<US-RACING>
カストロネベスの突然の復帰で、今日の朝急遽ベライゾンカラーのカー・ナンバー12のマシンにスイッチしたウィル・パワー。このような状態になった場合を予想して、チームは一週間前にベライゾンのマシンを用意していたようです。しかし、いくら去年の優勝者で、昨日のトップだといっても、まさかマシンをいきなり乗り換えてポール・ポジションになるとは誰も予想していなかったに違いありません。今回パワーが見せたパフォーマンスは、ロジャー・ペンスキーに大きなインパクトを与えたはず。明日のレースでロング・ビーチ2連勝を決め、インディ500以外のシートも手に入れてほしいですね。
このコースで7回のレース経験を持つダリオ・フランキッティが、2位フロント・ローを獲得。2007年のALMSレース以来となった今回、2年間のギャップを感じさせない走りを見せてくれました。これまで7回も走りながら、最高2位が2回。果たして、明日はこの伝統の市街地コース初制覇できるでしょうか。
ベテランが有利なこの市街地コースで予選3位に入ったのは、なんとルーキーのラファエル・マトス。今週末から新しいスポンサーがついて、予算がアップしたのか、本来の実力を十分に発揮できる環境になったようです。ルクソー・ドラゴンは、ロジャー・ペンスキーの息子、ジェイがオーナーとなっており、今朝ロジャーがルクソーのトレーラーから出てきたのですが、何か秘策を与えたのでしょうか。
4位にも意外なドライバーが入りました。去年チャンプ・カーでデビューする予定だったEJヴィソです。突然の合併により、インディカーでデビューしたヴィソは、ロング・ビーチで最初で最後のチャンプ・カー・レースを経験しました。そのときは9位に終わりましたが、今回は慣れたインディカーで上位フィニッシュしたいところですね。
先週に続き、トップ・チームとバトルし続けているジャスティン・ウィルソンは、予選で5位3列目を獲得。チャンプカーで過去5回もロング・ビーチを走り、去年のチャンプ・カー・フィナーレでポール・シッターでしたが、レースでは無念のリタイア。前戦のように最多リード・ラップを重ねて、今度こそ優勝してほしいです。
期待の武藤は昨日のプラクティスと打って変わり、午前中は走り始めから常にトップ5圏内にいる好調ぶりを見せてくれました。本人も「ベスト3はいける」というマシンに仕上がり、とても張り切っていたのですが、9周目にターン9の立ち上がりでマシンが突然内側に切れ込み、不自然な動きを見せて壁に激突。それほど減速せず、リア・タイヤにも駆動がかかっていた状態だったので、何らかのマシン・トラブルに見舞われた感じでしたが、「原因は解らない」とのことでした。クルーは2時間かけてマシンを直したものの、完全に元の状態には戻らず、予選17位という悔しい結果に。明日のウォームアップで、なんとかクラッシュ前の状態に戻し、決勝での追い上げに期待したいところです
昨日2ヶ月に及ぶ脱税容疑の裁判が無罪判決で終わり、今日の午前7時40分にロング・ビーチのパドックにやって来たエリオ・カストロネベス。パワーが走っていたマシンに乗り込み、去年の最終戦以来の走行で、みごと予選8位を獲得しました。予選前に、ロジャー・ペンスキーとの記者会見で、「長く続いた悪夢から、やっと目が覚めたような感じだよ」と泣き崩れてしまったカストロネベス。「大勢のファンやメディアから応援のメッセージをもらったおかげで、このつらい時期を乗り越えることができたんだ。ほんとうに感謝しているよ」と語り、あたたかい拍手が贈られました。明日のレースでファンの期待に応えてほしいですね。
カリフォルニアらしい青空が広がったロング・ビーチは、強い日差しが降り注ぎ、気温が27度まで上昇しました。それでも乾燥した気候のため、それほど暑さは感じることもなく、ビールを飲みながらにはもってこいの観戦日和となりましたよ。明日はさらに暑くなると予報されているので、決勝レースでは、きっとドライバーの忍耐力も試されるに違いありませんね。