<US-RACING>
予選11位からスタートしたウエルドンが、2位のホーニッシュJr.に12.4763秒もの大差をつけて今シーズン5勝目を飾った。年間5勝は、2002年にホーニッシュJr.が記録した年間最多優勝回数に並ぶことになる。残り4戦でもう1勝すれば記録を更新することになるが、今年のウエルドンならその可能性も十分考えられるだろう。ランキング・ポイントでも2位のホーニッシュJr.に97ポイント差を広げた。残り4戦は、ロード・コース2戦、スーパー・スピードウエイ2戦と、共にウエルドンが得意とするコース。シーズン終了前にチャンピオンを獲得することになるか?
週末の天気予報では、日曜日の午後から雨が降ると予報されていたが、写真上の左側に見える雨雲はレースが終わるまでコース上空を覆うことはなかった。気温も31度まで上昇したが、昨日同様、湿気がないので若干暑さを感じるくらいだった。パイクス・ピークは、コースの形状がDシェイプ・オーバルで、ショート・オーバルにしてはハイバンクのため、スーパー・スピードウエイと似たような性質を兼ね備えている。しかし、サイド・バイ・サイドのレースが展開されるかというと、そうでもなく、速いマシンと遅いマシンの差が極端に現れ、今回のレースに関しては、ウイナーのウエルドンと同一周回を走行できたドライバーはホーニッシュJr.とカナーンの2人だけとなった。改めて考えてみると、他のショート・オーバルは追い抜くことが難しいが、このコースはラップダウンのマシンをパスすることが、コースの性質上、比較的楽だからこれだけ差が広がったのだろう。
今回のレースで発生したイエロー・コーションは、ルーキーのブリスコが80周目にターン4でクラッシュした時だけとなった。今シーズン初参戦となったブリスコだが、これまで完走したのは13戦中6回で、最高位はナッシュビルの8位。6戦(ミルウォーキーはプラクティスでクラッシュし、レースを欠場)はアクシデント、1戦はメカニカルトラブルでリタイアしている。テスト走行の回数が規制されているため、オーバルを走行したことのないルーキーにとっては厳しい状況だが、それにしても多いような気がしないでもない。しかし、これまで行われたインフィニオン、ワトキンス・グレンでのロード・コースでのテスト走行では、常に上位のタイムを記録しているブリスコ。次戦のインフィニオンで本来の才能を発揮することになるか?
昨年のパイクス・ピークの覇者、フランキッティが96周からレースをリード。120周目には2位のホーニッシュJr.に4.9836秒の差を広げた。125周目にはウエルドンが2位となりチームメイトから追われることになった。2人の差は徐々に狭まりトップ争いを演じていたのだが、最後のピット・ストップに入ったフランキッティが、クラッチトラブルでピット・アウトの際にエンジンストールしてしまう。コースに戻ったフランキッティは1周遅れとなり優勝争いから戦線離脱、7位でフィニッシュした。運が悪いと言えばそれまでだが、今日のウエルドンに追いつけるドライバーはフランキッティだけだったため、ピットでのトラブルは残念な結果となった。
これまですべてのショート・オーバルを制してきたペンスキーの2台だが、今回のレースではトップのウエルドンに12.4763秒もの差を広げられて、ホーニッシュJr.が2位に入る事で精一杯となった。ポールからスタートしたカストロネベスはレースでのマシンの仕上がりが完全ではなかったのか、1周遅れで4位に。共に上位でのフィニッシュとなったが、今日のウエルドンには歯が立たなかった。ランキング2位のホーニッシュJr.だが、残り4戦のレースは、ロード・コースとスーパースピードウエイのみ。ウエルドンにアクシデントが起こらない限り、チャンピオンを獲得するのは厳しいかもしれない。
午前に行われた最終プラクティスでの決勝セッティングがうまくいかず、レースでアンダーステアに悩まされた松浦は13位でフィニッシュした。「ハンドリングは良かったんですけど、コーナーウエイトが狂っていたため、ファイナル・プラクティスでまともに決勝のセットアップが出来なかったのが痛かったです」と、話した松浦。次戦のインフィニオンのレースには、このパイクス・ピークから直接チームも移動するため、マシンを壊すことは出来ない。クラッシュしてしまえば、インディアナポリスからマシンを持ってこなければならないため、チームに余計な負担もかかる。そういった理由からもレースでは、慎重に走行せざるおえなかった松浦は、無理に攻めることが出来ず、ポジションをキープすることで精一杯となった。新しいフロント・ウイングのことを聞くと「レースでは悪くなかったと思います。ダウンフォースも20ポンドくらい出ているので、良かったと思います」と、その成果を話した。次戦は得意とするロード・コースのレース。松浦の活躍に期待したい。
「出だしは良かったんでけど、2スティント目の途中からいきなりクルマがルーズになってしまって、それからはターン1と2はルーズで、ターン3と4はすごいアンダーになり、どうしようもなくなりました。ルーズと言ってもトップチームが言うルーズと、僕のマシンにでるルーズは比べ物にならないほど、ひどいですからね・・・・・・」と、レース中のマシンについて話した安川。手のつけようもないマシンでは、同一周回に留まることもできず、結局5周遅れの15位でフィニッシュした。「それでも、これまでのショート・オーバルのレースでは一番まともな方で、ミルウォーキーとかに比べれば少し進歩したとは思います」チームも少しずつ進歩しているが、まだまだ、メカニカルグリップなどのセッティングが重要となるショート・オーバルでは、トップチームとのセッティングの差が明白に出てしまうようだ。ロード・コースのレースは、チームも今年が初めてなだけに、次戦に期待することは難しいが、残り2戦のスーパースピード・ウエイでトップ10フィニッシュできることを期待したい。
ウエルドンが優勝したことで、ホンダが2年連続マニュファクチャラーズ・タイトルを獲得した。初開催となったストリート・コースのセント・ピーターズバーグ、そしてホンダにとって重要なレースとなるもてぎ、インディ500を制したウエルドンは、ホンダがタイトル・スポンサーとなった今回のレースでも見事優勝し、記念すべきマニュファクチャラーズ・タイトルをホンダにプレゼントした。ウエルドンはホンダにとって重要なレースで優勝しており、ホンダにとってはなくてはならない存在のドライバーに成長しているのは確かだ。