<SUPER AGURI FERNANDEZ RACING>
2006 IRLインディカー・シリーズ第2戦「Hondaグランプリ・オブ・セントピーターズバーグ」
日程:3月31〜4月2日/開催地:マイアミ州セントピーターズバーグ
コース:セントピーターズバーグ市街地コース
距離:1.81マイル(2.912km)
■■■4月2日決勝■■■
天候:快晴 気温:28℃ 時間:15時45分〜(日本時間3日5時45分〜)
<フルコースコーションの少ない過酷なレース>————————–
2006年のIRLインディカー・シリーズ第2戦Hondaグランプリ・オブ・セントピーターズバーグで、パナソニックARTA/ダラーラ・Hondaに乗る松浦孝亮は終盤に4位争いを展開。そのタイミングでフルコースコーションが出れば、すでにゴールまで持つだけの燃料を積んでいた松浦が自動的にトップへと躍り出ることができるはずだった。しかし、終盤に発生したアクシデントは、チームと松浦が期待していたタイミングより遅く、さらには松浦のタイヤがパンクという不運も引き出すものとなってしまった。
そのアクシデント発生直前に7位を走行していた松浦は、目前の2台がクラッシュしたことで5位フィニッシュは確実だったが、クラッシュ車の破片を踏んでタイヤにダメージを負ったため、7位まで順位を下げてのゴールとなった。
<アクシデントを乗り越えグリッドへ>———————————-
決勝日の朝に行なわれるウォームアップセッションで松浦はアクシデントを起こし、マシンに大きなダメージを与えてしまった。しかし、スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングのクルーたちは懸命の仕事ぶりでパナソニックARTA/ダラーラ・Hondaを修復。スタート時刻にマシンをグリッドに着けることができた。
9番グリッドの松浦は、スタートでポジションをキープ。序盤から安定したペースでレースを進めていった。ダリオ・フランキッティがリタイアを喫して、まず8位へと浮上し、バディ・ライスらが68周目にピットへ向かうと松浦の順位は6位に。その3周後には4位へと浮上した。トップ争いを行なう3台との間には差があったが、キャリアベスト・タイとなる4位は充分に狙えるだけのパフォーマンスを見せていた。
<早めに行われたピットストップ>————————————–
スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングのピットは、この日最後のピットストップを少し早めに行なった。ゴールまで25周のタイミングで、まだ20周近く走れる燃料を残してパナソニックARTA/ダラーラ・Hondaをピットへと呼び入れた。終盤のバトル過熱でアクシデント発生の可能性が高まる中、早めに給油を済ませれば優勝のチャンスもある状況だった。
3回目のピットストップを終え、7位を走行していた松浦は、前を走るホーニッシュJr.を82周目にパス。前を行く5人がピットへと向かう前にフルコースコーションが出されれば、トップへと踊り出られる展開となった。スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングのピット作戦はパーフェクトだった。
<ゴールを前にした激しいポジション争い>——————————
ゴールまで残り5周を切り、レースはヒートアップ。トーマス・シェクターを抜こうとライスが焦り、両者は激突。松浦は2台のアクシデントを避けたものの、撒き散らされたマシンの破片でタイヤをカットしてしまった。すぐさまフルコースコーションが出されたが、タイヤにダメージを受けたまま走っている松浦を次々と後続が追い越していき、パナソニックARTA/ダラーラ・Hondaは7位となった。
開幕戦ホームステッド・マイアミ・スピードウェイで6位となり、第2戦セントピーターズバーグでは7位。トップ10フィニッシュを2戦続けた松浦は、ポイントスタンディングで5位につけている。納得のできるマシンを作り上げ、考えた通りのレースを戦うことはまだできていないが、そうした状況下でも上位フィニッシュを重ねている。母国開催のブリヂストン・インディ・ジャパン300に向け、チームのムードは非常に良い。
■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
「クルマを修復してくれたチームに感謝しています」
「ウォームアップでは、クリッピングポイントについたところでインにより過ぎてクラッシュしてしまいました。レース前にクルマを壊わすことは、一番やってはいけないミスだったので、かなりショックです。しかし、メカニックたちが一生懸命にクルマを修復してくれ、本当に感謝しています。
終盤にライスとハータに抜かれたのは、周回遅れのホーニッシュJr.が僕の前にいたシェクターの前に出てきたからでした。それまではタイヤも結構厳しい中、ライスを押さえることができていたんです。彼はストレートが速いセッティングになっていましたが、うまくタイミングを外して相手がストレートスピードを活かせないように走っていました。そして、僕が少しポジションを下げた後にライスとシェクターがクラッシュしたんです。避けることはできましたが、破片を踏んでタイヤをザックリ切ってしまった。ピットへ入れと言われましたが、もう残り2周だったのでゴールまで走り続けるつもりでした。今回はある程度のクルマを作ることはできましたが、もう一歩のところがまだですね。もう少しフロントがしっかり残ってくれるクルマにしないといけないと思います。
開幕から6位、7位という成績でランキングは5位になっています。去年までに比べるとリザルトはいいし、次のツインリンクもてぎではかなり良い走り、そして戦いができると思います。作戦も含めてピットがとてもいい仕事をしてくれています。もてぎは作戦も大きなファクターになるレースですから、とても楽しみにしています」
<サイモン・ホジソン:チーム・マネージャー>
「チーム全体が着実に進歩している」
「レース終盤、我々がピットインをした後にフルコースコーションが出ていたら、我々は優勝できたはずだ。予想していた通り終盤にコーションが出たが、残念ながら我々にとってベストのタイミングではなかった。しかし、チームとして良いレースを戦えたと言える。コウスケのドライビングもとても良く、プッシュすべき時にプッシュしていた。序盤はタイヤの内圧が高過ぎたためにアンダーステアが出ていたが、ピットストップでそれを調整してからはまずまずのハンドリングとなっていたようだ。
3回目のピットストップでタイヤを交換しなかったため、終盤はタイヤのグリップが低下していた。それでもコウスケはライスとハータを完全に押さえ込み続ける見事なドライビングを続けてくれた。体力的にも厳しかったはずだが、コウスケは最後までラップタイムを落とさなかった。
クルーたちの仕事も素晴らしかった。朝のクラッシュ後、左フロントサスペンションを全面的に交換し、サイドポッドをモノコックにマウントする部分も壊れていたので直し、Tカーからアンダートレイとサイドポッド、ウイングを移植した。オフの間に、プライマリーカーとTカーでパーツを完全に共有できる状態にしていたことが効果を表した。
コウスケはクルーたちやエンジニアのクリス・フィンチとも気持ちがぴったり合っている。クリスの作戦はアグレッシブで、彼の考え方はコウスケに好影響を与えているようだ。これからが楽しみだ。ポディウムはもう遠くはない。
開幕戦で6位を得、今回は7位。まだ目指しているレベルにまで達してはいないが、我々は着実に進歩を遂げている。だが、まだまだ向上させるべきところはある。もてぎではいいレースができるだろう」