INDY CAR

松浦孝亮、着実な走りで7番手まで挽回するも、わずか14周を残して無念のクラッシュ

<SUPER AGURI FERNANDEZ RACING>
2005 IRLインディカー・シリーズ第5戦「第89回インディアナポリス500マイルレース」
■■■5月29日決勝■■■
天候:晴れ 気温:24℃ 時間:12:00〜(日本時間30日2:00〜)
<快晴の下で迎えた伝統の一戦>———————————-
第89回目の開催を迎える世界で最も長い歴史を誇るレース、インディ500は、レースデイだけで30万人を超すファンが詰めかける世界最大のスポーツイベントでもある。
インディアナの州都インディアナポリスにある全長2.5マイルのインディアナポリス・モーター・スピードウェイは、今年は見事なまでの快晴に恵まれ、夏のような日差しの中でレースが開催された。
出場33台中、パナソニックARTA/パノス・Hondaを駆る松浦孝亮のスターティングポジションは8位だった。昨年このレースでルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いている松浦は、今年はトップ5はもちろんのこと、優勝までも視野に入れた戦いを展開すべく、5月10日のプラクティス初日から走り込みを続けてきた。
<決勝中のセッティング変更で、粘り強く順位をアップ>————-
インディアナポリス・モーター・スピードウェイは超高速コースであるがゆえに、コンディションの変化に対して繊細な面を持つ。松浦はスーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングのエンジニアリングスタッフと検討を重ねた結果、レース中にダウンフォースレベルを変更することも考慮に入れた作戦で500マイルのレースに臨んだ。
スタートでは予選ポジションをキープするスムーズな滑り出しを見せ、パナソニックARTA/パノス・Hondaをトップ10圏内にとどめていた松浦は、走りながらマシンのフィーリング、路面のコンディションをチェックし、1回目のピットストップでダウンフォースを増やすことを決定した。この作業には時間がかかるため、松浦のポジションはこのピットアウトの時点で25位まで下がった。
しかし、ここから着々とポジションを上げ、残り25周で7位にまで浮上した。他車との接触でハーフスピンに陥り、タイヤかすを拾ったためにバイブレーションが出たこともあったが、できる限りペースを落とさずに走り続けることでポジションを維持。その踏ん張りが功を奏し、トップコンテンダーたちの中に再び加わっていくことができた。
<最終スティントとなるはずの残り14周でクラッシュ>————–
松浦は最後の戦いを始めた。自分の前を走っているのは強豪ばかりという状況だった。最後のピットストップもすでに終えており、あとはプッシュし続けるだけだった。その186周目、松浦のマシンはターン4で突然スライドし、フロントから外側のSAFERウォールにヒット。マシン右側のサスペンションなどに負ったダメージのため、走行続行は不可能となり、松浦にとって2度目のインディ500はリタイアを余儀なくされた。トップ10フィニッシュは確実に狙えるポジションを走っていただけに、非常に残念な結果となった。
■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
「突然フロントを持っていかれました」
「チームの作戦も、マシンの仕上がり具合も、トップ5を狙えるだけのものになっていたと思います。しかし、壁にヒットしてレースを終えるという本当に残念な結果になってしまいました。本当に悔しいです。あのままであれば少なくとも6位では走れていたはずです。最初のピットストップでダウンフォースを増やしましたが、そこからのハンドリングは良かったんです。ダニカ・パトリックとの接触でマシンから振動が出始めた時も、いったんは周回遅れになりましたが、できる限り給油のタイミングを遅らせることで、すぐにそれを取り戻すこともできました。ピットでタイヤを交換してからはマシンに問題はなかったし、また上位まで上がっていけると考えていました。終盤になってから、トラフィックでのハンドリングが変わってきて、最後は突然フロントを持っていかれました。リヤが突然出たり、フロントが流れたりするのは、その時点までも何度かありましたが対処できていました。自分ではコントロールできると思ったんですけど、最後だけは、それよりもクルマが大きく流れてしまいました。次戦のテキサスは、自分にとって得意なコースだし、好きなコースでもあるので良い成績を残せるよう全力でぶつかります」
<鈴木亜久里 チーム代表>
「レース用セッティングでの走り込み不足が響いた」
「レース用セッティングでの十分な走り込みができなかった。それが響いたレースになった。ファイナルプラクティスでエイドリアン・フェルナンデスのセッティングを移植したことにより、マシンの感触は良くなったものの、レースを走るセットでプラクティスをできたのがその1日だけだった。それも、すごく短い時間だったからね。レースでは1回目のピットストップでダウンフォースを増やすことにしたためポジションを下げたが、なんとかトップ10に戻ることができた。そこからの孝亮の走りに期待していたが、トラフィックの中でのハンドリングは完璧ではなかった。誰かの後ろについた時に、マシンが良くない状態では戦えない。エンジニアとのコミュニケーションなど、もう一度チームとして立て直さないと、勝つことはできない」