INDY CAR

ダン・ウェルドンが第89回Indy500で優勝、Honda Indy V-8は伝統のイベントでトップ4を独占し、2連覇

<Honda>
5月29日(日)・決勝
サーキット:インディアナポリス・モーター・スピードウェイ 天候:快晴 気温:24℃
今年で第89回目の開催を迎える世界最大のモータースポーツ・イベント、インディアナポリス500マイル・レース(Indy500)でHonda Indy V-8を搭載するダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)が優勝を飾った。予選は16位で、中団グループからスタートしたウェルドンだったが、序盤の50周でトップ10へと進出すると、その後はずっとトップ・グループを走り続けた。 レースの終盤は、女性ルーキー・ドライバーのダニカ・パトリック(レイホール・レターマン・レーシング/Honda・パノス)とウェルドンが激しいバトルを繰り広げ、満員のインディアナポリス・モーター・スピードウェイは興奮のるつぼと化した。二人の間でトップ交代劇が繰り返され、残り8周となる193周目のメイン・ストレート上でウェルドンがトップに立ち、そのままゴールまで走り切った。パトリックは燃費セーブと、マシンの若干のハンドリング悪化もあって4位へと後退。2位には彼女のチームメイトであるヴィットール・メイラ(レイホール・レターマン・レーシング/Honda・パノス)がポジションを上げ、3位はブライアン・ハータ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)のものとなった。残り1周の199周目にルーキーのセバスチャン・ボーデ(ニューマン・ハース・レーシング/Honda・パノス)がクラッシュしたため、レースはフルコース・コーション下、イエロー・フラッグとチェッカー・フラッグが同時に振られて終了。ウェルドンが勝者となった。
ウェルドン、そしてアンドレッティ・グリーン・レーシングにとって、これは初めてのIndy500制覇。ウェルドンは伝統にのっとってビクトリー・レーンでミルクを飲む栄誉に浴した。
この勝利はウェルドンにとってIRLインディカー・シリーズでのキャリア7勝目で、今シーズンはまだ5戦目だが、早くも4勝目となった。第3戦セント・ピーターズバーグからの3連勝で、ウェルドンはIRLインディカー・シリーズのポイント・リーダーの座を保ち続けてもいる。
ポールポジションからスタートした昨年度IRLインディカー・シリーズ・チャンピオンのトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/Honda・ダラーラ)は、ハイペースで進んだレースで54周をリードしたが、残り50周でのピットストップに時間がかかったのが響き、8位でゴールした。
2度目のIndy500挑戦となる松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング/Honda・パノス)は予選8位からスタート。1回目のピットストップでセッティング変更を行なったためにポジションを下げたが、ハンドリングの良くなったマシンで7位まで復活。しかしながら終盤の戦いに挑んでいる最中の186周目にターン4でクラッシュを喫した。
ロジャー安川(ドレイヤー&レインボールド・レーシング/Honda・ダラーラ)は、予選17位から好スタートで15位までポジションアップを果たし、快調なスタートを切った。しかし、1回目のピットストップまでにクラッチにトラブルが発生。それをカバーする走りを続けていたが、レースが残り30周を切ろうという167周目、エンジントラブルによりスピードダウン、3年連続トップ10フィニッシュを目指していたが、リタイアする苦渋の決断を下した。
Honda Indy V-8は、Indy500において2連覇を果たした。昨年はトップ7を独占し、今年もトップ4をHondaドライバーが占めての勝利となった。今回のレースには14人のHondaドライバーが参戦したが、7人がトップ10入りを果たした。
■ダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング) 優勝
「僕の夢がついに叶った。イギリスにいた子供時代からIndy500で勝ちたいと考えていたんだからね。今年のレースはいつも以上に凄い戦いになっていた。世界のトップ・ドライバーたちが集結し、最高の戦いを繰り広げていた。優勝できて本当に嬉しく、感動している。予選結果が思わしくなく、悔しい思いをしたが、そこからは決勝用のマシンづくりに集中した。Hondaエンジンが自分にはある。絶対に前へと出て行くことは可能だと確信していて、実際にレースでのマシンはトラフィック内でも素晴らしいハンドリングになっていた。アンドレッティ・グリーン・レーシングはドライバーとしての経験も豊富なオーナーがいて、才能と経験を持ったチームメイトもいる。彼らから僕は多くを学ばせてもらっている。今日、こうしてチームにIndy500優勝をもたらすことができ、とても幸せだ」
■ヴィットール・メイラ(レイホール・レターマン・レーシング) 2位
「序盤はタイヤのグリップが感じられずに苦しかったが、110周を過ぎた辺りからハンドリングがとても良くなった。路面のコンディションなどが変わったためだろう。苦しい時もレイホール・レターマン・レーシングのクルーが素晴らしいピットワークを見せてくれ、常に僕のポジションを上げてくれ、2位でゴールすることに繋がった。Hondaエンジンは、去年に続いて優勝し、上位独占も果たした。1度勝つだけでも本当に大変なレースだというのに、2年連続で優勝し、しかも去年はトップ7、今年はトップ4を独占した。レースを通してHonda Indy V-8は見事なパフォーマンスを発揮してくれた」
■ブライアン・ハータ(アンドレッティ・グリーン・レーシング) 3位
「全力を出し切ってくれたクルーたちのためにも3位入賞を果たせて嬉しい。また、チーム・オーナーのマイケル・アンドレッティ、チームメイトのダン・ウェルドンに優勝おめでとうと言いたい。自分が勝利をもたらせればもっと嬉しかったけれど、僕に無理であれば、チームメイトにIndy500優勝を達成して欲しかった。僕らのチームで1位から4位まで独占するつもりで頑張っていたが、ひとりが優勝し、僕は3位でゴールできた」
■ダニカ・パトリック(レイホール・レターマン・レーシング) 4位
「終盤にトップに立った時には勝てるかと思ったけれど、燃費をセーブしなくてはならなくて、2つポジションを下げざるを得なかった。ハードワークをこなしてくれたチームのためにも、4位でゴールできて嬉しい。彼らのためにも絶対に完走したかった。今日の自分は何度かミスをした。ピットでエンジンをストールさせたし、スピンもした。あのアクシデントでマシンが大破しなかったのは信じられないぐらい。それでも走り続けることができた。何度かポジションを落とすことがあったけれど、またトップ争いへと戻って行くことができた。終盤はハンドリングが少しオーバーステアになって来ていて、それもポジションを譲らざるを得なくなった原因。もてぎに続く4位だけれど、今回の4位は戦って勝ち取ったものとして、より嬉しさが大きい」
■松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング) リタイア(17位)
「トップ5フィニッシュすることを目指して走って、作戦的にも、マシンの仕上がり具合もそれを狙えるものになっていました。しかし、残念ながら壁にヒットしてレースを終えることになり、本当に悔しいです。最初のピットストップまでに走ったフィーリングでダウンフォースを増やすことにして、そこからはとてもマシンが良くなっていたんですが、他車との接触でマシンから振動が出始め、ポジションを上げられなくなりました。ピットに入ってタイヤを交換してからはマシンに問題はなく、また上位を目指そうというところでした。しかし、終盤のマシンはトラフィック内でのハンドリングが本当に良いという状態ではなく、突然フロントを持って行かれる感じでクラッシュしてしまいました。次のテキサスは得意なコースだし、自分も好きなので、是非とも良い成績を残したいと思います」
■ロジャー安川(ドレイヤー&レインボールド・レーシング) リタイア(18位)
「残念ながらリタイアとなってしまいました。スタートでポジションアップして、マシンのバランスをチェックしながら走っていたんですが、1回目のピットストップでクラッチにトラブルが出てしまいました。2回目のピットストップからはクラッチが使えなくなっていたため、クルーに押しがけをしてもらわなければならなかったんです。そこからは、クルマを押すクルーの安全のためにも他のドライバーたちとは違うタイミングでピットインすることになって、最後はクラッチの問題が原因になってかエンジンがストップしそうで、黒旗を出されてピットでリタイアとなりました。トップ10フィニッシュは狙えるマシンにできていただけに残念です」
■ロバート・クラーク: HPD社長
「2年連続でIndy500を制することができ、とても嬉しい。ロジャー安川のエンジンには残念ながらトラブルが出たが、その他にメカニカルなトラブルはなかった。そして、全てのドライバー、チームが持てる力を発揮し、トップ4独占を果たしてくれた。今日のレースではHonda Indy V-8の素晴らしい燃費性能もお見せしたいところだったが、燃費が鍵となる展開になるとアクシデントなどによるフルコースコーションが出され、我々のエンジンの燃費の良さをアピールするチャンスはなかった。昨年のレースは雨によって短縮されたものだったが、今年は500マイルでの戦いとなり、そのレースに勝利できたことを喜んでいる。天気も非常に良く、レースを楽しむのには絶好の1日となっていた。残念ながら、また今年もフルコースコーションでゴールとなったので、来年はグリーンでのゴールでチェッカー・フラッグを受けたい」
■福井威夫: 本田技研工業株式会社 代表取締役社長
「昨年に続き、今年も伝統のIndy500で勝つことができ、とても嬉しく思います。Indy500は初日の練習走行から決勝まで3週間以上の長丁場なので、ドライバーやチームにとっては大変なプレッシャーだったと思います。まずは「お疲れ様」と言いたいですね。2年連続のマニュファクチャラーズ・タイトル獲得に向けて、今後もこの勢いで勝ち続けていきたいと思いますので、皆様のご声援を宜しくお願い致します」