INDY CAR

松浦孝亮、得意のハイスピードオーバルでシーズンの集大成となる走りを目指す


■日時:10月15日〜17日
■開催地:テキサス州フォートワース
■サーキット:テキサス・モーター・スピードウェイ
2月下旬に開幕した2004年IRLインディカー・シリーズは、アメリカ国内14州と日本での1戦、あわせて15レースをこれまで戦ってきた。そして今回、10月中旬に開催されるテキサスでの500kmイベントで最終戦を迎える。
エンジン・マニュファクチャラーズ・チャンピオンシップはすでに第11戦ケンタッキーでHondaが初の獲得を決め、シャシー・マニュファクチャラーズ部門の王者は第13戦ナザレスでダラーラに決まっている。ドライバー部門のチャンピオンもトニー・カナーンが第15戦で手中に収め、主要なタイトルはすで最終戦を待たずに決している。
しかし、今回の最終戦は今シーズンのこれまで同様、あるいはそれ以上の熱戦が繰り広げられることだろう。その理由は、すでにタイトルが決定しているため、トップドライバー全員が優勝を強く意識した戦いぶりを見せるからだ。ポイントスタンディングの順位は今もって接近していることから、ランキングをひとつでも上位へと押し上げてシーズンを終えようと全チームがベストを尽くしてくる。
最終戦の会場がテキサス・モーター・スピードウェイであることもバトルをヒートアップさせる一因となっている。全長1.5マイルのオーバルは超高速タイプで、IRLインディカー・シリーズ随一の接近戦を生む24度ものハイバンクオーバルである。ここテキサス・モーター・スピードウェイは1シーズン中にレースを2回開催するIRLインディカー・シリーズで唯一のコースでもあり、6月にナイトレースで第5戦を開催している。今年2度目の開催ということで、各チームとも戦い方は十分に把握しており、密度の濃いレースを戦うだけの力を備えている。これらもレースを白熱させる要因として働くはずだ。
今年度からIRLインディカー・シリーズに参戦を開始した松浦孝亮は、ここまでの15戦で身につけた経験を基にキャリアベストの4位を上回る成績を目指す。もちろん初優勝も視野に入れた戦いを展開する意気込みだ。松浦は栄誉あるシリーズのルーキー賞、ボンバーディア・ルーキー・オブ・ザ・イヤーをほぼ手中に収めている。フォンタナでの15戦までに松浦はエド・カーペンターに35ポイントの差をつけており、相手が優勝し、松浦が最少の12ポイントを獲得する最悪の事態になった場合にのみ逆転が可能という状況なのだ。インディ500でバンクワン・ルーキー・オブ・ザ・イヤーをすでに獲得している松浦が、シリーズのルーキー賞も併せて手に入れることはほぼ確実。そこで松浦とスーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングは、ルーキー賞が獲得できるか否かをほとんど意識することなく、レースでの好パフォーマンスを求めたウイークエンドを送ることができる。
シーズン終盤の松浦はフラストレーションの溜まるレースを重ねている。それだけに最終戦ではぜひとも自らの納得がいくレースを戦いたいと考えている。もちろんスーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングも掲げている目標はまったく同じだ。高速コースでのマシン作りには自信を持っている上、シーズン後半からはピット作業のスピード、確実性ともに向上を果たしている。有終の美を飾るという意味からも、最終戦ではトップグループに加わって思う存分にバトルを楽しみ、その上で好結果をつかみたい。そうしたレースを実現するためにドライバー、そしてチーム全員がモチベーションを高く持っている。
6月のテキサスはナイトレースだったが今回は日中の戦いであることから、前回とまったく同じものとはならない。この4カ月の間に新規定の3リッターエンジンは大きくパワーを上げているし、空力を含めたマシンの開発を各チームとも確実に向上させている。ルーキーである松浦にとって、すでにフルディスタンスでのレースを一度戦ったことのあるコースは今回のテキサスが初めてとなる。当然、これまでのどのレースとも違った、成熟した戦いぶりが期待できる。
6月のレースで松浦は予選4位に食い込み、レースでもトップグループでの戦いを続けていた。結果はマシントラブルによって16位ではあったが、確かな手応えをつかめたレースであった。独自の空力開発とシャシーのシミュレーションを行い、スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングのパナソニックARTA/パノスGフォース・Hondaもライバル陣営に劣らない戦闘力を確保している。最終戦では予選で好位置につけ、上位陣にポジションを保ってゴールまでを走り抜く、今シーズンの集大成となる戦いぶりを見せることを目指す。
●松浦孝亮
「ここ数戦の不調を吹き飛ばす熱い走りでルーキー・オブ・ザ・イヤー争いも勝ち抜くつもりです」
「テキサス・モーター・スピードウェイでのレースというのは、自分が去年までに経験してきたどんなレースとも違うすごいものです。その最初の経験となった6月のレースは自分にとって特別なものとなりました。予選は自己ベストとなる4位で、トップも走りました。残念ながら電気系統のトラブルが発生して完走できませんでしたが、今回のレースに向け、僕は自信を持っています。今度こそ良い結果を手にしたいと思います。前回のレースが終わってからチームはスピードが出ていなかった原因を見つけたようです。フォンタナでのトラブルが解消していれば6月のテキサスのように良いレースができるはずです。今年最後のレースとなるので、ここ数戦の不調を吹き飛ばし、シーズン前半のような熱い走りを見せてシーズンを締めくくりたいですね。そして、ルーキー・オブ・ザ・イヤーのポイント争いもリードを守り抜くために全力を挙げます。この賞が獲得できれば、今回のレースは自分にとってさらに特別なものにできると思います」
●トム・アンダーソン マネージング・ディレクター
「フォンタナで苦しめられたマシンの問題は完全に解決し、予選トップ10以内が実現できれば決勝は望みどおりの展開となるだろう」
「フォンタナで悩まされていたトラブルは原因が解明され、万全の対策を施したので、テキサスでは走行初日の金曜日から競争力のあるスピードを出せると期待している。今回のレースではプラクティス時間が延長されているし、天候も良さそうだ。テキサスは我々のチームがシーズン前半に良い走りを見せているコースでもある。コウスケも、チームもともに自信を持って臨めるレースだ。トラブルが解決された今、予選でのトップ10入りは問題ないはずだ。そして、それが実現できれば、我々の望んでいるとおりのレースを戦うことができると考えている。ルーキー・オブ・ザ・イヤー・タイトルは、ライバルであるエド・カーペンターが優勝し、その上でコウスケが最下位に近い成績とならない限り獲得できる状況にある。もちろん、まだコウスケのタイトル獲得が完全に決まっているわけではないが、我々はそれを意識するのではなく、上位でのフィニッシュを目指した戦いを行うつもりだ。今回は最終戦だ。チーム、そしてコウスケが長いオフを気持ち良く過ごすためにも、素晴らしいレースを戦い、満足の行く結果を手にしたい」
スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング公式ウェブサイト
www.superaguri-fernandez.jp