Nobuyuki Arai's

2008年シーズン到来を告げる伝統のデイトナ24時間レース

画像 年明けの1月下旬に行われる、アメリカン・モータースポーツの新シーズンの幕開け的イベントとも言える伝統のロレックス・デイトナ24時間レース。今年は1月26日にレースがスタートする日程となっていますが、あと2カ月を切った12月に入ってからそのエントリーが連日のように発表され、注目のドライバーが続々と参戦を表明しています。今日はその注目ドライバーについてちょっと触れてみようと思います。
 デイトナ24時間は、フロリダ州デイトナビーチにある、NASCARの聖地デイトナ・インターナショナル・レースウェイで行われる全米で唯一の24時間耐久レース。インフィールド内のロードコースと、1周2.5マイルのおよそ2/3ほどのオーバルコースを併用する1周3.56マイルのロードコースで行われ、今年で46回目の開催となる伝統のレースイベントです。現在はスポーツカー・シリーズ、ロレックス・グランダム・シリーズのシーズン開幕戦として行われており、ストックカー同様にストック・ブロックのエンジンを搭載したデイトナ・プロトタイプと、市販車ベースのGTの2クラス混走レースとして行われています。「スポーツカー=ハイテク」というイメージとは程遠く、どちらかというと「スポーツカーのシャシーを纏ったストックカーのロードコース仕様」と言った方がいいようなマシンではありますね。一方で、エンジンマニュファクチャラーにはポンティアック、レクサス、BMW、ポルシェなど計6メーカー、シャシーには8メーカーもが名を連ねており、実に豊富なバリエーションとなっています。毎戦ロードコースとは思えないほど車体をぶつけ合った激しいバトルが展開されており、じつにアメリカ的なスポーツカー・シリーズと言えますね。

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 さて、ちょっとシリーズの前置きが長くなってしまいましたが、その来年1月のデイトナ24時間レースへ続々と参戦体制が発表されております。近年のデイトナ24時間レースは、さながら「アメリカン・モータースポーツ・オールスター」とも言えるほどで、他カテゴリーからスタードライバーがこぞって参戦し、このレースが再び全米中に注目され始めてきているんです。特に昨年はNASCARの、というよりアメリカンレース界のスーパースター、ジェフ・ゴードンの参戦に注目が集まり、優勝したのがこちらも初参戦だったファン-パブロ・モントーヤ組というファンにとっては堪えられないほど豪華なものとなり、視聴率も過去最高を記録したとか。さらなる興奮を期待する今年も、これまでのところなかなか魅力的なドライバーの参戦が発表されています。

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 中でも僕が一番注目したいのはペンスキー・レーシングです。2005年にデイトナ24時間を制したウェイン・テイラー率いるサントラスト・レーシングとタッグを組み、ポンティアック・ライリーにインディカーのエリオ・カストロネベスと新パートナーとなったライアン・ブリスコ、そして同チームからNASCARに参戦している2004年ネクステルカップ王者のカート・ブッシュを乗せるという何とも豪華な組み合わせなんです。カストロネベスはマイケル・シャンク・レーシングからサム・ホーニッシュJrと共に今年1月のデイトナ24時間に初参戦しており、ブリスコもチップ・ガナッシ時代の2005年に出場しポールポジションを獲得するなど経験は十分。NASCARのロードコースで実績十分のブッシュとのコンビは非常に魅力的なラインアップといえます。果たして彼らが耐久レースでどのような戦いを見せてくれるか今から非常に楽しみです。また、今年の王者モントヤは来年も参戦。チームメイトには前回同様グランダムのベテラン、スコット・プルーエット、そしてダリオ・フランキッティとのコンビで2年連続王者を狙います。フランキッティは今年ALMSにも数戦出場しているなど、どんなカテゴリーのクルマも問題なく乗りこなすほど器用なドライバーでもあるので、初の耐久レースも問題はないと見ていいのではないでしょうか。また、チップ・ガナッシの2台目も、2006年にこのレースを制したダン・ウェルドンとスコット・ディクソンのIRL王者コンビに今年のIPS王者アレックス・ロイドを加えた強力なドライバーラインアップとなっています。ちなみに、ガナッシ勢のドライバーを数字で見ると、インディ500は3度制覇、インディカー&IPSは計5度制覇、グランダム・シリーズは2度制覇、そしてデイトナ24時間レース優勝経験者は5人……「どんだけぇ〜!」と思わず声を上げたくなるほどの豪華な布陣です。3年連続優勝の快挙が掛かるチップ・ガナッシ勢ですが、そんなのもいとも簡単に達成してしまうのではと思わされるほどのラインアップとなっていますね。

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 他にも、IRLからは2004年インディ500王者バディ・ライスがブルモス・ポルシェで、ライアン・ハンター-レイはライリー-マシューズ・モータースポーツのポンティアック・ライリーで参戦。また、ビジョン・レーシングは今年もチームとして挑戦することを表明。ドライバーはまだエド・カーペンターしか登録されていないようですが、インディカー・ドライバーになることは確かでしょう。NASCARからは、2年連続ネクステルカップ王者のジミー・ジョンソンが、2007年グランダム・シリーズ王者に輝いたアレックス・ガーニー組のポンティアック・ライリーをドライブします。ここにはチャンプカーを引退したジミー・バッサーも名を連ねており、実現すればペンスキーやガナッシ勢に負けない豪華な布陣となりそうです。前回のレースで注目を集めたジェフ・ゴードンはどうやら来年は参戦しないようですが、今年も出場したトニー・スチュワートやボビー・ラボンテといったNASCARチャンピオン経験者の参戦も今後期待したいですね。
 ドライバーだけを見ても非常に面白くなりそうな来年のデイトナ24時間レースですが、合同テストは1月4日からデイトナで始まります。年末年始は日本に帰って、お正月は日本でゆっくりと過ごすというのが僕の恒例だったのですが、今回はどうやらそういうわけにはいきそうにありませんね。年明け早々、忙しくなりそうです。