Osamu Ishimi's

ミド-オハイオで見せた武藤のクールな走り

画像第13戦ミド-オハイオ、いやー久しぶりに武藤のいいレースを見せてもらいました。表彰台には手が届きませんでしたが、レース内容からして価値ある5位という結果に、我々メディア関係者もホッと一安心といった感じです。ここまでロード・コースではまったくと言っていいほど良いところがなかった武藤でしたが、マシンセッティングさ80%ぐらいのレベルに収まれば、きちっと結果を残してくれることを証明してくれたのです。

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第10戦トロントの決勝レース翌日に行ったミド-オハイオでのテストでは、ペンスキーやチップ・ガナッシを凌駕する走りを見せてくれていました。それだけにレースでも善戦するだろうとは予測していましたが、終始冷静なドライビングでスタートからフィニッシュまでノーミス。リスクを回避して着実に順位を上げる様に、思わず「んーっ、今日は絶対いける!」と口ずさんでしまいました。
特に2回目のピット・ストップ前の2周は、これまで武藤が戦ってきたレースの中でもベストと言える走り。前を走るポール・トレイシーやラファエル・マトスが先にピットへ入った時、それまで2人のペースに合わせざるを得なかった武藤はいっきにスパートし、1秒近く速いラップ・タイムを刻んでピット・イン。ピット・アウトした武藤はメイン・ストレート1本分も両者を引き離していたのですから、その走りの良さを解っていただけると思います。

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燃料をセーブするために常にミクスチャーレベルを調整していましたし、必要なポイントで正確にプッシュ・トゥー・パス・ボタンを使用して、一切の無駄がありませんでした。完璧です。欲を言えば追いついたライアン・ハンター‐レイをパスして2位争いに加わってもらいたかったのですが、ここミド-オハイオのコースでオーバーテイクが可能なのはトップ・スピードからブレーキングするターン2とターン4の2箇所のみ。当然4番手を走るハンター‐レイも調子がいいわけですから、そう簡単には武藤にスペースを開けてくれません。
武藤は最後までハンター‐レイにプッシュし続けて、彼のミスを誘う走りを見せていましたが、対するハンター‐レイもこの猛追を退ける巧みな走りで逃げ続けます。。ファイナル・ラップのバック・ストレッチではプッシュ・トゥー・パス・ボタン(AGRのマシンはパドル)を強く握りすぎて、スイッチを壊してしまうという激しい攻防でした。武藤も予選11番手から久しぶりにトップ5以上を狙えるレースで、終盤は少し慎重になったのかもしれません。

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それと、このミド-オハイオのレース、武藤にちょっとした変化を感じました。どちらかと言えばレース中はアドレナリンが増殖し、興奮状態になることが多い武藤。しかしミド-オハイオでは無の境地というか非常に穏やかで、レース中行うピットとのラジオ交信も声を張ることなく、常に静かな口調でマシンの状態を冷静に報告するという変貌ぶりです。この落ち着き払った行動がピットにいるエンジニアやストレタジストを逆に引き締める感じになり、これまでに無い良い緊張感が生まれたのでした。
私もアメリカで3年近く武藤のレースを見てきましたが、今回のような武藤を見たのは初めてのことです。マシン・セッティングさえある程度決まっていれば、いつでもトップ5に入れるという感触を、武藤は確実なものにしたのかもしれません。次のインフィニオン(ソノマ)もパーマネント・ロード・コース。アップ・ダウンが多いものの比較的路面がスムーズなコースなので、武藤のパフォーマンスに期待したいと思います。
久しぶりに武藤に一言! 平常心が最大の武器。冷静な判断が好結果を生む。行き詰った時は一度寝てリセットするべし!

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さてさて、前回のコラムで報告させていただいた私の“ギックリ腰系サスペンション・トラブル”。友人の薦めで都内某所の整骨院に行ってビックリ!私の左右の足の長さが約3センチ近く違っていたのです。まるでオーバル・コースを走るインディ・マシンのごとく、この特異なセッティングが腰痛の根源だったのですが、スパナやレンチで治せない私の身体は、整骨院の先生の長年の勘? でセッティングし直されることになりました。
その先生曰く「だいたいどんなことされるか、聞いているよねー。ちょっと痛いよ。骨盤が相当ずれているからね」と身の毛もよだつ話をされ、ビビリ倒した私の身体は硬直。半径2Kmは届いたかもしれない悲鳴と鳴り響く骨の心地よい音とともに、痛みはみるみる解消していきます。今まで使っていなかった筋肉を使うようになって多少違和感(まっすぐ立っているような感じがしない)はありますが、前屈も後屈も問題なくできるようになり、ごく普通の生活を送れるようになりました。
私の身体はオーバル・コースのセッティングから、ロード・コースのセッティングに無事ファインチューニング! ただし基となるシャシーは古くて歪みがちなので、体幹を鍛えなければ直ぐに元通りになってしまうとのこと。1日1万歩+スクワット+ストレッチが必修科目となり、単位を落とせば痛みが待っているという脅迫観念と日々戦っています。
さぁ、これからサンフランシスコまでひとっ飛び。飛行機の中でも忘れずに運動しないと!