<US-RACING>
クラッシュ続出で大波乱となったアメリカン・ル・マン・シリーズ第2戦。レース残り3分で切られたリスタートが勝敗を決定づけ、7号車ペンスキー・ポルシェをかわしたルーカス・ルアー、マルコ・ベルナー組の2号車アウディが総合優勝を勝ち取った。今年からLMP2クラスの優位性が薄れるルールとなり、アウディが再び優位に立つと見られていたが、決勝は予想に反し、LMP2クラスとの接近戦となる。加えて4回ものコーションがポルシェとアウディの直接対決を何度も演出し、フィニッシュを通過したときアウディとポルシェとの差は、0.818秒しかなかった。「こんなにマシンが良くなるなんて驚いているよ。もちろん、よくグリップする良いマシンだってことは知っていたけどね。スロー・コーナーでもしっかり攻めることが出来た。ポルシェと戦うのはとても厳しかったね。ロング・ビーチも今日と同じ結果になることを願うよ」と喜ぶルアー。市街地コースではLMP1とLMP2クラスの対決がまだまだ見られそうだ。
僅差で総合優勝を逃したロメイン・デュマ、ティモ・バーンハード組の7号車ペンスキー・ポルシェ。レース開始1時間29分後に、周回遅れに引っかかったアウディを捉え、いちやく総合トップにたった。時にはアウディと接触する激しい戦いを演じながら、格上のマシンを抑えてトップをキープするものの、残り3分のリスタートでアウディの先行を許す。アウディを追いかけ、喰らいついていくデュマだが、オーバーテイクを仕掛けるほどまで詰め寄れず、そのままアウディを取り逃がしてしまった。「またすばらしいレースを見せることが出来たね。ティモからマシンを引き継いだとき、クルーは完璧な仕事をしたんだ。初めてアウディをコース上で抜いたよ。総合優勝は逃してしまったけど、クラス優勝はできたからみんなにとって良い週末になったね」と振り返るデュマ。次戦ロング・ビーチで、アウディにリベンジできるだろうか。
予選総合3位を獲得したアキュラ勢のハイクロフト・レーシング(HR)は、そのポジションを守りきった。レース終盤、ハイペースで迫る6号車ペンスキーと攻防戦を演じたHR。ステアリングを握るベテラン、デイビッド・ブラバムが要所を締め、パトリック・ロングの追撃をかわす。最終ラップも接触すれすれで迫るロングを押さえ込み、アキュラ勢トップの総合3位を獲得した。「この暑さと湿度のおかげでコースが滑りやすくなっていたんだ。とにかくウォールに接触しないようアキュラのマシンをコース上に留めようとしていた。ポルシェやアウディと激しいバトルが出来たし、今日の順位には満足しているよ」と話すブラバム。LMP2のトップ争いはシーズンが進むごとに、ますます激しくなりそうだ。
総合5位に入ったアンドレッティ・グリーン・レーシング(AGR)。スタートで3番手に浮上しながら、ターン5で痛恨のスピンを喫し、最後尾へ沈んでしまう。だが、スピンから復帰したAGRのマシンは、すぐさま追い上げを開始。一台また一台とかわしていき、42周目には総合5番手にまで浮上する。そこから順位を上げることは出来なかったものの、アンカーを務めたブライアン・ハータがしっかり順位を守りきり、総合5位でフィニッシュした。「かなりがっかりする結果だけど、クルーの頑張りには心から感謝しているよ。最後までよくマシンが持ちこたえてくれた。マシンの調子は良かったから、ロング・ビーチが楽しみだね」と次戦を見据えるハータ。ロング・ビーチでクラス優勝を狙って欲しい。
今週末は波に乗れなかったフェルナンデス・レーシング。決勝でもアウディに接触され、ターン10で立ち往生する羽目になる。リタイアは避けられたものの、ホイール交換で失った2周は挽回しがたく、総合7位でフィニッシュした。「アウディとのアクシデントに関しては、実際どうなったのか良くわからないんだ。何しろ後ろからぶつけられたからね。ピットに入ってリア・ホイールを交換しなければならなかったから、2周も遅れて大変だったよ。何か一つ良い点をあげるとすれば、完走できたことかな」と、オーナー兼ドライバーのアドリアン・フェルナンデスは、肩を落としていた。
開幕戦に続き、同じフロリダ州でレースを行ったアメリカン・ル・マン・シリーズ。昨日行われた各クラスの予選トップを集めた記者会見では、ウェット・レースについての質問が相次いだが、雨が降る気配が一向になく、晴天のままレースは終了した。開幕戦のセブリングと第2戦のセント・ピーターズバーグは、空港の滑走路をベースにする共通項があるものの、決定的に違うのはセブリングが常設、セント・ピーターズバーグは仮設という点。今回レースの舞台となるアルバート・ホイッティド空港は、1914年1月1日にアメリカで最初の旅客便が就航した空港として知られ、現在でも年間10万便のフライトが行われている