<SUPER AGURI FERNANDEZ RACING>
2005 IRLインディカー・シリーズ第5戦「第89回インディアナポリス500マイルレース」
■■■5月15日 ポールデイ(予選1日目)■■■
天候:曇り 気温:13℃ 時間:12:00〜18:00(日本時間16日2:00〜8:00)
<昨年をひとつ上回る予選ポジション>————————–
5月15日、第89回インディ500の予選第1日目が行われ、パナソニックARTA/パノス・Hondaを走らせる松浦孝亮は、4周のアタックで平均時速226.397mph(364.273km/h)をマークし、予選8位を獲得。決勝レースを3列目中央グリッドからスタートする権利を得た。昨年の松浦は初挑戦のインディ500で9番グリッドを手にして、決勝レースでは11位となり、インディ500ルーキー・オブ・ザ・イヤーとなった。今年はひとつ上のポジションから伝統ある500マイルレースへと出走することになった。
<マシン、ドライバーともに難しいインディ独特の予選方式>———
世界で最も長い歴史を持つインディ500の予選は、通常のレースとは異なり、4周連続の走行で1回のアタックとなる。つまり全長2.5マイルのコースを10マイル走った平均スピードでグリッドを競い合うのだ。4つしかコーナーのないインディアナポリス・モーター・スピードウェイではあるが、10マイルもの長距離を安定したラップタイムで走れるようにマシンを仕上げることは至難の業だ。ドライバーにとっても、時速225mph(362.025km/h)以上の高速を保って10マイルを走り続けるためには、高度の集中力を長時間にわたって保ち続けることが求められる。
<今年から導入された予選新方式>——————————
インディ500のもうひとつの大きな特徴として、予選が合計4日間、2週間にまたがって行われる点がある。今年の場合は、初日の5月14日(土曜日)が雨のためにキャンセルされたため、15日(日)が予選初日となり、25人のドライバーがアタックを行った。予選は引き続き5月21日(土)、22日(日)に行われる。
今年はこの予選に新たなルールが加えられてもいる。昨年までの伝統的なルールでは、一度予選アタックのチェッカーフラッグを受けてしまうと、もう二度とそのマシンを走らせることはできなかった。しかし、新ルールでは、1日につき3回のアタックが許されるようになったのだ。なぜそのようなルールが作り出されたのかというと、初日には33個あるグリッドのうちの11位までだけ、2日目は12位から22位まで、3日目に33位までと、全33個のグリッドを3日間に分け、予選の行われる4日間すべてで少ないグリッド数を競い合う、より激しい戦いとなることを狙ったためである。規定されたグリッド数がいったん埋められると、速いタイムを出すドライバーが現れるたびに、最も遅い予選タイムの持ち主がグリッドから弾き出される。そして、バンプアウトされたドライバーは、グリッドの再獲得を目指し、もう一度、あるいは二度のアタックを行うことができるのだ。
ただし、一度予選を終えた後に再度チャレンジを行う場合には、その前に自分が出した予選タイムを放棄しなくてはならない。より速いタイムを出せるという自信があるとしても、すでに出しているタイムを捨てるのは大きなリスクを伴う。そこに新しいおもしろさの生まれる可能性が秘められていた。
<5番目のアタッカーとしてコースイン>——————————
松浦は、予選を目前に控えた午前中のプラクティスで226.884mph(365.056km/h)のベストを記録。クジ引きで彼の引いたアタック順は11番手だったが、彼の前にいた6人がアタックを行わなかったことから、松浦は5番目の予選挑戦者としてコースへと入っていった。2周のウォームアップの後に松浦が記録した1周目のラップタイムは39秒7045。平均時速は226.675mph(364.720km/h)だった。2周目は226.375mph(364.237km/h)、3周目は226.256mph(364.046km/h)、4周目は226.281mph(364.086km/h)と、全ラップを226mph台にそろえ、4周平均は226.397mph(364.273km/h)。自分のアタックが終了した時点で松浦は3位につけた。この後6時まで予選は続き、松浦のグリッドは最終的に8位と決まった。
今日予選アタックを行った中には、3回許されるチャンスをすべて使ったドライバーもいたし、一度記録したタイムを放棄してアタックをし直した結果、大幅にポジションを上げた者と、逆に順位を落とした者もいた。また、一度予選アタックを終えながら、バンプアウトされてグリッドを失うドライバーも3人現れた。新フォーマットによる予選は、最後の最後までドンデン返しの起こる可能性を秘めた実にスリリングな6時間となった。
■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
「持てる力を出し切ることができた予選だった」
「予選の4周は全開で走れました。目標としていたスピードに達することができ、マシンにも明らかに悪いところはなかったので、2回目のアタックはやめることにしました。今日のコンディションに対して、マシンをバランスの良いものに仕上げられていたし、トップ10に入れればオーケーという考えだったので、226マイル前半を記録でき、8位で3列目グリッドからスタートできるのであれば、よしとしたいところ、というわけです。本当は2列目に食い込みたかったのですけどね。ターン2でアンダーステアが全ラップとも出ていて、3、4ラップ目は壁にぶつかりそうでした。ウェイトジャッカーとロールバーを半周ごとにアジャストしながら走っていました。もう1回アタックしても、確実に上に行けるという要素が自分たちにはなかった。一度出したタイムを捨てるいうのは大きなリスクがありますしね。僕がアタックをしている間でさえも風が強くなっていったぐらいで、今日は時間が経つに連れて風が出ているようだったし、エリオ・カストロネベスのようにポジションを落としてしまうことだって十分に考えられましたから。自分たちとしては、持っている力をかなり出し切ることのできた予選だったと思います」
<鈴木亜久里 チーム代表>
「3列目なので決勝ではレースの流れに乗って戦えると思う」
「1回目で結構いいスピードが出せたし、間違いなくスピードを上げられる要素もないので、2回目のアタックはやらなかった。18位ぐらいのポジションではスタートするのも大変だが、8位は3列目なので、レースの流れに乗ってそこそこのポジションを走ることができるだろう。インディは500マイルという長いレースなので、予選はそんなに重要ではない。(中団以後の)危険な位置よりも前のグリッドを獲得できたのだから、今日の予選はオーケーだったと思う。2列目までに入りたかったのが本音だけどね。大事なのはレース用のセットアップ。今までも少しは進めているが、来週の水曜日からは完全にレース用セットだけをやることになる。予選はセレモニーという感じなので、まずまずのスピードが出せたし、チームとしてもがんばっていたと思う。去年は、給油ホースが抜けにくくなったりなどのミスがあったが、今年はチーム全体が良くなっている。決勝はミスなく手堅くいきたい。本当に大事なのはレースだから、そのためのセッティングを、これからどこまで良くできるかが勝負になる」
<サイモン・ホジソン チーム・マネジャー>
「納得できる予選結果だ。来週からはレースカーのセットアップに全力を尽くす」
「今朝のプラクティスまでに学んだことの全てを注ぎこみ、予選に向けたマシンを作った。我々は持っている力のほぼ全てを出し切ることができた。ドラッグ(抵抗)は可能な限り削り取り、ギヤも全てを使ってのアタックができていた。今年からの新ルールを使って、もう1回予選にトライし、さらに上位のグリッドを目指すこともできた。しかし、そのためには226.3mph台の自分たちの予選記録を捨てなくてはならない。それはリスクが大き過ぎる。今日の予選は、始まってから風が強くなっていった。コウスケのタイムアタック中のウォームアップを含めたわずか6、7周の間だけでさえ、風は次第に強くなっていったほどだった。そうしたことも考えた上で、もう一度チャレンジするのはやめようという決断に至った。コウスケのアタック順は早い方だった。今日のようなコンディションでは、クジ運としては悪くなかったと言えるだろう。コウスケより後にアタックしたドライバーたちの中には、驚くほどスピードが伸び悩んだ人たちもいたのだから。3列目という予選結果に僕らは納得をして良いと思う。十分に優勝を目指した戦いを行えるスターティングポジションなのだから。レース用のマシンは、エンジニアのジョン・ディックがいい方向性を見つけ出してパナソニックARTA/パノス・Hondaを仕上げてくれるはずだ。これまでに行ってきたプラクティスにおいて、すでに我々はレース用セッティングをかなり進めることができている。タイヤの使用本数も計画どおりで、決勝まで含めてタイヤが足りなくなるという心配は一切ない。来週のプラクティスでは、Tカーを使ってセッティングを行い、予選を通したプライマリーカーはレースに向けてできる限り入念に組み上げようと考えている。まだトラフィックテストをあまり行えていないので、そこにも力を入れていく。エイドリアン・フェルナンデス、スコット・シャープという二人のチームメイトがいるので、我々は必要な時にトラフィックを自ら作り出すこともできる。万全の体制で決勝に臨むことができるよう、来週も全力でいく」