INDY CAR

ロードコーステストでも好調の武藤英紀。トップのトニー・カナーンから僅差の2番手

<ANDRETTI GREEN RACING>
2008 IRLインディカー・シリーズ 合同テスト・セブリング
【日 程】2008年3月3日〜4日
【開催地】フロリダ州セブリング
【コース】セブリング・インターナショナル・レースウェイ
【距 離】1.67マイル(2.688km/常設ロードコース)
【天 候】3日:晴れ時々曇り(25.5〜27℃)/4日:曇り(22〜27.5℃)
<ロードコースのテスト機会として重要なセブリング>
 IRLインディカー・シリーズは、先週のフロリダ州ホームステッド・マイアミ・スピードウェイでの合同テストに続き、同じフロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイへと舞台を移し、第2回目の合同テストへと突入した。約1.7マイルのロードコースを使い、4日間に渡るテストが行われる。
 今回のテストではセブリングのショートコースを使用。混雑を避けるため、出場チームは2グループに分けられ、前後半それぞれ2日間ずつを走ることになった。武藤英紀が所属するアンドレッティ・グリーン・レーシング(AGR)は、前半にレイホール・レターマン・レーシング、ビジョン・レーシング、ロス・レーシングと同じ組となった。
 セブリングはもともと飛行場で、スポーツカーによる耐久レースを1950年代から開催しているコースだが、路面はグリップレベルが低く、バンピーなため、ストリートレース用のテストに向くコースとして、近年ではオフシーズンに頻繁に使用されている。全長が短いため短時間でセッティングの評価が可能ということで、効率的なテストを行える、オフシーズンでも温暖な気候が期待できるという点で、多くのチームが走行を繰り返してきた。
<トップのカナーンから0.09秒差の総合2番手>
 全9台が参加した前半組では、AGRの同僚トニー・カナーンが2日間とも最速タイムをマーク。初日の最速タイムは53秒5174で、2日目の最速タイムは52秒8609だった。初日に53秒8378で2番手につけたのはマルコ・アンドレッティで、3番手が53秒8716の武藤。AGRのドライバーたちがトップ3を占め、ロードレース用マシンの仕上がりでライバル勢を一歩リードしていることを示していた。
 武藤は2日目の午前中に52秒9513を記録し、トップへと躍り出た。このタイムはテスト終了間際までトップだったが、カナーンが最後のタイヤセットを使ったアタックで武藤のベストを0.0904秒上回る52秒8609というタイムを叩き出し、2日連続でトップタイム記録した。
 カナーンと武藤のタイムは突出しており、総合3番手となったアンドレッティに0.3秒近い差を築いて見せ、彼ら2人の2日間のテストが実に収穫の多いものであることを明確に示す結果となった。最終的に武藤は前半組で総合2番手となり、カナーンに肉薄するタイムを記録したことが高い評価を受けた。2日間で計175周を走り込んだ武藤はマシンへの習熟度を深めたばかりでなく、十分に戦闘力の高いタイムをマークしたことで、フルシーズンのデビューに向けておおいに自信を深めた。
■■■コメント■■■
<武藤英紀>
「ロードコースでの初レースに向けて準備が整ってきた」
「初日はアンダーステアが強く出ていましたし、ブレーキもロックしやすかったですが、テスト2日目ではそれらの点を改善でき、マシンのセッティングを良いものに仕上げることができました。自己ベストを出した時は燃料もある程度軽い状態で、タイヤも新品でグリップの高い状況ではありましたが、良いタイムを狙っていたというのではなく、自然にタイムが出たという感じでしたので、いい流れになっていると思います。
 この2日間では、良いタイムを出せたことよりもロードコース用のマシンに慣れることができたことの方が、自分にとっては大きな収穫となりました。でも、エンジニアに自分のフィーリングや考えを伝えるという部分ではまだ100%満足できるレベルには達することができていませんので、自分としてはテストに対する評価は60点です。85%は伝えられているのですが、残りの15%が本当に伝えたい大事な部分なので、そこをしっかり伝えることができるようにならなければいけない。とは言え、ロードコースでの初レースとなる第2戦のセント・ピータースバーグに向けての準備はだいぶ整ってきていると感じています」
<レイ・ガスリン:レースエンジニア>
「非常に収穫の多いテストで、コミュニケーション力もさらに進歩している」
「非常に収穫の多いテストだった。これが開幕前に行える最後のロードコース用テストだったが、とても多くのセッティングを試し、有意義なデータを豊富に集めることができた。我々アンドレッティ・グリーン・レーシングは、ライバルと比べても実に多くのショック・アブソーバー・セッティングをトライしていたと思うが、それらは今シーズンのロードレースを戦う上で大きな効果を生むことになると確信している。
 ヒデキにとっては、マシンにより一層慣れることも今回のテーマのひとつとなっていたが、その点でも満足のいくテストだった。タイムが示している通り、ヒデキはとても高い集中力を発揮し、良い走りを見せ続けた。我々エンジニアとのコミュニケーションにおいても、ヒデキは先週のホームステッドと比較してまた一段進歩をしていた」