<US-RACING>
連日の猛暑にも関わらず、3日間で89788人の観客を記録したクリーブランド。ポール・ポジションから飛び出したトレイシーがレースをリードするも、最初のピット後はダ・マッタがトップに躍進する。連勝の期待が高まっていた中で、ダ・マッタはコントロールを失いまさかのクラッシュ。その後オールメンディンガーやタグリアーニなどがトップに立ち、計7回もリーダーが入れ替わった白熱のレースを制したのはトレイシーだった。10回目のポール・トゥ・ウインであり、記念すべき通算30勝目を達成。
・Lap by Lap
グリーン・フラッグ:過去6年間で5回目となるオープニングラップでのターン1におけるアクシデントでフルコース・コーション。ハンター-レイがヴィルトハイムとブレマーに接触する。ブレマーのマシンには特にダメージはなく、そのままレースを続行。ほかの2台はセーフティ・チームの助けが必要となる。ヴィルトハイムは押しがけで再スタートしてピット・イン。同時にウイルソンもピット・インして燃料を補給後コースへ復帰する。ヴィルトハイムはフロント・ノーズを交換してコースへ復帰。
Lap 4:グリーン・フラッグ。トレイシーがトップでダ・マッタ、ボウデイ、タグリアーニ、レンジャーらがこれに続く。レンジャーはプッシュ・トゥ・パスを使用してターン3でタグリアーニをパスする。この時点でレンジャーはすでにプッシュ・トゥ・パスを29秒間使用。
Lap 5:ハンター-レイはピット・インしたままマシンの修復に時間を費やす。
Lap 6:トレイシーがダ・マッタを0.792秒リード。グロックがマーシャルをパスして10位に上がる。スペラフィコは最初の6周で順位を5つ上げた。
Lap 8:トレイシーが最初に60秒を切る59.833秒のファステスト・ラップをマークする。 トレイシーは続けて59.814秒を記録し、最速タイムを更新する。
Lap 10:トレイシーが59.559秒でファステスト・ラップを更新する。トップ5の順位はトレイシー、ダ・マッタ、ボウデイ、レンジャー、タグリアーニ。ウイルソンが再びピット・インする。
Lap 13:ドミンゲスとブレマーがピット・イン。
Lap 15:ヴァッサーがピット・イン。
Lap 17:ボウデイが59.250秒でファステスト・ラップを更新。
Lap 18:ダ・マッタが59.150秒でファステスト・ラップを更新する。
Lap 19:スペラフィコが9位に上がる。ボウデイが59.088秒でファステスト・ラップを更新する。
Lap 21:ボウデイがファステスト・ラップを更新。 59秒を切る58.756秒をマークする。
Lap 23:トレイシーがダ・マッタを2.093秒リード。3位ボウデイとは3.782秒差。
Lap 26:サイド・バイ・サイドで順位を競うドミンゲスとウイルソンがターン5で接触する。2台が接触した際にパーツの破片がコース上に落とされたため、ここで2度目のフルコース・コーション。ドミンゲスは左フロントタイヤをパンクしたため、28周目にピット・インした。
Lap 27:ダ・マッタがピット閉鎖になる前にピット・イン。グロック、ドミンゲス、フィリップ、レンジャーはピット・クローズ・フラッグが振られている中でピットへ。
Lap 28:スペラフィコがピット・イン。ピット・レーンはフルコース・コーションで閉鎖中。
Lap 29:ピットがオープン。トレイシー、ボウデイ、タグリアーニ、セルヴィア、オールメンディンガー、マーカス、マルケスらがピット・イン。
Lap 31:グロック、ドミンゲス、レンジャー、フィリップ、それにスペラフィコはピットが閉鎖中にピット・インしたことで、グリーン・フラッグまでに集団の後方へと後退させられる。
Lap 34:グリーン・フラッグ。ダ・マッタがトップでリスタート。2位以下はヴァッサー、トレイシー、ボウデイ、タグリアーニ。
Lap 35:この時点でダ・マッタがチャンプ・カー・キャリア通算で900ラップをリード。 予選18番手からスタートのマーシャルは8位までポジション・アップする。マーシャルはトップ・グループと同じピット・ストップの作戦を取っている。
Lap 36:グロックとマルケスがターン10で一瞬接触する。フルコース・コーションが提示され、この接触でコース上に飛んだパーツの破片を取り除く。
Lap 37:グリーン・フラッグ。ダ・マッタがリード。
Lap 38:ブレマーがフィリップをパスして10位に上がる。
Lap 39:ドミンゲスのマシンがターン3でブレマーと接触した際に左フロントのサスペンションを破損。37周を走ったところでリタイアとなる。
Lap 41:マーシャルがフィリップと接触してコース・アウトし、グリーン上でスピン。フィリップはその直後にピット・インする。
Lap 42:ダ・マッタがトレイシーを2.277秒リード。3位ボウデイとの差は3.810秒。
Lap 45:ヴァッサーがピット・インして燃料補給とスタンダード仕様のブリヂストン・ポテンザを装着する。
Lap 48:ダ・マッタがファステスト・ラップをマークしてトレイシーとの差を4.8秒へと広げる。
Lap 51:ダ・マッタがターン9で周回遅れのマーシャルと接触し、左フロント・サスペンションを破損。ダ・マッタはマシンをフロント・ストレート右側に停めてマシンを降りる。 マーシャルの右リア・タイヤがパンク。トレイシーがトップに立ち、ボウデイ、セルヴィアがこれに続く。
Lap 52:オールメンディンガーがピット・イン。
Lap 54:フルコース・コーション。ヴィルトハイムがターン8の出口でウォールに衝突。ドライバーにケガはなく、自力でマシンを降りる。
Lap 56:トップ・グループがピット・イン。オールメンディンガーとヴァッサーはコース上に残る。
Lap 57:オールメンディンガーがトップに立ち、2位はヴァッサー、以下グロック、マルケス、トレイシー、セルヴィア、ボウデイ、タグリアーニ、レンジャー、ブレマーがトップ10の順位。
Lap 59:グリーン・フラッグ。トレイシーがターン1でグロックをパスしたあと、ターン3でヴァッサーをかわして2番手に上がる。
Lap 61:ヴァッサーが最初に60秒間のプッシュ・トゥ・パスを使い切る。
Lap 62:タグリアーニがボウデイをパスして6位に上がる。
Lap 65:グロックがトップから5.656秒遅れの5位を走行、チャンプ・カーで最初のトップ5フィニッシュを狙う。
Lap 67:グロックが5位のポジションからピット・イン。
Lap 69:オールメンディンガーが自己ファステスト・ラップを記録して今年最初のトップに立つ。
Lap 72:オールメンディンガーは58秒台で走行、トレイシーとの差を3.568秒へと広げる。
Lap 74:タグリアーニとボウデイがテール・トゥ・ノーズで5位争いを展開。
Lap 75:ヴァッサーが3位のポジションからピット・イン。 セルヴィアが3位に上がる。
Lap 76:リーダーのオールメンディンガーがピット・インしてオルタネイト・タイヤを装着。この間トレイシーがトップに立ち、セルヴィアが2位、以下タグリアーニ、ボウデイ、レンジャーらがトップ5を形成する。
Lap 77:トレイシーがファステスト・ラップを記録する。
Lap 79:2位のセルヴィアがピット・イン。
Lap 80:トップのトレイシーがピット・イン、ブレマーもこれに続く。代わってタグリアーニがトップに立つ。
Lap 83:ウイルソンがターン4でコースアウト。ブレマーがメカニカル・トラブルでリタイア。
Lap 84:まだピット・インしていないタグリアーニがトップに立ち、ボウデイを2.365秒リード。3位のトレイシーには16.544秒の差をつける。以下オールメンディンガー、セルヴィアでトップ5を形成。ボウデイはファステスト・ラップを記録して2位のポジションからピット・イン。
Lap 85:トップのタグリアーニがピット・インし、5.2秒分の燃料補給でピット・アウトする。ここでトレイシーがトップに浮上。タグリアーニはトップ・グループとの差を詰めるべく、残りのプッシュ・トゥ・パスを使い切る。
Lap 86:トレイシーがオールメンディンガーを3.033秒リード。セルヴィアは3位のポジションをキープ。その後方からはタグリアーニとボウデイが迫る。
Lap 89:オールメンディンガーがトップのトレイシーの3.534秒後方を走行。残り2ラップ。
Lap 90:ホワイト・フラッグ。トレイシーが3.430秒リード。2位のオールメンディンガーの背後には、ファステスト・ラップを更新したセルヴィアが迫る。
Lap 91:チェッカード・フラッグ。トレイシーがグランプリ・オブ・クリーブランドPresented by U.S. Bank優勝。1993年以来となるクリーブランドでの勝利を飾る。オールメンディンガーはキャリア自己ベスト・タイの2位でフィニッシュし、セルヴィアが3位表彰台を獲得。以下タグリアーニが4位で、ボウデイ5位。
ルーキーのトップはレンジャーで8位入賞。ウイルソンは16位からスタートして7位でフィニッシュしたことで、レース中最も順位を上げたドライバーとして、チャンピオンシップ・ポイント1点を獲得した。
優勝したトレイシーのコメント:
「クレイジーなレースだった。多くのドライバーが別々のタイミングでピットストップする戦略だったから、全体を把握することが困難だったよ。なかでもうちのチームは綿密な計算の上にピットストップを行ったんで、すべてが上手く行った。クリスチアーノはほかのマシンとヒットしてしまって残念な結果に終わってしまったけど、もし彼があのままいけたとしても、もう一度僕の前にピットインしなければならなかったはずだから、どちらにしてもこちらに分があったと思う。新しいスポンサーのマウンテン・グランド・ロッジとアヴァランチ・ベイがチームに加わった今回のクリーブランドで優勝を飾ることができ、とても良かった。僕の故郷トロントでのレースに向けて、とても良い結果を得ることができていい気分だよ」
2位表彰台のオールメンディンガーのコメント:
「良い結果に終わったと思う。昨日の予選では、ドライバーのエラーでとんだ目にあってしまった。でも思うに、もう少しターン8のコンクリートフェンスの位置を外側にずらしてくれれば、かなり速く走ることができるよ。あれは衝突してもびくともしなかった」
3位表彰台のセルヴィアのコメント:
「パシフィケア・チームのおかげで、混乱のレース状況下でも全体を把握することが容易だった。そういった面でも、結果に大きな違いを見ることができる、本当に素晴しいチームだと思う。新しいルールは自分にとって都合の良いものだった。レースウィークが始まるとき、チームが前もって十分な準備を整えてくれるので、自分としてはとても仕事がやりやすい。今回もまたパシフィケア・カーで表彰台に上がることができた。望んでいた結果を得ることができたんだ。近いうちにぜひ初優勝を成し遂げなくてはならないが、いまのところは確実に表彰台に上がることが大切だ。ポイントランキングでは、着実に上位に上がってきているよ」