<US-RACING>
アメリカン・ル・マン・シリーズ第2戦は、セント・ピーターズバーグの・ストリート・コースへと舞台を移し、LMP1クラスのアウディが総合ポール・ポジションを獲得した。昨年はタイトなストリート・コースで劣勢をしいられていたアウディ。今年からLMP2クラスの優位性が薄れるルールへ変更になったこともあり、ストリート・コースでもアウディが力を発揮するのではないかとみられていた。その期待に違わず、ステアリングを握るマルコ・ベルナーは、2位のLMP2ペンスキー・ポルシェを0.753引き離す1分2秒825をマーク。予選中は攻めすぎてしまい、スピンやウォールに軽くタッチする場面が見られたものの、最終ラップでポール・ポジション・タイムをまとめあげて見せた。「ラスト・ラップでかなり攻めたから、コンマ2秒はタイム・アップできたはずだよ。ミシュラン・タイヤはすばらしい仕事をしてくれたね。彼らにはとても感謝している」と喜ぶベルナー。決勝でもLMP2クラスに、格の違いを見せることが出来るだろうか。
LMP2クラスのポール・ポジションは、ロメイン・デュマ、ティモ・バーンハード組の7号車ペンスキー・ポルシェ。午前のプラクティスではLMP1を下し、トップ・タイムを出すほど波に乗っていたが、予選直前のプラクティスでアクシデントに巻き込まれ、右リア・タイヤに激しいダメージを受けてしまう。ピットに戻ってきたマシンを、あわただしく修復するクルー。オーナーのロジャー・ペンスキーも心配そうにマシンを見守る。しかし、予選までのかなり限られた時間のなか、クルーは見事にマシンを修復し、デュマスを送り出すことに成功。デュマスもクルーの期待にこたえようと、ウォールすれすれを走る渾身のアタックを見せ、総合2位の1分3秒578をマークした。「かなり難しい予選だったよ。今朝はマシンの調子も良く、ティモが最速だったわけだけど、それからGT2のマシンとクラッシュしたんだ。クルーの仕事ぶりにはほんとうに驚いたよ。明日はぜひアウディを捉えたいね」と意気込むデュマ。ルール変更後初のストリート・コースで、LMP2がLMP1を下せるのか注目だ。
総合3位にはアキュラ勢のハイクロフト・レーシング(HR)が入り、今回もポルシェとアキュラががっぷり四つとなる。今朝のプラクティスは、ペンスキー・ポルシェに次ぐ総合2番手のタイムをマークし、好調をアピールしていたHR。予選が開始されてからも順調にアタック・ラップを重ね、デイビッド・ブラバムが6ラップ目に1分3秒707を記録する。ポルシェを上回るべく、さらに周回を重ねるブラバムだが、9周目を走り終えたところで予選は終了。0.129秒差でLMP2クラスのポール・ポジションを逃した。「今日はLMP2クラスのポールが狙えると思っていたんだ。だけど、マシンのボディワークに少しダメージがあり、タイム・アップに必要なダウンフォースを得られなかった。それでポール獲得を逃してしまったね。レースに向けては良い感触があるから、土曜日は一日を通してトップ争いが出来ると思うよ。コースも予選のときほど滑らないだろうし、この予選からレースに向けて良い情報を得られているんだ」と、予選を振り返るブラバム。明日の決勝もポルシェVSアキュラの戦いが見逃せない。
総合5位につけたアンドレッティ・グリーン・レーシング(AGR)。ブライアン・ハータがアタッカーを務め、4周目に1分3秒962をマークする。その後、11ラップまで走行するものの、4周目以降にタイムを上げることが出来ず、ハータもあまり納得がいかない予選に終わったようだ。「マシンは良いところまでいっていると思うけど、僕たちが求めているポジションが得られていないよね。今夜いくつか変更を加えて明日に備えるよ」と話すハータ。昨年このセント・ピーターズバーグで、総合ポール・ポジションを獲得したときのスピードを取り戻せるだろうか。
ギアのトラブルに泣いたフェルナンデス・レーシングは、総合7位で予選を終えた。トラブルの影響で20分間の予選の残り4分しか走れないという苦境に立たされながらも、ベテランのオーナー兼ドライバー、アドリアン・フェルナンデスが奮闘。3ラップ目で1分4秒541をマークし、格上1号車アウディを0.036秒上回って見せた。「予選ではギアに問題を抱えていたんだ。クルーがECUを交換し、少しは良くなったけど、セッション終了までに4分しかなく、マシンもかなり滑りやすかった。少しアンダー・ステアの傾向もあるが、レースに照準を合わせている。レースに向けては良いマシンを持っていると思うよ」と、展望を語るフェルナンデス。決勝での巻き返しが期待される。
ターン5と6の間にあるブライト・ハウス・ネットワークス・スピード・ゾーンでは、こどもを対象にしたレース・シミュレーターや仮設遊具などが設置されていた。アメリカン・ル・マン・シリーズからは、マツダにスポンサーしているオイル・メーカーのBPがブースを出典。景品がもらえるスロット・マシンやフリー・スローのほか、展示されているル・マン・マシンのコックピット体験も用意し、多くのこともたちを楽しましていた。