<Formula Dream Indy>
<2008 IRLインディカー・シリーズ第17戦シカゴランドPeak Antifreeze & Motor Oil Indy 300>
【日 程】2008年9月6〜7日
【開催地】イリノイ州ジョリエット
【コース】シカゴランド・スピードウェイ
【距 離】オーバルコース:1.5マイル(2.414km)
【天 候】7日:晴れ/気温24〜25℃
【時 間】午後2時30分〜(日本時間8日午前4時30分〜)
■■■9月7日決勝■■■
<シカゴランドは自身二度目のレース>
今年もIRLインディカー・シリーズはイリノイ州シカゴランド・スピードウェイで最終戦を迎えた。武藤英紀は今年からIRLインディカー・シリーズにフル参戦しているが、それに先立って昨年のシカゴランドでインディカー・デビューを果たしている。今回は武藤にとってレース経験のあるサーキットでの初めてのレースとなった。
3月の開幕以来、武藤はアンドレッティ・グリーン・レーシングとともに16戦を戦ってきた。その経験をもとに最終戦には完全に決勝重視の姿勢で臨むことに決めた。予選順位は11位。トラフィックの中でのマシンバランスの良さを追求したプログラムをこなしながらも、昨年のデビュー戦よりふたつ上のスターティンググリッドを手に入れた。
<スタートで8位にジャンプアップ>
予選までに掲げた最も大きなテーマは決勝用セッティングをベストに仕上げること。その次に武藤が意識したのはリスタートと、インラップ&アウトラップの重要性だった。プラクティスではインラップ、アウトラップともにレベルの高い数字に到達。コース上でのオーバーテイクに加え、ピットストップでもポジションを上げることを目標に掲げた。
午後2時半過ぎに切られたスタートで、武藤は3つポジションアップの8位に浮上する。しかし、ハンドリングはアンダーステアが強く、最初のピットストップを迎えるまでに15位まで順位を落とした。ピットストップでポジションをひとつ挽回し、リスタート1回目でも武藤はさらにひとつ順位を上げた。
<ハンドリングで苦戦し、ピットとリスタートで奮闘>
2回目のピットストップを18位で迎えた武藤は、ここでひとつポジションを上げる。リスタート前に1台が予定外のピットインを行い、武藤は16位へ。さらに、リスタート後に1台をオーバーテイクし、レース前に掲げた課題を果たしていった。
ところが、3回目のピットストップで武藤はマシンを正確に規定の位置に停止させることができなかった。その上、ピットからゴーの指示が出された後もクルーが武藤を制止。ここでのタイムロスが響き、21位まで順位は下がった。
<まさかのトラブル発生で完走はならず>
それでも武藤はリスタートで2台をパスし、再び16位までポジションを戻した。レースはいよいよ終盤を迎えていた。
最後のチャージを仕掛けようと武藤は意気込んでいた。フルコースコーション中に二度ピットストップを行う作戦により、燃料搭載量でライバル勢に対するアドバンテージも手に入れた。しかし、その直後に電気系統にトラブル発生。イグニッションを切ってリセットしても再びエンジンがシャットダウンするという症状が出続けて、大幅にスピードダウン。走行は不可能となり、最終戦は無念のリタイアとなった。
<最大の目標であるルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得>
シカゴランドでは存分に力を発揮できなかった。しかし、武藤は第8戦アイオワで歴代日本人ドライバーの中でもベストとなる2位フィニッシュを記録し、合計6回のトップ10フィニッシュを達成。最終ポイントスタンディングでも10位という堂々たる成績を納め、栄えある2008年IRLインディカー・シリーズ・ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。
■■■コメント■■■
<武藤英紀>
「ライバルが増えた中でルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得できてよかった」
「スタートでのアンダーステアで、自分たちの予想していたのとは大きく違うハンドリングになっていました。乗りづらいマシンで大きく順位を落としましたが、スティント中にウェイトジャッカーを操作するなど、やるべきことは全部やっていました。1回目のピットストップでフロントウイングを立てて、マシンのバランスはかなり良くなったんです。しかし、集団から抜け出すことができませんでした。今回スタートは良かったし、リスタートも悪くはなかったので、来年につながる戦いはできていたと思います。最後は電気系のトラブルだと思うのですが、急に失速して、何もできない状態になってしまいました。もっと前へ上がっていくレースができると考えていたのですが、そうはできませんでした。2スティント目のハンドリングが最初からあれば、トップグループでレースができたと思います。しかし、遅い集団に入ってしまい、パスしていくことができませんでした。悔しいですね。
ルーキー・オブ・ザ・イヤー獲得は大きな意味があると思います。今年はCCWSチャンプカー・ワールド・シリーズから多くのドライバーたちが参戦してきました。彼らと戦えたこと、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを手にできたことはよかったと思います。
この1年間、自分はとても成長したと感じています。アンドレッティ・グリーン・レーシングというチームで走るチャンスをもらい、チームに溶け込むこともできました。しかし、落としたレースも多かったし、もっとスムーズに物事が運べばさらに上位のランキングでシーズンを終えることができたと思います。シーズン終盤は車体にトラブルが出たことも多かったですから。来年は自分にとって2シーズン目ですから、優勝を目標に頑張ります。まず1勝して、そこから何を得られるか。とにかく、まず1勝を挙げたいと思います」
<レイ・ガスリン:レースエンジニア>
「今日の結果は残念だが、ルーキー・オブ・ザ・イヤー獲得を誇りたい」
「スタートでのハンドリングが大きなアンダーステアだった。それを1回目のピットストップで修正することはできたが、トラフィックの中で思うようにポジションを上げていくことができなかった。ヒデキもマシンが良くなったと言っていたが、一列の状態だったらパスを重ねていくことができたかもしれない。今日のレースは昨年よりはるかに各チーム間の実力が拮抗しており、集団を形成しての難しいバトルが続いていた。レース終盤には電気系トラブルが発生し、エンジンを守るためのモードが作動。燃料がカットされる症状に陥り、レースを最後まで走り切ることができなかった。
しかし、我々は今シーズンの目標に設定していたルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。今日は悔しい内容と結果になったため、いまは目標達成を手放しに喜ぶ気持ちにはなれないが、最大の目標を達成することができた。ヒデキと僕らは、CCWSチャンプカー・ワールド・シリーズから経験豊富なドライバーが多数エントリーしてきたシーズンに、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。大いに誇ってよいことだと思う。来シーズンは今シーズン以上に戦いが激しくなるだろうが、ヒデキは1年間を戦い抜き、多くの経験を重ね、多くを学んだ。このオフには万全の準備を行い、より高い競争力を備えて2009シーズンを迎えるつもりだ」
■■■決勝結果■■■
1.5マイル(2.414km)×200周=300マイル(482.803km) 出走28台
順位 No. ドライバー タイム 平均速度mph(km/h)
1位 3 H.カストロネベス 2:01’04.5907 150.649(242.446)
2位 9 S.ディクソン +0.0033 150.648(242.444)
3位 6 R.ブリスコー +0.0811 150.647(242.442)
4位 11 T.カナーン +0.6128 150.636(242.425)
5位 8 W.パワー +1.3613 150.620(242.399)
22位 27 武藤英紀 23周遅れ 135.836(218.606)
※全車シャシー:ダラーラ/エンジン:Honda/タイヤ:ファイアストン
■■■ポイントスタンディング■■■
順位 No. ドライバー ポイント ビハインド
1位 9 S.ディクソン 646 リーダー
2位 3 H.カストロネベス 629 -17
3位 11 T.カナーン 513 -133
4位 10 D.ウェルドン 492 -154
5位 6 R.ブリスコー 447 -199
10位 27 武藤英紀 346 -300
■■■ルーキー・オブ・ザ・イヤー・スタンディング■■■
順位 No. ドライバー ポイント ビハインド
1位 27 武藤英紀 346 リーダー
2位 02 J.ウィルソン 340 -6
3位 8 W.パワー 331 -15