【Champ Car World Series：2006年4月7日 ロング･ビーチ】
2度のディフェンディング･チャンピオン、セバスチャン･ブルデイ（#1マクドナルド･フォード-コスワース/ローラ/ブリヂストン）がトヨタ･グランプリ･オブ･ロング･ビーチの金曜日予選を制し、2006年シーズンの初ポイントを獲得。このフレンチマンがポイント･スタンディングのトップを維持するのには30分とかからなかった。
ブルデイは予選初日1.968マイルのロング･ビーチのストリート･サーキットを67秒675のベスト･タイムで制し、日曜日決勝のフロント･ローを確定した。約30分のセッションでは最終的に6人のドライバーがポールを獲得すべくタイムを激しく入れ替えていったが、ブルデイの最速ラップがその戦いに終止符を打った。
セッションはブルデイを先頭にニューマン/ハース･レーシングがフロント･ローを独占。チーム･メイトのブルーノ･ジュンケイラ（#2ホール･イン･ザ･ウォール･フォード-コスワース/ローラ/ブリヂストン）はブルデイから0.066遅れだった。彼にとっては昨年のインディ500での大きな事故以来のチャンプ･カーの走行であったにもかかわらず、わずか5周目で67秒947を記録して見事初日予選2位に入った。
過去4度ロング･ビーチを制したことのあるポール･トレイシー（#3インデック･フォード-コスワース/ローラ/ブリヂストン）は、この南カルフォルニアのストリートでは毎年速さを見せている。彼はセッションの残り6分のところで、壁にヒットして右リア･タイヤを傷めたのにもかかわらず、この日を3位で終了。トレイシーのベスト･ラップ67秒947はこの日走った18台のなかで最後に記録されたものだった。
3人が激しくトップを入れ替える中、残り10分を切ったところでトレイシーが抜けだす。トレイシーはそれまでセッションをリードしていたウィル･パワー（#5オージー･ヴィンヤーヅ･フォード-コスワース/ローラ/ブリヂストン）を抜いて一旦トップに立ったが、直後にジュンケイラにかわされたため、その座は30秒ともたなかった。トレイシーは次の周回で再びトップに立ったが、フロント･ストレートを走りきるまえにジュンケイラにトップの座を受け渡す。
その後バッサーがターン8でタイヤ･バリアに衝突。それと同時にブルデイがトップ･タイムをマークした。結局そのタイムが第一予選を制する結果となった。この時点ではバッサーのスピンがレッド･フラッグの提示までには至らず予選は続行。これを見たトレイシーはブルデイからトップを奪い返すべく、すかさずレッド･タイヤに履き替える。しかし彼の努力は結実しなかった。4度のロング･ビーチ･グラン･プリ覇者は、左リア･タイヤをターン9の立ち上がりのコンクリート･ウォールに当てしまったのだ。
バッサーの車を排除するためにチャンプカー･セーフティ･チームがレッド･フラッグを振ったことで、セッションは予定よりも3分早く終了。赤旗の原因となったバッサーのセッション最速ラップは無効となったが、彼の第一予選順位に影響はなく13位で終えた。
A.J.オールメンディンガー（#10ルースポート･フォード-コスワース/ローラ/ブリヂストン）は68秒030の4番手タイムをマーク。3度にわたるロング･ビーチ･グラン･プリ参戦のなかで最速予選タイムとなった。オールメンディンガーは68秒102を記録して68秒102のアレックス･タグリアーニ（オージー･ヴィンヤーヅ･フォード-コスワース/ローラ/ブリヂストン）の前4位で予選セッションを終えた。
ジャスティン･ウィルソン（#9CDWフォード-コスワース/ローラ/ブリヂストン）は、68秒318のタイムを記録して6番手で第一予選を終え、パワーの前に出た。パワーは明日の最終予選を今日のようなパフォーマンスを見せることができれば、予選グリッドの自己ベスト更新となる。
デイル･コイン･レーシングのクリスチアーノ･ダ･マッタ（#19サニーズBBQフォード-コスワース/ローラ/ブリヂストン）はチーム遺跡直後に力強い走りを見せた。8番手でこの日を終えて、オリオール･セルビア（#6ガルフストリーム/ベル･マイクロ･フォード-コスワース/ローラ/ブリヂストン）のひとつ前。ルーキーのダン･クラーク（#14CTEレーシング−HVMフォード-コスワース/ローラ/ブリヂストン）は68秒766で自身にとって初のチャンプ･カーの予選で10番手に入った。
合計6名のルーキー･ドライバーのなかでは、パワーとクラークが10番手以内に食い込み、アントニオ･ピッツォニア（#8ロータックス/ロケットスポーツ･フォード-コスワース/ローラ/ブリヂストン）とキャサリン･レッグ（#20ガルフストリーム/ベル･マイクロ･フォード-コスワース/ローラ/ブリヂストン）はそれぞれ14位と15位という結果だった。
最終的なスターティング･グリットは土曜日の最終予選で決まる。明日の予選はアメリカ西海岸時間の午後2時、東部時間の午後5時からスタートする。チャンプ･カーのファンは公式ホームページで、レース･ディレクターを通じて生中継で観戦することが可能で、同時にライブ･タイミングなども見ることができる。
･トップ3インタビュー
セバスチャン･ブルデイ：「路面は今までの中で一番良く、タイヤがとても良く効いていた。今までロング･ビーチの予選初日では速く走れることがなかった。今日のような感じいけば明日は66秒台に入れるとこができるだろう」
ブルーノ･ジュンケイラ：「今日は速く走れてとてもうれしく思う。ターン1が変わったことでスピードがあがったが、ブレーキング･ゾーンが短くなったのでパスするチャンスが少なくなった。でもコースの状態は良好だし、僕はここでのレースは大好きだよ」
ポール･トレイシー：「かなりプッシュしたよ。ブリヂストンのオプション･タイヤを使用したらとても速く走ることができて、マシンは良い感触だった。少し滑ってウォールに当たってしまった。もう年なので、若い連中に負けないように激しくプッシュしないといけ
ない！」
主な注目のポイント
金曜日の第一予選を終えた時点で、記録は昨年ポール･トレイシーがマークした67秒485のロング･ビーチのコース･レコードまで約0.2秒へと迫った。
ウィル･パワーが最初の予選セッションに7番手なり、今日のルーキークラスをリードした。昨年の予選ではロシュフランズ･ルーキー･オブ･ザ･イヤー･アワードに輝いたティモ･グロックを含む二人のルーキーがトップ10に入るにとどまった。
過去4年ロング･ビーチ･グラン･プリのポール･シッターは優勝を逃している。2001年のエリオ･カストロネベスがポール･ポジションからスタートして優勝した最後のドライバー。
ポール･トレイシーは4度ロング･ビーチを制し、現役チャンプカー･ドライバーでは最多勝利記録を保持しているが、まだポール･ポジションからの優勝はない。