<US-RACING>
今年初めての常設ロードコースでの戦いであるインディカー・シリーズ第9戦の予選は、アメリカの独立記念日に開催。“ファイアストン・ファスト・シックス”を制したのは、なんと昨年と同じライアン・ブリスコーでした。1分28秒5970を叩き出し、チームメイトのカストロネベスが持っていたコース記録を大きく上回りました。「チーム・ペンスキーとしては、すごくうれしい結果だね。このコースが大好きだよ。2回目の予選セッションの後レッド・タイヤに履き替えて、1分28秒1322のタイムを記録したんだ。こんなに楽しくなったのは久しぶりだよ。ここのターンで保てるスピードは、ほんとうに信じられないほど速く、クルマのバランスはすごく良いんだ。明日のレースにもこのパフォーマンスを持っていけると良いね」と喜ぶブリスコーでした。今回のポール・ポジションにより、チーム・ペンスキーの5年連続のポール獲得となります。一方05年から07年まで3戦連続でポールからスタートしたチームメイトのカストロネベスは、タイムが伸び悩み、14位が精一杯でした。
2年連続の2位を獲得したジャスティン・ウィルソン。所属チームが変わったものの、去年どおり、ロードコースでの強さを発揮しました。「すごく満足しているよ。デイル・コイン・レーシングのみんなががんばって、良い仕事をしてくれたね。明日が良い一日になるように祈っている。レッド・タイヤは、他のドライバーより多く残っているんだ。それを利用して、力強いレースができると思う。とにかくミスを避けることがキーだろうね」と、ウィルソン。レッドタイヤだったブリスコーと違って、普通のブラックタイヤで記録しただけに、このパフォーマンスは目を見張るものがあります。今日の予選でレッド・タイヤを1セットしか使わなかったため、明日のレースでは、ブリスコーや他のドライバーより多くレッド・タイヤを使えるとのこと。果たしてグリップ力の高いレッド・タイヤを利用して、今シーズン初優勝を飾ることができるのでしょうか?
1分29秒7279のタイムで3位に入ったのは、第8戦リッチモンドのウイナー、スコット・ディクソンでした。「僕のマシンは予選よりレースでのパフォーマンスが高いと思う。今日の午後のプラクティスで良いセット・アップを見つけたよ。クルマは徐々に良い感じになってきた。ライアン・ブリスコーは確かに速いし、彼を追い上げるのは大変だろう。チームメイトのフランキッティがクラッシュしたのは、ちょっと残念だけど、2人ともトップ6からスタートするから、間違いなく勝てると思う」と明日のレースに向けて準備万端のようです。去年はクラッシュにより11位でフィニッシュしたディクソンですが、実は2005年から2007年まで3連勝していますから、自信がありますね。
KVレーシング・テクノロジーの若手ドライバー、マリオ・モラエスはキャリア・ベストの4位を獲得しました。「KVレーシング・テクノロジーのみんなが、クルマのセット・アップに力を入れてくれたおかげだよ。2週間前にここでテストをしたんだけど、間違いなく今日の結果につながったね。明日のレースでも良い結果になるといいね」。去年のエドモントン戦の10番グリッド以来のトップ10スタートとなります。4番グリッドから劇的な勝利を収めることができるでしょうか?
第8戦リッチモンドでみごと表彰台フィニッシュしたグラハム・レイホールは、1分29秒9526で5番目のタイムを記録しました。「すごくフィジカルなレースなので、長く走るのはきっと疲れると思うんだ。残念ながら、トップまでは届かなかったね。でもトップに近いし、良いレースになりそうだ」とレイホール。ところが、その後の車両検査で、レイホールのマシンが違反していることが判明し、10ポジション降格の15位スタートとなってしまいました。これで6位だったフランキッティが5位となり、6位にはプラクティスで激しいクラッシュを喫したドレイヤー&レインボールドのマイク・コンウェイがポジションアップしました。
2回目の予選セッションを2番手のタイムで通過し、ファイアストン・ファスト・シックスに挑んだダリオ・フランキッティ。しかしアタック1周目に最終ターンの進入でまさかのクラッシュを喫し、自動的に6番グリッドに収まりました。「ここで予選を走るのはいつも楽しいよ。3回の予選セッションは体力的に限界が試される。ファスト・シックスに入った時点で、トップ6内のスタートが保証されていたし、クルマがすごく良い感じだったから、かなりプッシュしたんだ。その勢いで最終コーナーに進入したらルーズになって、クラッシュしてしまったね」とフランキッティ。最後にここワトキンス・グレンで走った2007年に3番手スタートから3位フィニッシュしていますが、明日のレースでは追い上げることができるでしょうか?
惜しくも2回目の予選セッションを通過できなかった武藤英紀。「時間的にもう一周いけるとチームから聞いていたのですが、いざタイムアタックしようとしたら、その周にチェッカー・フラッグが振られてしまったんです」と悔しがる武藤。昨年のワトキンス・グレン戦では、不運にも予選アタック中にイエローが振られ、20番手スタートを余儀なくされた武藤でしたが、徐々に順位を上げ、みごと9位フィニッシュ。今年は12番手グリッドからの追い上げなので、トップ3を期待しましょう。
武藤のコメントです。「予選ではそんなに調子は悪くなかったですけど、はじめのセッションでもいけてトップ5だったと思います。すごくフィーリングは良かったんで、ポテンシャルはあったと思います。僕のチーム3台がここでテストをして、僕だけ来なかったんですが、それにしては悪くなかったかな。今回はようやくレッドタイヤでのタイムアップができましたし、良いバランスになっていたと思いますよ。今回の決勝レースは、またピットのタイミングがキーになると思うんですけど、その作戦をどうするのかチームとよく相談していきたいです。今回気温が低いので、タイヤの暖まりはすごく時間がかかっています。去年のAGRはロード・コースで苦労したんですが、だいぶ良くなっていると思いますよ。でもさらにレベルを上げないと、いけないですね」。また抜群の作戦でジャンプ・アップするといいですね。
人気のカナダ人ベテラン・ドライバーのポール・トレイシーは、ミルウォーキーでの苦労のレース以来、4レースぶりに復帰しました。今回はインディ500同様KVレーシングとともに、ワトキンス・グレン、トロント、エドモントンの3レースに参戦することが決まっています。実は今回がトレイシーにとってワトキンス・グレン初参戦。経験不足のせいか予選ではタイムが伸び悩み、2回目の予選セッションに行くことができず、14位となりました。4番グリッドからスタートするチームメイトのモラエスのデータもあることだし、後方からの追い上げが得意のトレイシーの本領発揮を期待しましょう。
朝から肌寒い気候となったワトキンスグレン。晴れ間が広がるものの、空気は冷たく、雲も多かったです。太陽が出れば暖かくなりましたが、気温は予選がスタートした3時の時点で20度までしか上昇しませんでした。昨年は蒸し暑い気候だったような記憶があるものの、今年は打って変わって涼しい感じです。昔から夏の避暑地として知られているワトンキンスグレンですが、今年は若干寒すぎる気がしますよ。アメリカ独立記念日であるJuly 4thなので、今晩はフィンガーレイクの周辺で花火が打ちあがり、それを多くの人々が湖畔で眺めて過ごし、明日のレースを観戦に来るのでしょうね。明日は昨年より2時間も早い午後1時30分にレースがスタートしますよ。今季初の常設ロードコースを制覇するのは、いったい誰でしょう?