<2007 IRLインディカー・シリーズ プライベートテスト>
<SUPER AGURI PANTHER RACING>
【日程】8月14〜15日
【開催地】イリノイ州ジョリエット
【サーキット】シカゴランド・スピードウェイ
【距離】1.5マイル(2.414km)
【天候】14日:雨のち晴れ/15日:曇りのち晴れ
【気温】14日:28℃/15日:26℃
<初日からメイラと同タイムをマーク>
先のケンタッキーでIPSオーバル初優勝を飾った武藤英紀が、IRLインディカー・シリーズのマシンで3回目のオーバルテストを行った。今回はIRLデビューを予定しているシカゴランドでのテストとあって、さらに実戦を想定したものになった。
テストは2日間の日程で行われ、武藤は初日から精力的に周回を重ねる。ピットインのたびにエンジニアとコミュニケーションを取りながら調整を加え、クルマのセットアップを煮詰めていった。初日は計108周を走行し、25秒95のベストタイムをマーク。このタイムは、武藤の前に走行したチームメイトのヴィットール・メイラがマークしたものと同タイムだった。また、課題としていたピットストップの練習も何度も繰り返し、最後はエンジニアが驚くほどの上達ぶりを見せた。
<ルーキーテストも難なくパス>
2日目は午前9時から夕方の4時30分ごろまで長時間の走り込みを行った。この日、走行予定のなかったメイラもサーキットに残り、武藤に積極的にアドバイスを送り全面サポート。気温は多少下がったものの湿度が高くなってしまい、タイムアップするには難しいコンディションになったこともあり、ベストタイムは26秒01止まりだったが、合計で205周ものラップを走行した。 また、IRLのルーキーテストも並行して行われた。これは、IRLのオフィシャルが立会い、コースのさまざまな場所からドライバーの走行を観察し、レースに出場する上で問題なくドライブできるか、ピットインを安全に行えるかなどをチェックするもの。IRLのレース経験のないルーキーの安全性を重視するIRL独特の規定で、このテストにパスしないとレースに出場できないのだ。しかし、武藤はこのテストも難なくパス。これで正式に、武藤のIRLデビューが認められることになった。来るべき9月9日のIRLデビューに向けて、準備は整った。
■■■コメント■■■
<武藤英紀>
「300周以上も走り込めたので、不安なくレースウイークに入れます」
「シカゴランドのコースは、フィーリングがIPS開幕戦のホームステッドに似ていますね。今回は2日間でクルマのセットをいろいろと変更してみましたが、タイムにはあまり影響しませんでした。何をやってもタイムが変わらなかったのはちょっと残念ですし、想定していたタイムよりコンマ4秒ほど遅かった点は気がかりです。レースまでまだ時間があるので、エンジニアと一緒に問題点を追究していく必要がありますね。ただ、1周アタックの予選セットアップを試したわけではありませんし、決勝を想定して多くの燃料を積んでの結果なので、タイムだけで一概に判断するものではないとは思います。
今回のテストで一番の収穫は、課題だったピットインの練習ができたことですね。インディカーのピットストップは、ピットボックスに入るときも、出るときもどちらもすごくタイトにステアリングを切らないといけませんし、こういうピットストップは一度も経験したことがありませんでした。最初はうまくいきませんでしたが、2日目も終わるころはコツをつかんできました。それと、本番前に同じコースで300周以上も走り込めたのはとてもいい経験になりました。これで、コースに対する不安を持たないでレースウイークに入れると思います。
IRLデビュー戦となるシカゴでは、ミスなく自分のやれることをやっていきたいです。その前に、まず次のレース、インフィニオンでのIPSのレースがありますので、ここでいい走りをして、すっきりした気持ちでシカゴに臨みたいです」
<ブレア・チューバッカー:クルーチーフ>
「基本的な事柄を練習できたことは非常に大きい」
「ヒデキは2日間、非常によく走った。一番の課題だったピットストップの練習もできたし、ロングランもリスタートも何度も試すことができた。基本的なことがレースでは非常に大事になってくるので、本番前に練習できたことは非常に大きい。ただ、一方でヒデキがクルマのスピードに満足していないのもわかっている。今シーズン、我々チーム全体がIRLのトップ3チームに比べて、クルマのスピードが上がっていない現状がある。チーム全体でどこに問題があるのか探っているのだが、残念ながらまだその原因を突き止められてはいない。
今日も、タイムは決して満足できるものではなかったが、本番と同じコースで本番前にこういった問題が出たのは幸いだった。シカゴランド戦まで時間があるので、これから収集したデータを分析して問題解決に努めていくつもりだ。
シカゴランドのレースでは、ヒデキはチームメイトのヴィットールやコウスケと同じくらいの走りができると信じている。タイムが上がらなかったのは我々エンジニアサイドの問題だ。ヒデキはインディカーのオーバル走行3回目にも関わらず非常にいい走りができていた。まずはトップ10フィニッシュを目指していきたい」