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インディカー・シリーズ 第14戦 ケンタッキー【決勝日】フォト&レポート

<US-RACING>

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終わってみればディクソンの完勝だったケンタッキー。序盤は力強い走りでレースをリードし、レース中盤はマルコ・アンドレッティにトップを奪われながらも、クルーの素早いピット作業に助けられてポジションを取り戻した。最後のピット・ストップを終えた後は、鬼神の走りでトップのエリオ・カストロネベスを猛追し、最終ラップの最終ターンで燃料が尽きたカストロネベスを会心のオーバーテイク。2005年にウエルドンがマークしたシリーズ・タイ記録のシーズン6勝目を挙げた。「なんて素晴らしい一日だったんだ。今日はなるべく安全でコンサバティブにいこうと思っていた。トラフィックに捕まったときでさえ慌てることはなかったよ。マシンは完璧だったからね。予選やプラクティスほどのスピードではなかったけど、今日のマシンはほんとうに速かったんだ」と興奮して話すディクソン。この勝利で2003年以来となる自身二度目のチャンピオンを大きく引き寄せた。

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無念のエリオ・カストロネベス。あと数百メートルというところで、念願の今シーズン初勝利が消えてしまった。今週末、プラクティスから精彩を欠いていたペンスキーは、決勝でもトップ争いに絡むことができない。そこで3回目のコーションで2回のピット・ストップを行い、レース残り56周をノー・ピットで走りきる作戦に打って出た。カストロネベスも燃費を意識した走りでペースを抑え、思惑通り残り6周でトップに躍り出る。だが、予想以上に燃費は厳しく、十分な燃料を積みハイペースで迫るディクソンを抑え込むことができず、最後は最終ターンでガス欠となり、0.5532秒差でまたしても勝利を逃すことになった。「チャンスはあったと思うけど、はっきり言ってこれほど優勝に近づくとは思わなかったよ。最終ターンへ入ったときに燃圧が落ち、ペースが落ち始めた。あともう少しだったのにね。素晴らしい作戦を立ててくれたシンドリックとチーム・ペンスキーに感謝している。残念ながら優勝できるマシンではなかったけど、2位になれてとても嬉しいよ」と喜ぶカストロネベス。昨年来続く未勝利の長いトンネルを抜け出すのは、いったいいつになるのだろうか。

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レース中盤からディクソンと激しいトップ争いを展開したマルコ・アンドレッティ。インサイドをキープするディクソンに対し、アウトサイドから猛烈なプレッシャーをかけるという白熱のバトルが、観客の興奮を高めた。オーバル初勝利を目指すアンドレッティだったが、素早いピット作業を行うチップ・ガナッシの前に破れ、ディクソンの再逆転を許してしまう。何とかディクソンを捕らえるべく追撃するが、フィニッシュまでの周回数は残られておらず、結局3位に終わった。「単独ではディクソンの方が少し速かったけど、トラフィックでなら僕達に分があったはずだよ。彼と僕で勝敗を分けたものは、ただ運の問題だと思うね」とアンドレッティ。速さは十分アピールできているだけに、2006年のインフィニオン以来となる勝利が待ち遠しい。

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今季3度目のセカンド・ロー・スタートに、決勝での活躍が期待された武藤英紀。スタートから先頭集団に加わりトップ4を形成するが、強いアンダー・ステアのためにペースを上げられず、ポジションをひとつ下げてしまう。徐々にトップ集団からも離され、後方から迫るライバルを抑える苦しい展開となったが、なんとか5番手を守り、最初のピット・ストップでウイングを調整して追い上げを図った。ところが、133周目のグリーン中に行った2回目のピット・ストップ中に運悪くコーションが発生し、大きくポジションを落とすことに。レース中盤には奇妙なバイブレーションが発生するという不運も重なり、結局バイブレーションに起因するトラブルで157周目にレースを終える決断をした。ルーキー武藤の試練は続くが、ここを乗り越えて更なる飛躍を願うばかりだ。

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「フィニッシュできなかったのはとても残念ですね。何が起こったのか正確にわかりませんが、バイブレーションがひどくなったので、ピット・インすることを決めました。2