INDY CAR

伝統のインディ500でエリオ・カストロネベスがポール・トゥ・ウイン 武藤英紀は10位でフィニッシュ

<Honda>

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2008年5月24日(日)決勝
会場:インディアナポリス・モーター・スピードウェイ(全長2.5マイル)
天候:晴れときどき曇り
気温:26〜29℃

1909年に完成し、建設100周年を迎えたインディアナポリス・モーター・スピードウェイにおいて93回を数えるインディ500が開催された。今年も伝統にのっとって2週末にわたる予選で、決勝へと進出する33人のドライバーが選ばれ、ポール・ポジションからスタートしたエリオ・カストロネベス(Team Penske)が決勝でも勝利を飾った。

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カストロネベスはレース序盤に6番手まで下がったが、周回を重ねる中でポジションをばん回し、142周目にトップへと返り咲いた。そして、2位へと順位を上げてきたダン・ウェルドン(Panther Racing)に1秒9819という差をつけてチェッカー・フラッグを受けた。カストロネベスにとってインディ500における勝利はこれで3回目、Team Penskeにとっては15勝目となった。

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Panther Racingは2005年のインディ500ウイナー、ウェルドンを起用してインディ500を戦ったが、あと一歩で優勝に手が届かず、2年連続の2位。悔しさをにじませていた。

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3位はダニカ・パトリック(Andretti Green Racing)。彼女はインディ500における自己ベストである4位を更新し、女性ドライバーとしてインディ500史上初となる、トップ3入りを果たした。

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全長2.5マイルのコースを超高速で走るインディ500は、気温の変化や風向きにも影響を受けるほどにデリケートで、マシンのコントロールには高度なテクニックが求められる。決勝レースは200周、500マイルの長丁場で、壁に囲まれたコースだけにドライバーには少しのミスも許されない。そのような状況下で、カストロネベスは順位を落としても全く慌てず、冷静な戦いぶりでレース終盤にトップに立ち、そこからは2位以下を突き放してゴールへと飛び込んだ。

ビクトリーラップを終えたカストロネベスは、メインストレートでマシンを降りるとグランドスタンド前のフェンスによじ登った。2002年以来となる彼のパフォーマンスにファンは熱狂していた。

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インディ500に2回目の出場を果たした武藤英紀(Andretti Green Racing)は、予選16位で6列目イン側グリッドからスタート。予選までよりも暖かくなったコンディションでマシンのハンドリングが非常によく、50周までに10位までポジションを上げた。しかし、3回目のピットインをするタイミングがアクシデントと重なる不運があり、一時は18位まで順位を下げた。その後、4回目のピットストップでは作業を終える前にジャッキが降ろされてしまうミスが発生し、14位までばん回していた順位を20位までダウンさせてしまった。それでも武藤はモチベーションを高く保つよう心がけ、最後まで順位争いをしながら10位でのゴールを果たした。

<コメント>
エリオ・カストロネベス(優勝)「信じられない。この涙が私の気持ちのすべてを表していると思う。Team Penskeは本当にすばらしいチームだ。このチームと、多くのスポンサーは、脱税疑惑で厳しい立場に置かれた私の無罪を信じ、サポートし続けてくれた。私に再び走るチャンスを、人生を与えてくれた。だからこそ、彼らのためにも今日勝てたことがうれしい。レース中には無線のトラブルがあり、ピットストップでギアがニュートラルに入ってしまう問題も出た。しかし、インディというのは本当に不思議な場所だ。我々のマシンはレース終盤に目覚ましいスピードを発揮するようになった。そして3度目の優勝を飾ることができた。本当に信じられない一日となった」

ダン・ウェルドン(2位)
「エリオ・カストロネベスをパスするまでの力が今日の我々にはなかったのだろう。しかし、非常に満足のいくレースだったと胸を張って言うことができる。自分もチームも、持っている力の100%を発揮して戦うことができたからだ。私のキャリアの中でも、これだけの戦いができたレースは決して多くはない。カストロネベスに勝負を挑むことはできなかったけれど、チームは今日の2位という結果を誇りに感じていいと思う。努力が足りなかったための2位だとは思わない。クルーたちはピットストップのたびにポジションを上げてくれた。我々はすばらしいレースを戦ったんだ」

ダニカ・パトリック(3位)
「レースを通してAndretti Green Racingのピットストップはすばらしかったわ。マシンの調子がレース終盤にとてもよくなっていたので、給油の必要もなく、思う存分に戦うことができると思い、私としては最後の35周がずっとグリーンで戦われることを期待していたの。残念ながらレースの終盤にイエローが出てしまったけれど、見ごたえのあるレースになっていたと思うし、ファンも私たちのバトルを思う存分に楽しんでくれたことでしょう。今日は本当に速かったエリオ・カストロネベスに『おめでとう』と言わなくてはならないわね」

武藤英紀(10位)
「カーブデイのセッティングから空力バランスを少し変えたマシンは、今日の暑いコンディションの下でとてもいいハンドリングになっていました。序盤からオーバーテイクをどんどん重ね、順位を上げていくことができました。しかし、ピットに入るタイミングでアクシデントが起きて順位を落とし、その後にもピットでのミスがあって、同じ相手を何度も抜いていかなければなりませんでした。今日の僕らのマシンは10位を争うものなどではなく、トップグループでの争いができるマシンでした。トップ3に入れるマシンになっていたと思います。そういうマシンがありながら、他のことがうまくかみ合わず、とても悔しい」

エリック・バークマン|HPD社長
「エリオ・カストロネベスが見事な戦いぶりで勝利を収めた。速いマシンを手にしている自信が、彼に落ち着きを与えていたのだと思う。トップを走ることは少なかったというのに、ピットストップを重ねる中でマシンをさらに向上させていったのだろう。彼は終盤に先頭に立つや、2位以下を突き放して逃げきった。バスケット・ボールの試合などと同じで、ゲームの最初から最後まで同じ緊張感を保つのは難しい。カストロネベスはレース終盤に持てる力を出しきることができた。だからこそ勝利を手にできたのだと思う。

Panther Racingは2年連続の2位。優勝を逃しはしたが、すばらしい成績だと思う。ダニカ・パトリックは実力をさらに伸ばしていると感じる。この1カ月を通して安定した速さを見せていた。彼女がまた優勝を飾る日は近いだろう。

100周年を迎えたインディアナポリス・スピードウェイで行われた今年のインディ500は、我々Hondaがエンジンの単独供給を行うようになって4年目である。そして、今年も我々はレース中にひとつのトラブルも出すことなく、伝統のレースを支えることができ、誇りに思う」

<決勝リザルト>
順位 No. ドライバー チーム C/E/T 差
1 3 エリオ・カストロネベス Team Penske D/H/F –
2 4 ダン・ウェルドン Panther Racing D/H/F +1.9819
3 7 ダニカ・パトリック Andretti Green Racing D/H/F +2.3350
4 8 タウンゼント・ベル KV Racing Technology D/H/F +2.7043
5 12 ウィル・パワー Team Penske D/H/F +3.6216
6 9 スコット・ディクソン Target Chip Ganassi Racing D/H/F +4.2988
7 10 ダリオ・フランキッティ Target Chip Ganassi Racing D/H/F +4.9159
8 20 エド・カーペンター Vision Racing D/H/F +5.5096
9 15 ポール・トレイシー KV Racing Technology D/H/F +6.5180
10 27 武藤英紀 Andretti Green Racing D/H/F +7.3312
11 36 アレックス・タグリアーニ Conquest Racing D/H/F +10.5351
12 19 トーマス・シェクター Dale Coyne Racing D/H/F +10.9874
13 99 アレックス・ロイド Sam Schmidt Motorsports D/H/F +11.1944
14 16 スコット・シャープ Panther Racing D/H/F +11.4259
15 6 ライアン・ブリスコー Team Penske D/H/F +12.6695
16 41 A.J.フォイト4世 A.J. Foyt Racing D/H/F +15.4867
17 67 サラ・フィッシャ− Sarah Fisher Racing D/H/F +15.9774
18 24 マイク・コンウェイ Dreyer & Reinbold Racing D/H/F +16.3488
19 43 ジョン・アンドレッティ Dreyer & Reinbold Racing D/H/F +18.0868
20 23 ミルカ・デュノー Dreyer & Reinbold Racing D/H/F +1Lap
21 14 ヴィットール・メイラ A.J.Foyt Racing D/H/F +27Laps
22 2 ラファエル・マトス Luczo Dragon Racing D/H/F +0.0091
23 18 ジャスティン・ウィルソン Dale Coyne Racing D/H/F +40Laps
24 13 E.J.ヴィソ HVM Racing D/H/F +61Laps
25 00 ネルソン・フィリップ HVM Racing D/H/F +70Laps
26 17 オリオール・セルビア Rahal Letterman Racing D/H/F +102Laps
27 11 トニー・カナーン Andretti Green Racing D/H/F +103Laps
28 06 ロバート・ドーンボス Newman/Haas/Lanigan Racing D/H/F +115Laps
29 44 デイビー・ハミルトン Dreyer & Reinbold Racing D/H/F +121Laps
30 26 マルコ・アンドレッティ Andretti Green Racing D/H/F +144Laps
31 02 グラハム・レイホール Newman/Haas/Lanigan Racing D/H/F +145Laps
32 21 ライアン・ハンターレイ Vision Racing D/H/F +181Laps
33 5 マリオ・モラレス KV Racing Technology D/H/F +200Laps

<ポイントスタンディング>
順位 ドライバー チーム 総合ポイント
1 ダリオ・フランキッティ Target Chip Ganassi Racing 122
2 エリオ・カストロネベス Team Penske 117
3 ライアン・ブリスコー Team Penske 114
4 スコット・ディクソン Target Chip Ganassi Racing 111
5 トニー・カナーン Andretti Green Racing 110
6 ダニカ・パトリック Andretti Green Racing 109
7 ダン・ウェルドン Panther Racing 106
8 ウィル・パワー Team Penske 99
9 ライアン・ハンターレイ Vision Racing 84
10 マルコ・アンドレッティ Andretti Green Racing 83
11 グラハム・レイホール Newman/Haas/Lanigan Racing 82
12 ジャスティン・ウィルソン Dale Coyne Racing 77
13 武藤英紀 Andretti Green Racing 71
14 エド・カーペンター Vision Racing 70
15 ロバート・ドーンボス Newman/Haas/Lanigan Racing 69
16 ヴィットール・メイラ A.J.Foyt Racing 62
17 ラファエル・マトス Luczo Dragon Racing 60
18 アレックス・タグリアーニ Conquest Racing 59
19 マリオ・モラレス KV Racing Technology 53
20 E.J.ヴィソ HVM Racing 49
21 マイク・コンウェイ Dreyer & Reinbold Racing 48
22 スタントン・バレット Team 3G 44
23 ダレン・マニング Dreyer & Reinbold Racing 38
24 タウンゼント・ベル KV Racing Technology 32
25 サラ・フィッシャ− Sarah Fisher Racing 30
26 ミルカ・デュノー Dreyer & Reinbold Racing 26
27 ポール・トレイシー KV Racing Technology 22
28 トーマス・シェクター Dale Coyne Racing 18
29 アレックス・ロイド Sam Schmidt Motorsports 17
30 スコット・シャープ Panther Racing 16
31 A.J.フォイト4世 A.J. FoytRacing 14
32 ジョン・アンドレッティ Dreyer & Reinbold Racing 12
33 ネルソン・フィリップ HVM Racing 10
34 オリオール・セルビア Rahal Letterman Racing 10
35 デイビー・ハミルトン Dreyer & Reinbold Racing 10