INDY CAR

アタックラップ中にイエローが出る不運で武藤英紀の予選順位は20番手

<Formula Dream Indy>

<2008 IRLインディカー・シリーズ第10戦ワトキンスグレンCamping World Grand Prix at The Glen>
【日 程】2008年7月4〜6日
【開催地】ニューヨーク州ワトキンスグレン
【コース】ワトキンスグレン・インターナショナル
【距 離】ロードコース:3.4マイル(5.422km)
【天 候】5日:晴れ/気温22〜26℃
【時 間】午後1時30分〜(日本時間6日午前2時30分〜)

■■■7月5日予選■■■
<第2戦以来、久しぶりのロードレース>
 IRLインディカー・シリーズ第10戦は、ニューヨーク州ワトキンスグレン・インターナショナルでのロードレースだ。第2戦Hondaグランプリ・オブ・セント・ピーターズバーグ以来となる今年2回目のロードコースイベント、そして、今年初めての常設サーキットでの戦いである。
 第2戦セント・ピーターズバーグでの武藤英紀は、予選で力をフルに発揮できなかったために中団からの出走となった。しかし、レース終盤にポジションアップを重ね、6位フィニッシュという好結果を手にしている。2回目のロードレースとなる今回、武藤とチームはセント・ピーターズバーグでの経験をもとに、予選から常にトップを競うパフォーマンスを見せ続けるという意気込みでサーキット入りをした。

<午後になってハンドリングは好転>
 1961年から1980年まで20年間にわたってF1グランプリを開催し続けたサーキットは、アップダウンに富み、高速コーナーの多いチャレンジングなレイアウトだ。武藤はプラクティス1回目、マシンのボトミングと、それによって誘発されるアンダーステアによって16番手のタイムとなり、スムーズな滑り出しを見せることはできなかった。
 プラクティス2回目で武藤は路面のグリップが高まっていくコンディションに合わせてマシンセッティングを調整し続け、自己ベストをコンマ7秒以上縮めた。しかし、ポジションは17番手へとひとつ後退。2セッションを総合したタイムでの順位も17位で走行初日を終えた。

<予選の目標はファイアストン・ファスト6進出>
 IRLインディカー・シリーズのロードレースにおける予選は3段階に分けられている。2グループに分かれて行われる予選第1段階で、トップ6に入るタイムをマークした者が第2段階に進む。その12人はさらに予選第2段階で6人に絞り込まれる。そして、最後に残った6人でポールポジションを競い合うことになるのだ。武藤は、もちろん“ファイアストン・ファスト6”と呼ばれる予選最終段階に出場する6人に残ることを目指している。
 走行2日目、午後に予選を控えてのプラクティス3回目、武藤は1分30秒9439へとさらに自己ベスト更新。前日とは逆にハンドリングはコーナー入り口でオーバーステア傾向が強くなっていたが、予選の第2段階に進む目処はついた。

<予選で発生したアンダーステア、そして不運のタイムアップ>
 予選ではさらなるセッティング変更を施したマシンを用意し、武藤は果敢にアタックを行った。しかし、暑さによる影響はチームの想定していた以上に大きく、マシンのハンドリングは強いアンダーステアとなっていた。2セット目のタイヤにスイッチする際にセッティングを変更し、アタックラップに入ったが、他車がクラッシュしたことでフルコースコーションとなり、そのまま予選時間は終了となってしまった。
 20分間の予選第1段階で、武藤は朝のプラクティスで記録した自己ベストに届くことなく終えた。1分31秒4704という不本意なラップタイムにより、予選1グループ目でも10番手、2グループ目の走行が終わった段階で決勝のスターティンググリッドは20位と決定した。

■■■コメント■■■
<武藤英紀>
「明日は自分の力をすべて出し切る」

「予選が気温の高いコンディションになり、自分たちが思っていたよりもマシンのハンドリングに大きな影響が出てしまいました。アンダーステアが強くなっていて、1セット目のタイヤで想定していただけのラップタイムを記録することができませんでした。
 ニュータイヤに履き替えてアタックラップに入ったら、そこでイエローが出てしまった。あのラップをまとめることができていれば、1分30秒8ぐらいは出せていたはずだっただけに残念ですね。その少し前にある程度のラップタイムを出せていればよかったとは思います。最初の予選でトップ6に入ることはできると考えていただけに、今回の結果はとても悔しいです。
 今回2セット目のタイヤを換えるタイミングはセント・ピーターズバーグの時のとは異なり、遅いとは思わなかったのですが、ちょうどアタックに入ったラップがイエローになってしまったので、結果から見ればもう少し早く交換して出ていけば良かったということになりますね。しかし、イエローが出るタイミングは予測できません。今回は最悪のタイミングで出てしまったということです。
 ワトキンスグレンはセント・ピーターズバーグと同じぐらいオーバーテイクが難しいレースになるでしょう。フルコースコーションが出ない展開となれば、20番手スタートの明日は非常にタフな戦いとなりますね。こういった位置からスタートする場合、作戦の重要性が高くなってきます。ピットに入るタイミングと、イエローが出るタイミングがうまく自分たちの作戦に合ってくれれば、ポジジションを一気に上位へと上げることも可能です。レースの流れを利用してポジションを上げていけるよう、明日も自分の持っている力をすべて出し切って戦うだけです」

<レイ・ガスリン:レースエンジニア>
「決勝は気温に対応したマシンを作り上げ、作戦もフルに活用して順位を上げていく」

「予選でのマシンはアンダーステアが大き過ぎた。朝のプラクティスを走ったセッティングから、暑くなったコンディションに合わせたものへと変更をしたつもりだったが、それが十分ではなかった。予選中にアンダーステアを消すためのセッティング変更をし、2セット目のタイヤを投入したのだが、アタックラップでフルコースコーションが出るという不運にも見舞われてしまった。あのラップを完成できていれば、午前中のプラクティスで記録したタイムと同じぐらいにはなっていたと思われるし、トップ12による予選第2段階にも進むことはできていただろう。
 明日のレースはさらに気温も高くなるらしいので、よりアンダーステアの傾向も強くなるだろう。まずはそれに対応するマシンセッティングを決定し、レースでは作戦もフル活用して順位を上げていくつもりだ」

■■■予選結果■■■
3.4マイル(5.422km)                   出走26台

順位 No.  ドライバー     タイム    平均速度mph(km/h)

1位  6   R.ブリスコー    1’29.3456   135.787(218.528)
2位 02   J.ウィルソン    1’29.3804   135.734(218.443)
3位 17   R.ハンター・レイ  1’29.6355   135.348(217.821)
4位  9   S.ディクソン    1’29.6776   135.285(217.720)
5位  5   O.セルビア     1’29.7068   135.241(217.649)

20位 27   武藤英紀      1’31.4704   132.633(213.452)

※全車シャシー:ダラーラ/エンジン:Honda/タイヤ:ファイアストン