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インディ・カー・シリーズ 第11戦 ナッシュビル[予選日]フォト&レポート

<US-RACING>

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IRL5連戦の4戦目は、毎年恒例となるナッシュビルのナイト・レースに舞台を移し、先週のワトキンス・グレンを制したスコット・ディクソンが今シーズン2回目のポール・ポジションを獲得した。今週末は世界的な電池メーカーである“エナジャイザー”のカラーリングで走るディクソン。3連覇を達成したワトキンス・グレンの勢いそのままに、ナッシュビルの2年連続優勝を狙うべく、7番目のアタッカーとして登場。それまでトップにいたフランキッティを0.6マイル上回り、ただひとり204マイル台に突入する204.414mphをマークする。その後、ディクソンを上回るものは現れず、今シーズン2回目のポールが確定。シーズン2回のポール獲得はシリーズ・チャンピオンを獲った2003年以来となり、ディクソンは予選での速さを取り戻してきた。「今週末はずっとマシンが速いんだ。プラクティスや予選をリードして、できるだけアンドレッティ・グリーン・レーシングのドライバーたちにプレッシャーをかけなければいけないね。レースではポジションを守るのが難しいだろうけど、やらなくてはいけない。明日は良いレースになりそうだよ」と展望を語るディクソン。昨年も優勝している相性の良いコースで2連勝し、チャンピオン争いでフランキッティとのポイント差を縮めたいところだ。

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ポイント・リーダーのダリオ・フランキッティは2位に入り、タイトルを争う二人がフロント・ローに並んだ。今日の予選は最初にアタックする難しいコンディションのなか、フランキッティは203.392mphをマーク。7番目にアタックしたディクソンに抜かれたものの、最後まで2位を堅持し、今シーズン3回目のフロント・ローを獲得した。「悪くない1日だったね。2〜3週間前にここでテストしたんだけど、そのときは天気が悪かったから、あまり良いテストではなかった。マシンはかなり良い仕上がりだと思うけど、レースでは相変わらず簡単にパスできないんだ。誰かをパスするために10~15周くらい競り合わないといけないね。1回目のセッションで予選のシミュレーションをしてみて、小さな変更をいくつか行ったんだ。それでマシンが良くなったね。フロント・ロー・スタートだから、明日はいいレース展開になることを期待しているよ」と予選を振り返るフランキッティ。彼は一昨年のナッシュビルを制しており、明日は過去2年のウイナーによる白熱したバトルが期待できそうだ。

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先週のワトキンス・グレンのレース後にホーニッシュJr.と乱闘騒ぎを起こしたトニー・カナーンは、予選3位につけた。前戦のレース30周目にホーニッシュJr.と接触して順位を落としたカナーンが、レース後のピット・レーン入り口でホーニッシュJr.に幅寄せしたことで、両者がエキサイト。ホーニッシュJr.の父親やチーム・メンバーを巻き込む乱闘に発展した。この騒動によってペンスキーとアンドレッティ・グリーンの両チームは2万5千ドル(1ドル120円で300万円!!)の罰金を支払うことになり、ホーニッシュJr.とカナーンにも詳細は明らかになっていないが、罰金が科せられたとのこと。騒動に関係した全員が12月31日まで観察処分となり、同じようなことがあれば出場停止となる裁定が下った。「今週末、サムにピット・レーンで彼の前を横切ったことを謝りたいけど、それだけだよ。ドライバーとしてサムを尊敬している。でも、別に彼が僕と仲直りしたくなければ、それでもいい。僕には友達がたくさんいるんだ。彼にレース後の事件を謝って、このことを忘れたいと思う。他の人が僕に言いたいことがあれば、ぜひ言いに来てほしい。サムが僕に謝りたくなかったらそれでもかまわない。それで僕の人生が変わるわけじゃないからね」とレース・ウイーク前に語ったカナーン。2列目にはなんとホーニッシュJrが並び、騒動から1週間にして早くも因縁の対決が実現する。

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薄い雲が空を覆っていたナッシュビル・スーパースピードウエイ。初日から雨の心配があったが、雲の隙間から時折太陽が顔を覗かせ、結局、雨粒は落ちてこなかった。気温は午後4時の時点で30度。湿気があったために蒸し暑い一日だった。このナッシュビル・スーパースピードウエイは、路面がコンクリート舗装のユニークなコースとして知られている。通常のアスファルトに比べて摩擦係数が高いコンクリートは、マシンのグリップを高める反面、タイヤには厳しい路面となってしまう。そのため、明日のレースはタイヤの使い方が優勝への大きなファクターになるに違いない。

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前戦、苦手のロード・コースに苦戦したダニカ・パトリック。今週は再びオーバルでのレースとなり、プラクティスでは2番手に入るほどの好調ぶりを見せていた。迎えた予選は思ったよりスピードが伸びず、2年ぶりのポール・ポジション獲得とはならなかったが、7位に留まることが出来た。「かなり良い走りだったわ。マシンがちょうど良いセットアップに収まっていたの。でも、もっと速く走れなかったのが残念。予選に入ってスピードが伸びないのはほんとうにイライラするわ。いったいどうしてスピードが伸びないのか分からないしね。こんなことがもう起きないように、解決策をはっきりさせないといけないわ」と悔しさをあらわにするパトリック。7位からどこまで順位を上げられるか注目が集まる。

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前戦は得意のロード・コースで8位となり、今シーズン2回目のトップ10入りを果たした松浦孝亮。今週末は、1回目のプラクティスで10位となり、先週からの調子を持続しているように見えた。しかし、2回目のプラクティス、予選とセッションが進む毎にパンサー・レーシングのスピードが伸び悩んだ。そのため予選を13位で終えたものの、チームメイトのヴィットール・メイラよりも前のポジションを維持している。「朝の走り出しは良かったんですけど、そこから逆にタイムが遅くなってしまいました。パンサーは二人とも今週末スピードが出ていなくて、マシンのバランスはあまり良くないです。予選ではマシンのバランスが良かったんですが、とにかくスピードが出ないという症状は変わらなかったですね。ポジション的にはこんなものだと思うけど、タイム・ギャップを見ればちょっとつらいかな。スピードが出ない原因が分かっていたら直せるんですけどね。明日はコンディションが変わったりだとか、タイヤ・プレッシャーが上手く合わなかったりとか、厳しいレースになるかもしれないです」と話す松浦。粘り強い走りで上位フィニッシュを目指して欲しい。

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2週連続で併催されるIPSは予選が行われ、武藤英紀は4位につけた。この日20台中の16番目に登場した武藤は、180.767mphのスピードをマークするが、惜しくもトップのアレックス・ロイドに1.1マイルほど届かなかった。「ずっと全開だったので、スピードがあまり伸びなかったですね。セッティングそのものには特に問題はなかったです。コンクリート路面のためかすごくバンピーで、単独走行では良いですけど、誰かの後ろを走るときにグリップを失いやすいですね。5速で走っていたので、トップ・ギアに入れればタイムが縮まったかもしれませんが、そこはなんともいえないです。でも、それぐらいしかタイムが縮まる要素はないですね。レースの準備はまったく出来ていないです。1セッション目からマシンが決まっていなかったので、そのセットアップに時間を取られてしまって、あまり集団のなかを走れていないです。明日は4番手でコースの外側からスタートできるので、その点は良いと思います」と話す武藤。今シーズン2勝目に向け、4番手からの追い上げに期待が掛かる。