第2戦の開催地バーバー・モータースポーツ・パークは、アラバマ州最大の都市バーミンガムの近郊にあり、街の中心からクルマで20分ほどの場所にあります。
オハイオ州のミド-オハイオ・スポーツカー・コースや、昨年まで開催されていたニューヨーク州のワトキンス・グレン・インターナショナルといった、都市から1時間以上も離れた常設ロードコースと比べて圧倒的に近く、ハイウエイから降りて2〜3分もかからないという、とてもアクセスのいいコースです。
コース周辺は色とりどりの木々が立ち並ぶなだらかな山々に囲まれ、その光景を見た友人のアメリカ人カメラマンが「まるでモテギの山みたいだね」と言っていました。確かにバーミンガム郊外の景色は、日本の田舎を思わせるような雰囲気があり、地元宮城県を思わせるような懐かしさを感じます。
でも緯度でいうと福岡市とだいたい同じ位置で、レースが行われた週末の気候は、4月上旬にもかかわらず30度近くまで上昇。蒸し暑さもあり、日本の初夏のような感じでした。コースサイドにぽつぽつと植えられた桜の花々はすでに散り始め、これからサマー・シーズンが到来するといったコンディションです。
さて、レースのほうは開幕戦に続き、ウィル・パワーが2戦連続のポールシッターになりました。決勝は6回もフル・コース・コーションが発生した波乱のレースとなりましたが、トップを独走するパワーにはほとんど影響なく、パーフェクトな走りでポール・トゥ・ウィンを達成。今季初優勝を飾りましたね。もうロードコースでの速さは疑う余地などなく、今シーズンも勝ちまくるんでしょう。
今回、スタート前にメイン・ストレートのスタート&フィニッシュ・ラインでドライバー紹介を撮影しながら、スタート・シーンをどこで撮影しようか悩んでいました。しかもあと20分くらいでスタートだよっていう状況です。
ターン2〜3にかけての外側にあるなだらかな丘の上から、観客の中に混じってターン2にターン・インするところを撮影したのが去年。今年は少し違うところを試してみっかと、佐藤琢磨のドライバー紹介後、メイン・ストレート・エンドのターン1外側に急いで向かいました。
通常のコースではターン1の外側がスタート撮影ポイントとなるのですが、このコースには撮影用のフォト・ホールがありません。でもなんとかフェンス越しに撮影できるだろうと思って行ったものの、フェンスの穴があまりにも小さ過ぎ、状況的に厳しいというのが判明。「あいや、なんだや!」と大慌てで再びスタート&フィニッシュラインまで逆戻りです。
コースを横断してパドックを通過し、結局、去年と同じ場所に向かったのでした。やっとたどり着いてスタートの構図をレンズ越しに確認すると、先ほどのターン1の先のターン2内側にある丘の上の方に、見慣れたカメラマンが何人かいるじゃないですか。そこからだと、ターン2に向かってくるマシンをいいアングルで撮れんでねぇの? っていう場所です。
さっきターン1の外側まで行きながら、もうちょっと進んでターン2まで行くといった発想がなかったのでね、そこにいたカメラマンたちを発見して少し後悔です。しかも彼らは僕の一連の行動をみんなで見ていたようで、レース後に「なんでこっちまでこなかったの? 良い写真撮れたのに……」だって。僕がそのままターン2まで来ないで走って戻っていったのを観て、不思議に思っていたようです。
そんなこと言われてもあとの祭り。走り損プラス精神的にもかなり「がおった」(疲れた)のは言うまでもありません。彼らがそこでいったいどんな写真を撮ったのか、まだ見る気になれないというか、本当に良い写真だったら後悔しそうでね、来年自分の目で確かめるまではと思っています。
スタートの撮影後、ぐるっとコースを撮影しながら、最後にたどり着いたのはインフィールドの最終コーナー、ターン15でした。今回のPick the Winnerの写真はターン14を立ち上がったマシンを、ターン15で正面から撮影したものです。ここも毎年撮影しているポイントですが、今年はレースのスタート時間が午後3時と遅く、レース終盤にはちょうどいい木々の影がコース上に伸びていました。
去年のPick the Winnerの佐藤琢磨の写真もここで撮影しましたが、今年はマシンの陰影をもっとしっかり見せたいなと思い、500ミリレンズに1.4倍のエクステンダーを装着して700ミリ相当に寄って撮影しました。真横から降り注ぐ西日を受けたマシンの光と、影のコントラストがうまく引き出せたかなと思ってます。
Photo & Text by Hiroyuki Saito
●撮影データ
機種: Canon EOS-1D Mark ?
レンズ: Canon EF 500mm f/4.0 IS USM + EXTENDER EF 1.4×?
撮影モード: マニュアル露出
シャッタースピード: 1/640
絞り値: F5.6
測光方式: 評価測光
ISO感度: 100
焦点距離: 700.0mm
オートフォーカスモード: AIサーボAF
ホワイトバランス: オート
※第2戦Pick the Winnerのプレゼントはこちらの写真となります。