INDY CAR

松浦孝亮、燃費の良さを生かしてレースを展開! しかし、ハンドリングが安定せず13位フィニッシュに

<SUPER AGURI FERNANDEZ RACING>
2005 IRLインディカー・シリーズ第13戦「Hondaインディ225」
【日時】8月21日
【開催地】コロラド州ファウンテン
【サーキット】パイクスピーク・インターナショナル・レースウェイ
【距離】1マイル(1.609km)×225周
■■■8月21日決勝■■■
天候:晴れ/気温:30.5℃/時間:13時45分〜(日本時間22日7時45分〜)
<セッティングが難しいパイクスピーク>——————————–
コロラド州デンバーの南、コロラド・スプリングス郊外にあるパイクスピーク・インターナショナル・レースウェイで開催された「Hondaインディ225」において、パナソニックARTA/パノス・Hondaを駆る松浦孝亮は13位でチェッカーを受けた。標高が1600mを越える高地の1マイルオーバルは、空気が薄いためにダウンフォースを稼ぎにくく、マシンのセッティングが非常に難しい。決勝を重視してプラクティスからレース用セットアップにほぼ専念したスーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングだったが、決勝前のファイナルプラクティスでセッティングにミスがあり、決勝に向けての万全な準備を整えることができず、それがレースでのマシンのハンドリングに響いてしまった。
<決勝を重視したプログラム>——————————————
昨年の松浦は、事前テストを一切行うことなく乗り込んだパイクスピークでプラクティス中にアクシデントを起こし、ファイナルプラクティスを走ることなく決勝に出場。最後尾グリッドからのスタートながら13位でゴールした。同じ失敗は許されないため、松浦とチームは慎重に、決勝用セッティングを重視するアプローチで2デイイベントに臨んだ。予選こそ16番手と上位に食い込むことができなかった松浦だが、決勝に向けて着々とマシンを煮詰めていった。その仕上げがファイナルプラクティスとなるはずだった。パノスの持ち込んだ新型フロントウイングはトラフィック内でのハンドリング安定化にも効果を発揮していた。ここで松浦は9番手のタイムを出したが、これはニュータイヤ装着によるプラスもあってのことだった。
<燃費の良さでポジションアップを果たしたが>————————–
レースは午後2時前に切られ、松浦は得意のスタートでふたつポジションを上げた。マシンのハンドリングはアンダーステア寄りで、1台にパスを許したが、松浦は15位で1回目のピットストップを迎えようとしていた。今回のレースは225周だが、フルコースコーションは1回しか出されなかった。そのタイミングは、松浦が1回目のピットインを行う直前だった。多くのドライバーはその時までにピットインしており、松浦はここで12位までポジションを上げた。マシンのハンドリングはレース序盤よりも向上していたが、ピットストップの前に周回遅れに陥っていたことが響き、フルコースコーションが出されたことで、10位までのドライバーとの間には大きな差ができてしまった。
その後はフルコースコーションが出されず、ほぼすべてのドライバーが2回のピットストップで走り切った。松浦が2回目のピットに入ったのは163周目。この時もライバル勢よりも遅いタイミングでのピットインとなったが、こんどはポジションを落として14位でコースに復帰した。3回目のピットストップを行ったチームが出たことで松浦のポジションはひとつ上がり、13位でのゴールとなった。このレースでは19台のマシンが完走したが、トップと同一周回でゴールできたのは3台のみで、その他のドライバーはすべてラップダウンされている。
■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
「ウエイトジャッカーを調整して走ったが、前車をパスするのは難しかった」
「ファイナルプラクティスでマシンのコーナーウエイトが狂っていたためにオーバーステアになってしまい、レースセッティングをどうしたらいいのか迷いが出てしまいました。それでも、スタートしてみるとハンドリングはそんなに悪くなく、少しアンダーステアが出ていたので、ウエイトジャッカーを調整しながら走り続けました。ただ、レースリーダーはとても速くてラップダウンになってしまったんです。ハンドリングがいまひとつだったこともあって、最初のピットストップまでの燃費は良かったんです。タイミングよくフルコースコーションが出されたこともあって、僕らは12位までポジションを上げることができました。レース中盤にはハンドリングはだいぶ改善されましたが、パスを重ねていくレベルにはなっていませんでしたから、とにかく前を走っているマシンについていくレースとなってしまいました。昨年は大きなクラッシュをしてしまって大変でしたが、今年はこうして無事にクルマを次のレースへと持っていくことができます。それはチームにとって大事なことです。ここでマシンを壊したら、もう1台をインディアナのワークショップから持って来なければなりませんからね。今回のチームはレースとレースの間にワークショップに戻らないことになっているんです。そういうこともあって今回は少し慎重に走っていた面はあります。次回のインフィニオンはロードコースですから期待できると思いますし、良い成績を挙げたいですね」
<サイモン・ホジソン:チームマネージャー>
「僅かにセッティングを外したため厳しいレースとなってしまった」
「決勝の前に行われたファイナルプラクティスではオーバーステアが出ていたので、より高いグリップを得るために、プラクティスでテストできなかった柔らかいスプリングを装着してレースに出場することにした。また、スプリングだけでなく、リヤウイングの角度を立てること、クロスウエイトの変更もレースに向けて行った。どちらもオーバーステアを消すためのセッティングだ。そして、それが僅かだが外れていたためにレースは厳しいものとなったようだ。オーバーを消そうとしたセッティングが、若干だがアンダーステア寄りになり過ぎてしまったのだ。コウスケはウエイトジャッカーを左に寄せてアンダーステアを消していた。そうした状況を考えれば、コウスケのドライビングは素晴らしく、ラップタイムも決して悪くはなかった。まだ我々のマシンはグリップが不足しており、パイクスピークは得意とするコースとは言えない。今回はもう少しフロントウイングを立てて行くべきだったのだろう。そうしたセッティングの違いとは本当に小さなものだが、このレースでは思うようにペースを上げることができなかった。パノスはまだショートトラックでのトラフィックではダラーラに対抗できていない。今回から導入された新ウイングは、我々と空力のデータを共有しているレイホール・レターマン・レーシングが比較テストを行い、大きなプラス効果が確認されたというので、我々も期待をしていた。実際にパイクスピークを走ってみて、効果があることを我々も確認することができた」