<US-RACING>
予選最終日はお馴染みのバンプ・デーで、今年は今まで以上にエキサイティングでした。セッション終了まで残りわずか8分、ライアン・ハンター‐レイが33番手からバンプアウトされたのですが、終了間際の5時57分に再びアタックへ出て、アレックス・タグリアーニをバンプアウト。なんとか最終グリッドを取り戻しました。最後にポジションを獲得したドライバーとして、ファイアストンから賞金5万ドルを授与。「ほんとうにぎりぎりの一日だった。ダウンフォースを信じられないくらい削っていたよ。レースで後ろから巻き返しができると良いね」とハンターレイ。ロジャー安川によると、ライアンのマシンはカンザス戦から何かがおかしいらしく、何をやっても速くならないようです。なんとか残りましたが、なんだか浮かない顔でした。
昨日暫定27番手だったトーマス・シェクターですが、自分の順位まで次々とバンプされ、ついに33番手に。午後5時36分に前日登録したスピードを放棄し、再びアタックに出ました。そこでみごとこの日トップの221.496マイルを記録し、昨日よりも1スポット・アップの26番グリッドを確保。「最初のスピードでセーフだと思っていたけど、いきなりバンプされそうになってしまった。最終的に良い走りができたけど、最後のラップは完璧じゃなかったね。今年は7年目だから、今日は精神的にも準備ができていた」と冷静なシェクターでした。
午後1時02分に1度バンプ・アウトされ、再挑戦ではスピードが伸びず、ウェイブ・オフしたジョン・アンドレッティ。ハッピー・アワーで2度目のアタックに挑んだのですが、わずかに届かず。しかし5時52分に最後のアタックに出ると、いきなり一周目から221マイル台を記録し、会場は大騒ぎ。平均スピード221.316マイルでみごと28番手に入り、ハンターレイをバンプ・アウトしました。さすがアンドレッティ家と思わせるアタックでしたよ。
今日のバンプ・デーはネルソン・フィリップのアタックから始まりました。昨日33番手だったフィリップは、バンプ・アウトされる可能性がほぼ確実だったので、予選開始早々自らアタックを行い、220マイル台を記録。ポジション・アップに成功し、一安心といったところでした。最終的にはこのとき記録したスピードで、バンプされることなくセッションが終了。予選32位で決勝を迎えることになりました。「素晴らしい走りができた。コンディションがだいぶ良くなっているし、クルマも良くなっているんだ。昨日よりも2.7マイル速く走れたので、とてもわくわくしているよ。すごく大きなゲインだ」とうれしそうなネルソン。あれだけスピード・アップできて、いったいどんな変更をしたのか、少し気になりますね。
ミルカ・デュノもバンプ・デーの対象になりやすい32位だったため、12時21分にアタックを行いました。すると昨日は218マイル台だったのに、いきなり平均スピード221.106マイルを記録。ピットに戻ってきたミルカは、マシンから降りると大はしゃぎでした。「今朝チームメイトのデイビー・ハミルトンとともに、様々なところを直したの。クルーがクルマの速さだけでなく、安定性にも力を入れてくれたので、常に速かったわ。ほんとうに最高だった!」ととてもうれしそうでした。
昨日、参戦が決まったブルーノ・ジュンケイラは、今日の午前のプラクティスから走り初めとなりました。すると、マシン、ドライバーともに安定したスピードを見せ、午後のアタックでは、初めてにもかかわらず平均221.115マイルを記録。この素晴らしい走りでみごと30番グリッドを獲得しました。と思いきや、レース後にコンクエスト・レーシングによる記者会見が行われ、なんとバンプ・アウトされたチームメイトのアレックス・タグリアーニが、ジュンケイラが予選を通過したマシンで出場すると発表。ジュンケイラは「プラクティスもせずに最初から速く走れたので、僕としては満足している。アレックスはコンクエストのメイン・ドライバーなので、彼に何かがあった場合、僕が譲ることになるというのは分かっていたんだ」と会見でコメント。きっと悔しいでしょうね。
最初のプラクティスで今日のトップ・スピードが出せるほどの速さを見せていたタグリアーニでしたが、最終的に再アタックに出ず。しかし、終了3分前にハンター・レイにバンプ・アウトされ、慌てて再アタックしようとしましたが、時間切れのためバンプアウトのままとなってしまいました。今日から走行を始めたジュンケイラが予選を通過し、メイン・ドライバーのタグリアーニがバンプアウトされる状況に陥ったチーム・コンクエスト。「タグリアーニは遅かったわけではなく、ただ運が悪かっただけなんだ。シーズンのはじめから我々のメイン・ドライバーだったし、マーケティングの約束もあるため、タグリアーニを走らせることにした」と発表したチーム・オーナーのエリック・バシェラート。ロジャー安川のスポンサー獲得が一日早ければ、このチームになっていた可能性もあったので、ちょっと複雑です。ジュンケイラは納得したとは言っていますけど、こういうこともあるんですね。
バンプアウト以外、今日は実質、レースセッティングに向けた走行を行う最後の日となりました。武藤は96周を走り込み、最終的なレース・セッティングに余念がありません。明日から4日間もプラクティスが行われませんが、22日のカーブ・デーでは、予選通過した全33台が決勝前最後の練習走行を行います。2年目の参戦となる武藤の活躍に期待したいてすね。
今日は、朝から快晴となったインディアナポリス。しかしプラクティスの時点で13度しかなく、風も吹くと体感温度は10度以下に感じました。日中になっても気温は16度までしか上がらず、一日を通して肌寒い気候でした。今日のバンプ・デーは昨日のような天候による中断もなく、ハッピー・アワーからのアタック合戦には、訪れていた観客も大いに盛り上がっていましたよ。