェイでのレースのために、昨年から空力関係の熟成に努めてきてくれたからね。あとホンダにも感謝しなくちゃいけない。今日まで使用していたエンジンは、ホンダが用意してくれた予選用のスペシャルエンジンなんだけど、とてもすばらしいパフォーマンスだった。 クオリファイでコースインする時に、タイムアタック中のマイケルが234.6mphのトップスピードを出したことをクルーが無線で教えてくれたんだけど、これにはちょっと驚かされたね。ボクのウォームアップ時のトップスピードが234.4mphだったから。そこでボクにはもう少し上のトップスピードが必要だということを知って、スウェイバーを若干硬めに調整したんだ。これでターン3ではちょっとスライドするようになったんだけど、このセッティング変更でボクが必要とするトップスピードが得られたというわけさ。おかげで久々のポールポジションが獲得できた。とにかく明日のレースは優勝に向けて気を引き締めて頑張るよ」