<US-RACING>
まだ日が出ていた序盤はカナーンがリードしていたが、刻々とコンディションが変わる中で、中盤はホーニッシュJr.がトップに浮上。しかし最終的にトップ・スピードをマークしたのは、昨日に引き続きウエルドンだった。二日間のトップ・スピードは初日に記録した214.858mph(24.8816秒)。「スピードに関しては非常にいいテストだと考えていいけど、1日目にマシンをこわしてしまったからね」と語るウェルドン。「2003年以来、初めてのクラッシュだ。いい走りはできているけど、まだ変えられるところがある。トニー(カナーン)は本当の力を隠していると思うんだよな。ホーニッシュJrはいつも速い。スコット(ディクソン)はマシンに少しトラブルがあったけど、レースになったら彼も僕たちと一緒にトップを争うと思うよ。昨日$30万ドルのダメージを負ったこと以外は、とても実りのある2日間だった。チップはそんなに気にしていなかったよ。俺とチップはとてもいい関係だからね。昨日のクラッシュは僕のミス。トラフィックのなかで、滑ってコントロールできなくなったんだ。当然ミスはするし、ミスによってお金がかかるときがある。チップはそれを分かっていると思うよ。僕がミスをしても、正直にチップに言えるのがいいね」
最終日も快晴に恵まれたホームステッド。気温27度と初夏を思わせるような気温の中で午後4時からプラクティスが始まり、チェッカーが振られた午後10時の時点で21度まで気温が下がった。気温の変化が大きいナイトレースは、その時々の状況に合わせたセットアップと、的確なドライビング・スキルが要求される。
2004年のチャンピオン、トニー・カナーンがダニカのコーチ役として、アドバイスするシーンが度々あった。まだまだドライバーとしての経験が少ないダニカにとって、大ベテランのカナーンやフランキッティから教わることは少なくないはず。特に、彼女が苦手なロードコースで受けるメリットはとても大きいだろう。
なかなか個性的なラインナップとなった今年のアンドレッティ・グリーン・レーシング。2004年から2年連続でチャンピオンを獲りながら、昨年はペンスキーやガナッシの独壇場を許してしまった。今回もカナーンの3位が最上位と、挽回には至らなかったが、2年目のマルコがオーバルで4位に入ったのは注目。目覚しい成長を見せている。最年長となったフランキッティ、後ろの手はどこに?
昨日と同じく、実戦向けのテストに終始した松浦。「昨日からいろいろと変更し、スプリングの変更だとか、今日の最後にはジオメトリーの変更までして、かなり色々テストをしました。レースに向けてピットの練習もたくさんし、メカニックがかなりてこずっているのもわかりました。うまく行ったときはすごく早いけども、結構ミスも多かったりだとか、ピットストップではまだまだやらなくてはいけないことがありますね。でも、レースにむけては、かなり色々できたのではないかなと思います」と最終日を振り返った松浦。「コンマ1秒上がれば7番手」とそれほど順位は気にしていないようで、レースを想定したアベレージ・スピードの速さを追究している。現時点では、シーズン開幕に向けての準備が4割ぐらいしかできていないと話すが、「今年の目標がすごく高いところにあるので、もっといけると思うし、チームのポテンシャルはもっと高いところにあると思うので」と今シーズンの意気込みを語った。今シーズンの松浦に期待するしかない!
初日のロードコースでは、トップ・タイムをマークした武藤。1月のルーキーテストで、すでにホームステッドのオーバルを経験していたこともあり、今回は集団の中でドラフティングを使った走行に終始していた。「始めはどの程度後ろについて、自分のクルマを半車身ずらせばいいのか、1車身ずらせばいいのかが全然つかめなかったので、すごく戸惑いました。でも、午後は急に、自分のいるべき位置とか、集団の中でのポジショニングが掴めて、今日はそれが一番大きかったです」としっかり手ごたえを感じている様子。武藤はこの日誰よりも多い180周を周回し、マークした185.425mph(28.8311秒)のトップ・スピードは23人中7番目。オーバルで初めてのオープンテストで、まずまずのスタートをきった、「単独スピードは、おそらくトップ3に入れるスピードはありますし、すごく自信があります。チャンピオンを獲れるかどうかは運もありますから、わからないですけど、『本気で狙っていくぞ』という強い気持ちになりました」とシーズンの展望について、自信を持って語ってくれた。
■ドライバー・インタビューその1:サム・ホーニッシュJr.
ディフェンディング・チャンピオンのサム・ホーニッシュJrは、過去に3回のタイトルを獲得している。2006年のインディ500の優勝を含め、通算18回の優勝。昨年はペンスキーに初めてのインディカー・タイトルをもたらした。
Q:「サム、オフシーズンはどうでした?」
ホーニッシュJr.:「色々やっていたよ。デイトナ・カー(グランダム)やブッシュ・カー(NASCAR)に乗ったりね。オフシーズンはインディカーのテストがあまりできないから、インディカーにはほとんど乗っていない。かなり短く感じたオフシーズンだったけど、今はもう、レースの準備はオッケーさ。開幕戦がすごく楽しみだし、また優勝を狙っていくよ」
■ドライバー・インタビューその2:ダン・ウエルドン
昨年、ダンウェルドンはチップ・ガナッシ・レーシングの1年目にして2回の優勝を果たした。最終戦のシカゴランドではレース終了時点でサム・ホーニッシュJr.と同ポイントとなったが、4勝を挙げ、優勝回数で上回るホーニッシュJr.にタイトルが渡った。
Q:「ダン、ホームステッドでは連続優勝しましたね。2005年にアンドレッティ・グリーンで優勝して、2006年にターゲット・チップ・ガナッシでまた優勝したけど、またホームステッドに戻るのを楽しみにしていますか?」
ウエルドン:「そうだね。僕はオフシーズンが長く感じて、早くまたレースに出たいという気持ちだよ。ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシングにとって相性の良いコースだし、去年はチームにとって、ちょっとストレスが溜まるシーズンだったから、スコット(ディクソン)と一緒に最初から強いスタートをしたいね」
■ドライバー・インタビューその3・エリオ・カストロネベス
昨年の3位はエリオ・カストロネベス。彼も最後のレースまで、自身初めてのタイトルを獲得できる位置にいた。エリオも2006年に4回も優勝したが、ホーニッシュJr.とウエルドンにあと3ポイント及ばなかった。
Q:「エリオ、06年の最後のレースとオフシーズンについて語ってください」
カストロネベス:「オフシーズンは確かに長かったね。ALMSのテストをやっていたし、デイトナ24時間にも出た。それでもレースに関しては、ちゃんと考えていたんだ。昨年はチームにとって、確かにいいシーズンだった。チャンピオンには3ポイント足りなかったけど、優勝やポールを何度も獲得したし、それはとてもいいことだったと思うよ。残念ながら、あと少しポイントが足りなかった。昨年はこの5人のなかですごくタイトなバトルがあったし、今年も同じだろうね」
■ドライバー・インタビューその4:スコット・ディクソン
スコット・ディクソンも最後までタイトルを手に入れるチャンスがあった。2回の優勝を含め、9回のトップ5を記録した。
Q:「スコット、去年は4位で終わったけど、04年、05年の悪いシーズンのあとで、チャンピオンシップ争いに戻ってきたというのはすばらしかったね。この復活について話してください」
ディクソン:「僕にとっては大きな1年だったと思うよ。04年と05年はチームやドライバーにとって非常に苦しいシーズンだった。でも、マシンはだめだったけど、いい結果が出せるチームだということはわかっていたんだ。今年はマシンがみんなと同じ状態だったら、勝てるということを見せたいと思う。去年は非常に楽しいシーズンだった。またトップに戻れたのは素晴らしかったね。去年はチャンピオンシップをとれなかったけど、今年は自信を持ってシーズンに挑みたいと思う」
■ドライバー・インタビューその5:ヴィットウォール・メイラ
ヴィットウォール・メイラは開幕戦で16位に沈んでいた。シーズン前にパンサー・レーシングは経済的な問題から、レースに参加しないことも考慮していた。しかしスポンサーの支援を受け、ヴィットウォールの活躍により素晴らしい結果を残した。15戦目まではタイトル獲得のチャンスもあった。
Q:「ヴィットウォール、去年のパンサー・レーシングはほんとうにすごかったですね。トップ5を7回も獲得し、トップのチップガナッシとペンスキーと戦っていたというのはすばらしい活躍でした。07年は経済的に安定したチームになったのでしょうか?」
ヴィットウォール・メイラ:「資金が少なかったわりに、多くのいい結果を残せてほんとうに良いシーズンだったと思う。今年は資金もあるし、オフシーズンに準備ができたから、去年できなかった学習やリサーチなどに集中したい。資金があるからといって、すぐには何かが変わるわけじゃないと思うけど、去年の終盤のレースはよかったので、それに続いて開幕戦からいい結果を出したいね」
■ドライバー・インタビューその6:マルコ・インタビュー
Q:「マルコ、このオフシーズンに色々なことをやっていたと聞くけど、そのことについて話してください」
マルコ:「この日をずっと待っていたよ。やっぱり4ヵ月半は長すぎるね。去年はルーキーだったから、どうしても何かに乗りたくてしょうがなかった。この冬にホンダF1でテストをやったけど、ドライビングスタイルが全く違うから役に立たなかった。ALMSにも乗ってみて、それは楽しかったけどね。オフシーズンに関してはそれぐらいかな。あとは、できるだけいっぱいトレイニングをやっていた。それでも足りなかったけどね。レースをするのが何よりもいいから、またマシンに乗るまでが待ちきれないよ。
Q:「AGRのチーム/ピット・ボスは2006年のシーズン開幕の前に1回は優勝すると予想したらしいけど、それができたね。チームの期待よりもいい結果を出したのでしょうか?」
M:「僕自身はもっといい結果が出せたはずだと思っているけど、19歳のルーキーだからそれなりにいい結果だったのだろうね。優勝をしたときは満足できたから、これからもっともっと優勝するつもりだよ」
Q:「今シーズンの目標は?」
M:「ほんとうは全てのレースで優勝したいところだけど、現実的に考えたら、やっぱりチャンピオンシップを狙うことだね。今年はチームが強いから、それができると思う。去年はインディ500の前に、僕が優勝できるといったらクレージーだと思われたけど、今年は現実的に考えてもチャンスがあると思う」