<US-RACING>
最終日を迎えたフェニックスでのIRLプレ・シーズン・テスト。一日を通して快晴となり気温23度と絶好のコンディションの中、今日は16台が走行した。1マイルのショート・オーバルで全車が二日間に3000マイル以上を走破した今回、最後にトップへ浮上したのは昨年のチャンピオン、ダン・ウエルドンだった。今年からガナッシに移籍したばかりであるにもかかわらず、ウエルドンは178.483mph(20.170秒)のトップ・スピードをマーク。昨年ハータがここで記録したポール・スピード、176.612mphを2マイル近く上回ったことになる。2位はチームメイトで2003年の王者、ディクソンが入ってガナッシのワンツーとなり、チャンピオン・コンビが幸先の良いスタートを切った。
3位と4位は名門ペンスキーの二人、カストロネベスとホーニッシュJr.が入る。トップ4までが昨年のトヨタ勢となり、2年連続のチャンピオン・チームであるAGRは、5位と6位に並んだ。この2年間不本意な成績に終始したトヨタ勢は、同じエンジンなら上だという事をアピールするかのように、トップ・スピードを連発。これでスポンサーも少しは安心したことだろう。興味深いのはその後の順位もチームメイト同士が続いたことで、ビジョンのふたりが7位と8位、フェルナンデスの二人が9位と10位に入り、トップ10までがチームごとに順位を分け合うような形となっている。
今日になって突然ビジョン・レーシングからシェクターが走ることになり、7位にはいったのも驚きだったが、つられて(?)チームメイトのカーペンターも8位に。気になるのは昨年シェクターが所属していたパンサー・レーシングで、シェクターがビジョン入りしたということは、心配されていたチームの存続は絶望的ということか。ホーニッシュJr.とともにCARTから移行してきたチームと堂々と渡り合った生粋のIRLチーム、パンサーがいなくなるのはとても寂しい。
注目のルーキーであるマルコは、初めてのショート・オーバルを無難に走りきり、総合14位のスピードをマークした。トップから5マイル以上差が開き、まだまだこれからといったところだが、オーバルで焦ってもいいことはなにもない。かつて、このようなショート・オーバルでは父親のマイケルが何度も素晴らしい走りを見せ、多くのファンを魅了していた。その走りは多くの経験に基づいたものであり、まずはクルマをきちんと作り上げることから始まる。まあ、クルマはチームメイトがいるから問題ないとして、重要なのはそれを理解することと、変化するコンディションにいかに対応できるかといったところ。まだまだ先は長いぞ。
午前中から精力的に走りこんだ松浦は、総合で16台中10位となった。ダラーラとなったシャシーで様々なセットアップを試し、チームと共に満足のいくテスト走行を終えた。「目先のタイムよりも、マシンの何を変えたらどうなるかというエンジニアが分かりきった部分ではないところを試しました。今後のレースにつながるデータを集めるということが今回の目標だったんですけど、十分出来たんじゃないかなと思います。この車の特性も掴めたし、セットアップしてみてよかったらもっとやってみる。行き過ぎたら戻すというようなテストをやってみました。アタックしていたら、僕の予想としては20.4秒くらい出していたと思いますね。僕の20.6秒のタイムは2セット目の30周走ったタイヤでのタイムだったので、それよりダウンフォースを削って新品のタイヤでいけば軽く0.2秒くらいは上がったと思います。シャシーもいいですし、レースではトップチームとの争いが出来ると思います」と、今回のテストでの感触を話す松浦。3月上旬に行われる合同テストにも期待しよう。
シェクターがビジョン・レーシングから参戦することになり、現時点で16台のエントリーが決まった。昨年の開幕戦には22台のマシンが集まったが、現時点で6台足りないことになる。昨年のレギュラー・チームだったパンサー、ドレイヤー&レンボールド、ヘメルガン、チーバー・レーシングと、インディ・カー・シリーズに長年貢献してきたチームが、今回のテストに参加していないからだ。毎年のことだが現場には昨年のレギュラー・ドライバーで、今年シートが決まっていないドライバーがいる。その中にはレイホールでランキング・トップだったメイラをはじめ、日本人のドライバーとして活躍した安川もいた。参戦チームが減っている中でシートを得ることは、個人的に大口のスポンサーを持っていなければまず難しい。開幕戦まであと2ヶ月。レースが面白くなるためにも参戦台数が増えることに期待したいが、その中には安川の姿があることを願いたい。