<US-RACING>
前戦のライムロックでハイクロフト・レーシングが鮮烈な初総合優勝を果たしたLMP2クラスのアキュラ。このミド-オハイオはホンダの工場が近くにあることから、アキュラ/ホンダにとってはホーム・レースであるため、是が非でも優勝が欲しいところだ。その期待に応える予選結果を残したのは、今年からアキュラ勢に加わったド・フェラン・モータースポーツのオーナー兼ドライバー、ジル・ド・フェラン。渾身のアタックで1分7秒969をマークし、参戦からわずか3戦目にして総合ポール・ポジションを獲得してみせた。このタイムはこの日インディカーで記録された最速タイム、1分7秒9102秒に迫る素晴らしいものだった。「今日はほんとうに興奮した一日だったよ。僕達はまだ若いチームだけど、3レース目で初めてポール・ポジションを獲れたんだ。信じられないね。すべてのクルーに心から感謝している。彼らの働くリズムも信じられないほどだった。アキュラやHPDの人たちにもありがとうと言いたい」と大喜びのド・フェラン。チーム創設3戦目で早くも総合優勝が見えてきた。
予選2位には、前戦でアキュラに初の総合優勝をもたらしたハイクロフト・レーシングが入った。デイビッド・ブラバムがステアリングを握り、1分8秒193をマーク。ペンスキー・ポルシェのティモ・バーンハードをわずか0.045秒振り切り、アキュラのホーム・レースで見事フロント・ローを独占した。「ほんとうに嬉しいよ。もちろん先週のノース・イースト・グランプリではポール・ポジションになったから、もう一度トップになれればよかった。だけど、プラクティスではずっと苦しんでいて、6番手か7番手のタイムだったから今日の結果には満足しているんだ」と安心した様子のブラバム。狙うは2戦連続の総合優勝だが、そのためには、まず同じアキュラ勢のド・フェランを倒さなくてはいけない。
昨年LMP2クラスで圧倒的な強さを誇ったペンスキー・ポルシェだが、このミド-オハイオではライム・ロックに続いてアキュラ勢の後塵を拝すことになった。アキュラ、ペンスキー、アウディが次々にタイムを更新する神経戦のなか、7ラップ目に1分8秒238のベスト・ラップを記録し、暫定トップだったハイクロフト・レーシングに0.045秒まで迫った7号車。このままの勢いで一気にポール・ポジションを狙いたいペンスキーだったが、この後3周に渡ってアタックするも結局タイムは更新できず。それどころか、ド・フェラン・モータースポーツに最高のアタックを決められてしまい、無念の予選3位でセッションを終えた。
アンドレッティ・グリーン・レーシングは惜しくもポルシェにおよばず、総合4位でアキュラ勢トップ3独占とはならなかった。第5戦から、それまでのブライアン・ハータ&クリスチャン・フィッティパルディというベテラン・コンビを一新したAGR。新加入のフランク・モンタニーのパートナーとして、前回はマルコ・アンドレッティがインディカーと掛け持ちで出場し、今回はインディ・ライツのラファエル・マトスが出場する。前戦は予選に出場しなかったために最後尾からの追い上げで総合6位に入ったAGRだが、4番手スタートの今回はどのようなレースを見せるだろうか。
ル・マン24時間レースを制したアウディ・ノース・アメリカは、主戦場であるアメリカン・ル・マン・シリーズで苦戦を強いられている。前戦ライム・ロックではアキュラに総合優勝を奪われ、このミド-オハイオでもLMP1クラスのコース・レコードである1分8秒357をマークするものの、予選5位が精一杯だった。アウディの前にはP2クラスのマシンが4枚の厚い壁となって立ちはだかっている。「僕にとってはとても良い予選だったね。今週末は1分8秒5を出すことが難しいと分かっていたから、8秒3が出たことは素晴らしいことなんだ。明日は予選よりもっとタイムが接近するはず。トラブルと渋滞にはまらなければ、良いレースができると思うよ」と自信を見せるベルナー。パッシングが難しいコースで、いかにして4台のP2クラスのマシンを抜くかが勝負だ。
日中、太陽を覆った雲が再びなくなり、快晴のもとでアメリカン・ル・マン・シリーズの予選が行われた。すでに午後6時を過ぎているというのに、日差しはまだ強く、昼間とは異なる生ぬるい風が吹きつける。午後6時10分から20分間の予選セッションは、毎周のようにトップが入れ替わる白熱した接近戦となり、なんとトップ5までがコンマ4秒以内にひしめき合う結果となった。