<US-RACING>
エリオ・カストロネベスが2年連続でポール・ポジションの座に着いた。昨年は雨で予選がキャンセルされ、ポイント・ランキング順でポールとなったが、今日は速さで強力なライバルたちを抑え、IRL史上最多ポール記録を更新する、キャリア18回目のポールを獲得してみせた。マークされたスピードは今週末のベスト・スピードとなる205.393mph。エンジン・マニュファクチャラーが3メーカーも出ていた2004年に、ダン・ウエルドンが記録した205.762mphに迫るポール・ポジション・スピードとなった。「チーム・ペンスキーがプラクティスに向けて、すばらしいマシンを用意してくれたんだ。このシリーズはとても競争が激しくなっているから、明日のレースでは多くのドライバーが僕たちに挑んでくると思うけど、もちろん自信はある。今日のベース・セッティングが良かったことも自信に繋がったよ。明日は優勝して、また金網に登りたいね」と喜ぶカストロネベス。明日はポール・ポジションから、もてぎ史上3人目の2年連続優勝を狙う。
2位に入ったのは、2004年と2005年にもてぎ2連覇を達成しているダン・ウエルドン。初日のプラクティスは5位と振るわなかったが、今日のプラクティスは2位につけて調子を上げてきていた。1台ずつによる予選アタックの、最後に登場したウエルドンは、1周目に3番手につける。ラスト・アタックとなる2周目でさらにペース・アップを図り、ウエルドンの走りに注目が集まったが、カストロネベスにはわずかに届かず、2位。この日二人目の205マイル・オーバーとなる205.141mphを記録した。「ターン4がうまく走れなかったんだ。最後のラップはもっとプッシュしたかったけど、全開ではいけなかったよ。もう少しリスクを冒したほうが良かったかもしれない。でも、しょうがないね」と悔しそうに話すウエルドン。今年の開幕2戦のウイナー同士がフロント・ローに並んだことで、明日のスタートはますます見逃せなくなった。
午前のプラクティスでトップ・スピードをマークしていたトニー・カナーンは3位に終わる。プラクティスで好調をキープし、予選の3番目に登場したカナーンは、午前のスピードを上回る204.777mphをマーク。その時点で暫定トップになるが、天候に恵まれた今日のもてぎは、時間が経つほどコンディションが良くなり、最後はカストロネベスとウエルドンに先行を許す結果となった。「今日は手堅い走りだったと思うよ。いい走りが出来たし、あとコンマ1秒は速く走れたと思うけど、アンドレッティ・グリーン・レーシングはとても良い仕事をしてくれたんだ。レースに向けてはとても良いマシンであることは確かだね」と、淡々と今日を振り返るカナーン。もてぎで行われた10レースのすべてに出場しているカナーンは、3番手から念願のもてぎ初優勝を狙うことになった。
初日のプラクティスで2位のスピードを記録していた松浦。今日のプラクティスは決勝用のセット・アップに集中したことで10位に留まり、予選も7番目に登場したことで、終盤では立て続けに順位を落としてしまった。予選結果は最終的に9位となったが、セッション毎のタイムは確実に上がってきている。予選でも203マイルを超える203.138mphをマークし、今週末の自己ベスト・スピードとなったことで決勝には自信を見せた。「レース・カーは調子が良く、燃料を積んだときのアベレージ・スピードはトップとさほど変わりはないので、まったく心配はないですね。今までの4年のなかで一番良い仕上がりだと思います。どのセッションでもマシンの調子がよいことは重要ですよね。気温、風向き、路面とどのコンディションにも合っているということですから。明日はまたコンディションが変わると思いますが、1台1台冷静にとらえていけば良い結果が出ると思うので、ジェフ・シモンズに気をつけてがんばります(笑)」と冗談を交えて話す松浦。明日のレースでは、デビュー・イヤーで記録した4位以上の結果を期待したい。
昨日の曇天とは打って変わり、青空が広がったツインリンクもてぎ。午後から薄い雲が掛かるものの、予選セッションが終わるまで陽が射していた。気温は16度まで上がり、昨日よりも温かかくなった。厚手のジャンパーを着込んでいたチーム・クルーも、長袖のピット・シャツ一枚で作業をしていた。明日からまた天候が崩れる予報となっているが、なんとか決勝が終わるまで持ちこたえて欲しい。
2日目のインディ・ジャパンには、地元の小学校を始めに、もてぎ近郊の13校から1800人以上が訪れ、アメリカン・オープン・ホイールの最高峰オーバルの迫力を体験した。写真はパドックに並ぶ小学生の様子。時速320km以上で走行するインディ・カーを間近で見た後、スタンド席での観戦を楽しんでいた。
各セッションが終了すると、ドライバーはピットからガレージに戻るのだが、ファンにとってこのタイミングがドライバーにサインをもらえる一番のチャンスだ。しかし、この光景を冷静に見ているとちょっと凄い。両サイドから次々とファンが無言で押し寄せ、ドライバーが押しつぶされそうになっている。毎年もてぎにくるドライバーは、日本のファンのことを知識が豊富で礼儀正しく、とてもいいファンだと褒めているが、この光景を見ているとちょっとドライバーが大変そうだなと思ったりもした。
予選後に毎年恒例となっているドライバーのサイン会が開かれた。この日を待ちにまった日本のインディカー・ファンは、各ドライバーの前で長蛇の列を作り、自分の番を心待ちにしていた。ウエルドンや地元ドライバーの松浦の人気があったが、一番人気はやはり紅一点のダニカ・パトリック。ファンはサインを書いてほしいグッツを持ち寄っており、なかにはどこで手に入れたのかわからないが、パトリックの特大ポスターにサインをもらっているファンも。その光景をアメリカ人カメラマンが興味深そうに撮影していた。