<Honda>
2010年2月25日(木)
開催地:アラバマ州バーミンガム
会場:バーバー・モータースポーツ・パーク(全長2.38マイル)
天候:曇りときどき晴れ
気温:7〜10℃
IZODインディカー・シリーズは、2月24日からアラバマ州バーミンガム近郊のバーバー・モータースポーツ・パーク(全長2.38マイル)で合同テストをスタートさせた。集ったのは11チーム、合計20台のインディカーで、彼らは24日(水)、25日(木)の2日間にわたるテストを走り、2010年シーズンの開幕に備える。
シーズン開幕レースは、インディカー・シリーズにとって初めてのブラジル遠征で、サンパウロのストリートコースが戦いの舞台となる。その後も10年シーズンは3戦がロードレースだ。第2戦はフロリダ州のセント・ピーターズバーグで、今回のテストで使用されるバーバー・モータースポーツ・パークでは第3戦が行われる。そして、第4戦はカリフォルニア州でのロングビーチ・グランプリだ。
バーバー・モータースポーツ・パークでの走行1日目は、気温も路面温度も非常に低い難しいコンディションだった。しかし、太陽が顔をのぞかせた午後のプラクティスで各チームとも積極的に走り込み、最速タイムとなる1分10秒5052=平均時速117.438マイルを昨年度ランキング3位のライアン・ブリスコー(Team Penske)が記録した。
2番手タイムもTeam Penskeのドライバー、エリオ・カストロネベスで、ベストは1分10秒7146=平均時速117.090マイルだった。今年から3台体制に拡大する彼らは、3台目に乗るウィル・パワーが午前中のトップタイムをマークし、午後も1分10秒7637=平均時速117.009マイルで総合4番手につけた。
ペンスキートリオの間に割って入る3番手タイム、1分10秒7397を午後のプラクティスで叩き出したのは、昨年Team PenskeとTarget Chip Ganassi Racing以外による唯一の勝利を飾ったジャスティン・ウィルソン(Dreyer & Reinbold Racing)だった。ウィルソンはDale Coyne Racingを離れ、今シーズンはDreyer & Reinbold Racingに移籍した。その最初の走行でウィルソンは好パフォーマンスを披露し、ロードコースでの高い能力を改めて見せつけた。
トップ5の最後の席を埋めたのは、昨年度ランキング2位のスコット・ディクソン(Target Chip Ganassi Racing)だった。ディクソンのベストは1分10秒8927=平均時速116.796マイル。トップのブリスコーとは0.3875秒という僅差だった。今シーズンもインディカー・シリーズは白熱した戦いになりそうだ。
インディカー・シリーズ参戦3シーズン目を迎える武藤英紀は、勝てる体制を求めてNewman/Haas/Lanigan Racingへと移籍している。名門チームでの本格的な走行が初めてだった武藤は、ベストタイムこそ1分11秒2212=平均時速116.258マイルで10番手だったが、タイムや順位以上の好感触を67周の走行でつかんでいた。
今シーズン、インディカーにデビューする佐藤琢磨(KV Racing Technology)は、ほぼ初めてインディカーを走らせたテスト初日にトータル70周をこなし、午後に1分11秒1138のベストを出して7番手の好位置につけた。ルーキーの中では最速タイムだった。チームメートは、EJ.ヴィソが1分10秒9186でひとつ上の6番手につけ、ジェームズ・ロシターが1分11秒7759で13番手だった。
昨年度チャンピオンのダリオ・フランキッティ(Target Chip Ganassi Racing)は1分11秒1825の自己ベストにより9番手とスロースタート。Andretti Green RacingはAndretti Autosportにチーム体制が変更され、ダニカ・パトリックは、コンディションの悪さから午前中は走らず、午後に1分12秒5369のベストを出し、20台中の18番手だった。Andretti Autosportは今シーズンも4台体制を保つが、今日のベストは1分11秒1433をマークしたトニー・カナーンの8番手だった。
合同テスト1日目は、低温に見舞われたが大きなアクシデントが発生することはなかった。合同テストは明日も続けられ、午前9時〜正午、午後1時〜6時のプラクティスタイムが用意される。天気予報によれば、コンディションは今日とほぼ同じものになりそうだ。
ライアン・ブリスコー(Team Penske)
「このコースは思いきりよく走ることを求められる。勇敢でなければならない。そして同時にテクニックも試される。チャレンジのしがいがあるコーナーがいくつもある。我々はマシンの調子がとてもよかったこともあり、思う存分に走りを楽しむことができた。来月ここで行われるレースは、すさまじい接近戦になるだろう。そして、オルタネート・タイヤの使い方が勝敗にからむこととなりそうだ」
エリオ・カストロネベス(Team Penske)
「今日はリズムを取り戻すのが一番のテーマ。ロードコースでインディカーを走らせるのは去年の8月のインフィニオン・レースウェイ以来だ。こうしたテストを走ることで、筋肉も力を取り戻す。筋力トレーニングを続けていたとしても、実際のマシンに乗ってのリズムを取り戻さなければならない。今日はそうしたテーマで走っていた。明日はもう少し、マシンのディテールを詰めていくつもりだ」
武藤英紀(Newman/Haas/Lanigan Racing)
「インディカーに乗るのは、昨年の11月にセブリング・インターナショナル・レースウェイでテストをして以来だった。3カ月ぶりの走行だったこともあって、スピードアップに少々時間がかかったけれど、Newman/Haas/Lanigan Racingのマシンは非常にフィーリングがよかった。走行初日の終わりには、自分を担当するレースエンジニアのマーティン・パレとのコミュニケーションのレベルも高まった。彼はAndretti Green Racingにいたこともあるので、前から知っている間柄だ。一日を終え、とても満足している。去年までのチームとは仕事の進め方や考え方など、いろいろな面が違っている。それにひとつずつ確実に慣れていっている。Newman/Haas/Lanigan Racingではセットアップもひとつひとつをじっくりと詰めていき、答えをひとつずつ出すスタイル。時間がかかる場合もあるが、今日乗ったマシンは自分が今まで乗ってきた中で最もトラクションがあった。マシンに大きなポテンシャルがあると感じることができた。たくさんのコーナーと多くのアップダウンを持つバーバーのコースも好きだ。走っていて楽しいし、挑戦のしがいもある」
佐藤琢磨(KV Racing Technology)
「素晴らしい一日になった。KV Racing Technologyのマシンは信頼性が高く、自分がマシンとコースに慣れてからは、走行を大いに楽しめた。インディカーはパワーがあり、ウエイトが大きい。自分にとってパワーのあるマシンは乗ったことのあるものだけれど、ウエイトの大きなオープンホイールは初めて。セブリング・インターナショナル・レースウェイでは乗っただけだったが、今回からはマシンのセッティング変更もして、いろいろ勉強中だ。コースもすばらしい。高速コーナーがいくつもあり、高低差も存在する。午前中は気温や路面温度が低過ぎて難しいコンディションだった。そのためにスロースタートを切るしかなかった。しかし、最終的に我々は初めてのテストを成功させることができたと思う。何種類かのセッティングを試し、それらは私がインディカーというマシンを理解するのに大きく役立った。まだまだマシンは完ぺきと呼ぶにはほど遠いが、KV Racing Technologyのマシンは非常に乗りやすく、実りの多い一日だった」
ジャック・スパーニー(HPD ジェネラル・マネジャー)
「バーバー・モータースポーツ・パークは、オープンテストを行うにふさわしい、美しいサーキットだ。このようにすばらしいコースでシーズン開幕に備えるテストを開催できることを喜んでいる。残念ながら走行初日は季節外れの悪天候に見舞われた。しかし、集ったチームは約5時間の走行時間を持つことができ、20台のマシンは大きなアクシデントもなく走行を重ねていった。佐藤琢磨がインディカーデビューでいい走りを見せたことは喜ばしいし、武藤英紀も新天地であるNewman/Haas/Lanigan Racingで好パフォーマンスを見せてくれた。明日はもう少し気温などが上がり、各チーム、そして我々HPDのエンジニアたちがより多くの有益なるデータをシーズン開幕前に集めることができるようになると期待したい」