<Honda>
2008年4月27日(日)
決勝
会場:カンザス・スピードウェイ
天候:晴れ
気温:14℃
IndyCarシリーズ第4戦ロードランナー・ターボ・インディ300は、寒さの中でのレース・ウィークエンドとなった。より穏やかな気候を求めて、昨年から7月から4月開催に変わった同イベントだが、今年はタイミング悪く、北から寒気が降りて来てしまった。
第4戦のエントリーは今季最大の27台で、予選でポールポジションを獲得したのはスコット・ディクソン、2番手はダン・ウェルドンとチップ・ガナッシ・レーシングがほかをリードする仕上がりを見せていた。ツインリンクもてぎでキャリア初優勝を飾ったばかりのダニカ・パトリック(アンドレッティ・グリーン・レーシング)も予選3番手と好位置からスタートを切った。
決勝でもチップ・ガナッシ・レーシングの2台が優位にあり、200周のうちの194周をリードした。しかし、145周にわたってトップを走ったディクソンは、残り50周をきった時点で発生したアクシデントの際に運悪くピットインを敢行していたため、ポジションを大きく落とした。
ディクソンの後退でトップの座を手に入れたウェルドンは、予選11番手からすばらしい追い上げで2番手まで浮上してきたトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング)を抑えきって今季初優勝を飾った。3位は残り30周で4台をパスしたディクソンのものとなった。パトリックはホイールベアリングのトラブルでリタイアに終わった。
武藤英紀(アンドレッティ・グリーン・レーシング)は予選13番手からのスタートとなったものの、粘りのある戦いぶりを見せ、3回目のピットストップまでにトップ10まで順位を上げた。そこから燃費をセーブする作戦を採用し、それが功を奏して最後のピットストップを終えると5番手へとポジションアップ。最後の30周ではトップグループで激しいバトルを繰り広げた。マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)とディクソンにパスを許した武藤だったが、ライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)を最終ラップにオーバーテイク、第2戦セント・ピーターズバーグに続き、キャリアベストタイとなる6位でフィニッシュした。
第4戦を終えてのポイントスタンディングは、144点を獲得しているエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)が未勝利ながらトップを堅持。ポイント2位はディクソン(138点)。今回優勝したウェルドンは135点で3位へと浮上した。武藤は第3戦終了時点の14位から11位へとランキングを上げている。
■ダン・ウェルドン(優勝)
「前戦のツインリンクもてぎでもマシンの仕上がりは非常によかった。しかし、燃費がレースを左右する重要なファクターとなったために、望む結果を逃した。例年、マイアミ、ここカンザス、そしてシカゴでの僕の成績はとてもいい。理由は分らないし、そう思い込むこともしたくはないが、今日もとても力強いレースを戦えた。週末を通してマシンは最高の状態にあった。ピットストップも完ぺきだった。シリーズポイントを重要視した戦いを続けている自分としては、今日の優勝は価値あるものだ」
■トニー・カナーン(2位)
「最後の30周、なんとかダン・ウェルドンをパスしようと持てる力をフルに出しきって走っていた。しかし、今日の彼の速さには対抗できなかった。昨日のマシンの仕上がり具合を考えれば、2位でフィニッシュできたことはうれしい。チームのエンジニアたちが力を発揮してくれた。Indy500を目の前にしたレースの結果としても、2位は悪くないものだ」
■スコット・ディクソン(3位)
「2戦連続で勝利を逃してしまった。しかし、優勝したのは僕のチームメートのダン(ウェルドン)だ。彼を祝福したい。ダンは僕の後ろにつけ、燃費をセーブしていた。あの戦いぶりは実に賢明だった。僕らもそうした作戦面について、深く検討する必要があると思う。優勝はできなかったが、3位フィニッシュでチャンピオン争いには留まることができている。その点が重要だ」
■武藤英紀(6位)
「6位という結果はいいものだとは思います。オーバルでの自分のベストですからね。しかし、うれしさよりも悔しさが大きいレースでした。最後のピットストップでマシンを止める場所を少し過ぎてしまって時間をロスしました。あれがなければペンスキーの2台の前に出ることができていたはずで、4位でフィニッシュできていたと思います。最後にライアン・ブリスコーをパスできたのはよかったのですが、悔しさも残るレースになりました」
■エリック・バークマン(HPD社長)
「小さいチームの中にも予選から高い戦闘力を発揮するところがあり、見応えのあるレースとなっていた。予選から強さを誇っていたチップ・ガナッシ・レーシングがほかを引き離すパフォーマンスを見せ、予選ポジションが普段よりよくなかったアンドレッティ・グリーン・レーシングが奮闘し、最後はチーム・ペンスキーを交えた強豪3チームによるトップ争いとなった。少し寒くはあったが、すばらしい一日となり、エキサイティングなレースが展開された。このサーキットは施設がすばらしく、ファンの人たちもレースを存分に楽しむことができたと思う」