CHAMP CAR

CARTチャンピオンシップ・シリーズ 第4戦 リオ・デ・ジャネイロ【決勝】レポート

<US-RACING>
昨年、一昨年のもてぎ同様今年も シーズン初の海外レースをフェルナンデスが制覇

予選トップのアレックス・タグリアーニは76周レースをリードするもスピンしてリタイア、CART初優勝はお預けとなる

 今年から日曜となった決勝日も快晴に恵まれ、気温31度、路面温度49度というコンディションのなか、地元の英雄、エマーソン・フィッティパルディの“ジェントルマン・スタート・ユア・エンジンズ”のコールと共に各マシンのエンジンがスタート。午後1時30分にマシンがいっせいにコースインを開始。

 午後1時36分、108周先のゴール目指して全車が加速体制に入り、グリーンフラッグが振られようとしていたその瞬間、オリオール・セルビアがターン4の出口でスピン。インフィールドの壁に激突したため、フルコースコーション下でのスタートとなる。

 コースが完全にクリアーとなった5周目、ようやくグリーンフラッグが降られ、レースはスタート。ポールポジションから飛び出したアレックス・タグリアーニがトップをキープし、ファン・モントーヤ、ポール・トレイシーらを押さえてターン1へ。

 序盤、タグリアーニをモントーヤがピッタリとマークし、この2台が後続を引き離しにかかろうとしていた17周目、4位のケニー・ブレックが3位のトレイシーに仕掛け、サイドバイサイドのバトルの演じた末3位にポジションをあげる。

 第3戦のロングビーチでは見事2位に入り、表彰台を獲得したエリオ・カストロ‐ネベスは、今回予選7番手からスタートしたが、16周目辺りから発生したギアボックストラブルのため23周目にピットイン、そのままリタイアとなった。

 ここまでの3戦中、ナザレスの予選でポールポジションを獲得したものの、いまだ完走すらしていないファン・モントーヤは、今回予選で2位を獲得。なんとしても決勝で好結果がほしいところだが、2位を走行していた30周目にシフトケーブルが切れてピットインを余儀なくされ、そのまま戦線を離脱してしまう。99年チャンピオンは、これで3戦連続のDNFだ。

 レースも約3分の1を過ぎようとしていた36周目、グリーンフラッグ下でトップのタグリアーニとそれを追うブレックが相次いでピットストップを行うと、それを合図にしたかのように各マシンが続々とピットロードへ入って行く。トレイシー、ジミー・バッサーらも38周目にピットストップを行った。

 ところがここで同じくピットストップを行ったダリオ・フランキッティがピットアウトでバランスを崩し、ピットロードで180°スピンしてしまう。フランキッティはその後スピンターンでマシンの向きを立てなおし、コースへと復帰するが、11位から14位まで順位を落としてしまう。

 好調タグリアーニは、ピットストップでアドリアン・フェルナンデスに一時的にトップを譲ったものの、すぐにその座を取り返し、積極的にリードを広げる。55周目にブライアン・ハータがコース上でストップしたためフルコースコーションとなったが、この直前、2位との差は10秒近くまで広がっていた。

 このコーション中の57周目にはタグリアーニ、マイケル・アンドレッティ、ミモ・ギドリィ、マーク・ブランデルの4台のトップ集団とミチェル・ジョルダインJr.を除くマシンが一斉にピットイン。61周目にグリーンがでると、タグリアーニはその後10周のうちに2位との差を6秒以上へと広げていった。

 トップ走行中のタグリアーニは75周目に2度目のピットストップを行い、13位でコースへと復帰。代わってトップに立ったアンドレッティがその2周あとにピットインするが、作業を終え、いざピットアウトという時にピットクルーの一人と接触してしまう。このためアンドレッティはストップ・アンド・ゴーのペナルティを受け後退。ここから、まだピットに入っていないケニー・ブレックが、93周目のピットインまでレースをリードする。 

 91周目、ターン2でジョルダインJRがストールしたためにフルコースコーション。トップを走っていたブレックをはじめライバル達がピットインするなか、再びトップに返り咲いたタグリアーニだったが、グリーンフラッグでレースが再開したあとの100周目、ターン1でコントロールを失い大スピン。一気に12位へとポジションダウンし、フェルナンデスへトップの座を明け渡してしまう。

 レースもいよいよ残り3周となった105周目、グリーンフラッグが振り下ろされ3周のスプリントレースになるかと思われたその瞬間、またしてもタグリアーニが今度はターン4でスピン、エンジンをストールさせて万事休す。76周に渡ってレースを支配していたタグリアーニは、ゴール直前にリタイアとなってしまった。

 結局この時点でトップを走行していたフェルナンデスが、フルコースコーション下でチェッカーを受け優勝。昨年、一昨年のもてぎに続き、今年も初の海外レースを制覇した。

 緒戦で4位に入り、ロングビーチで3位、今回は2位と順位をひとつづつ上げてきているバッサーは、次のもてぎでその頂点に上り、トヨタに初優勝をプレゼントか? 

 終盤にスピンしたタグリアーニに接触してフロントウイングにダメージを追いながらも、3位にはいったトレイシーは、運も味方する。依然ドライバーズ・ランキング1位のまま、第5戦のもてぎを迎える。

 予選19位からスタートし、もてぎの直前になって初めてオーバルのレースを経験することになった黒澤琢弥は、無事に1回目のピットインを済ませたものの、17位を走行していた64周目にギアボックストラブルのためピットイン。そのまま戦線を離脱し、19位という結果に終わった。

 次回、第5戦はいよいよ日本の“ツインリンクもてぎ”で開催される“ファイアストン・ファイアーホーク500”。チームはこのあといったんインディアナポリスに戻り、来週早々から続々と日本にやってくる。

● 優勝したアドリアン・フェルナンデスのコメント
「まさかこんな結果になるとは思ってもなかったよ。金曜日、土曜日となかなかうまいセットアップが見つからなくて、ほんとうに大変だったからね。レースも思うように走れる状態じゃなかったから、コンスタントに行くしかないと思っていた。そういう意味ではフラストレーションが溜まる一日だったけど、今はとてもハッピーだよ。今回の勝負のカギはタイヤだったと思う。何しろ80周近く変えないで走りきったからね。タイヤを変えなかったことがピットを早く終わらせたし、ここでジャンプアップすることができたんだ」

● リタイアに終った黒澤琢弥のコメント
「また疲れる前に終っちゃったね(笑)。最終的にはエンジンが壊れて、クランクシャフトが折れたみたい。ものスゴイ音がしてた。スタートしてすぐギアボックスのトラブルが出てきて、うまくシフトダウンできなくなったんだよね。最後まで走れなかったのはつらいよ。ま、それでも今回初めて(注:緒戦はメカニカルトラブルでスタート間もなくリタイア)オーバルでレースができたというか、いっぱい勉強になったね。ドラフティングの使い方とか、前を走っていたグージェルミンに色々教えてもらった。なにも経験できないまま日本に行くよりは、何倍もいいよ。このあといったんシカゴに戻って、すぐに日本にいきます。もてぎのレースがたのしみだね。いっぱい応援に来てくれるとうれしいな」