1996年にスタートしたIRL IndyCarシリーズは、9シーズン目の第13戦として開催される今回のファイアストン・インディ225で通算100戦目を迎えた。その記念すべきレースはペンシルベニア州ナザレスのナザレス・スピードウェイを舞台に行われ、Honda Indy V-8を駆るダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)が優勝を飾った。奇しくもこのコースは今シーズン限りで閉鎖されるため、1966年創業の1マイル・オーバルにとって最後のIndyCarレースであった。長い歴史を誇るサーキットで行われる最後のレースを観戦するために好天の下、サーキットには多くのファンが詰め掛けていた。
決勝日:8月29日(日) サーキット:ナザレス・スピードウェイ 天候:快晴 気温:29.5℃
1996年にスタートしたIRL IndyCarシリーズは、9シーズン目の第13戦として開催される今回のファイアストン・インディ225で通算100戦目を迎えた。その記念すべきレースはペンシルベニア州ナザレスのナザレス・スピードウェイを舞台に行われ、Honda Indy V-8を駆るダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)が優勝を飾った。奇しくもこのコースは今シーズン限りで閉鎖されるため、1966年創業の1マイル・オーバルにとって最後のIndyCarレースであった。長い歴史を誇るサーキットで行われる最後のレースを観戦するために好天の下、サーキットには多くのファンが詰め掛けていた。
前夜の集中豪雨から一転して晴れ渡った空の下、二重の意味で記念すべきものとなったレースは午後2時過ぎにスタート。予選8位からスタートしたウェルドンは1回目のピットストップで6位から4位へとポジションを上げ、2回目のピットストップでは3位からトップに立った。マシンセッティングが完璧だった上、ピットストップもスピーディだったことにより、ウェルドンはレース・リーダーへと躍り出た。一端トップに出ると、ウェルドンの走りはさらに安定感を増し、79周をリード・ラップして勝利のチェッカード・フラッグを受けた。この優勝はウェルドンにとって今シーズン3勝目となる(第3戦もてぎ、第6戦リッチモンド)。Hondaは第2戦フェニックスからの連勝を「12」へと伸ばした。
2位はHonda Indy V-8搭載のトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)だった。ウィナーとなったウェルドンとの差は3秒555。ダリオ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)はチームメイトの2人に続く3位でゴール。チームオーナーであるマイケル・アンドレッティの地元で、アンドレッティ・グリーン・レーシングは1-2-3位を独占する快挙を成し遂げた。アンドレッティ・グリーン・レーシング・チームにとって今回の勝利は今シーズン8勝目である。Honda Indy V-8勢はバディ・ライス(レイホール・レターマン・レーシング/Gフォース)が10位スタートから4位でフィニッシュしており、12連勝に1-2-3-4フィニッシュという花を添えた。エイドリアン・フェルナンデス(フェルナンデス・レーシング/Gフォース)は7位、ブライアン・ハータ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)は8位、そしてヴィットール・メイラ(レイホール・レターマン・レーシング/Gフォース)が10位と、トップ10のうちの7人がHondaドライバーだった。
松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング/Gフォース)は、初めて走るナザレスでハンドリング不調のマシンに悩まされ、ブレーキにトラブルが発生したため、115周でピットに向かい、マシンを降りた。100周を残してのリタイアは悔しい結果だが、ポイントスタンディングでは13位をキープ。ルーキー・ポイントでは引き続きトップを守っている。
今シーズン3勝を挙げているカナーンは、開幕戦から13戦連続のトップ5フィニッシュ。503点でポイント・リーダーの座を堅持している。ポイント2位には今回ウィナーとなってポイントを431点へと伸ばし、勝ち星数をカナーンと並ぶ「3」としたウェルドンが浮上し、同じく3勝のライスはランキングをひとつ下げ、ウェルドンとは4点差の427点で3位につけている。
次戦は9月12日、イリノイ州シカゴ郊外のジョリエットにある1.5マイル・オーバル、シカゴランド・スピードウェイで行われる。
●ダン・ウェルドン(決勝優勝)
「今日はピット・クルーたちの作業が素晴らしく速かった。2回目のピットストップでは、目の前のピットに置かれていたタイヤを避けてダッシュするのが難しかったけれど、それでも僕はトップに立つことができた。今日の勝利はクルーたちが勝ち取ったものだ。マシンのハンドリングがとても良く、Hondaエンジンはレースを通してパワフルだった。燃費も非常に良かった。こうして3勝目を挙げたことで僕のポイントランキングは2位に上がった。僕よりも上にいるのはチームメイトのトニー(・カナーン)だけとなったわけだ。トニーは手強い相手だけれど、僕は残されたレースでも優勝を重ねられるよう頑張るよ。全力を出し切って得られた結果であれば、僕はそれがどういうものになっても満足できる。トニーと僕のどちらが勝つにせよ、アンドレッティ・グリーン・レーシングからチャンピオンは生まれる。それを目指して行くだけだ」
●トニー・カナーン(決勝2位)
「マイケル・アンドレッティの地元で勝つことは、僕らチーム全員の目標だった。レース前にマイケルは、「勝ちに行ってくれ」と言った。そして僕らの中からダン(・ウェルドン)が優勝し、それだけじゃなく、1-2-3フィニッシュを達成したのだから、もうこれ以上嬉しいことはないよ。Hondaエンジンはスタートからゴールまで十分なパワーを発揮してくれていた。自分自身が勝ちたかったのは確かだけれど、自分としてやれるべきことはすべてやった結果が2位だった。残された3レースはすべてハイスピードのオーバルだ。Hondaエンジンとともに、さらに勝利を重ねたい。タイトルのことは考えず、次のレースに全力を投入して行く」
●ダリオ・フランキッティ(決勝3位)
「今日の僕はトニー(・カナーン)にもダン(・ウェルドン)にも対抗できるだけのマシンには仕上がっていなかった。それでも僕は3位でゴールし、僕らのチームは1-2-3フィニッシュを飾ったのだから本当に嬉しい。マイケル・アンドレッティのためにも、僕らは是非とも1-2-3を達成したかった。今シーズンの僕らは、ハイスピードのコースだけでなく、ショートオーバルでのマシンセッティングもとても良いものにできている。だからこそ非常に難しいナザレスで、こうして1位から3位を独占できた。残る3戦も勝ち続けたいね」
●松浦孝亮(決勝21位(リタイア))
「今シーズンで一番難しいレースになっていました。スタート直後はアンダーステアでしたが、50周を過ぎてからは急にオーバーステアになり、1回目のピットストップの後はタイヤの内圧などを変更したのにハンドリングは逆に悪くなってしまいました。最終的にはブレーキが過熱して、右フロントから火が出てしまいました。残りの3戦は自分たちの得意なスーパースピードウェイなので、そのうちの1戦で勝てるように頑張りたいと思っています。そのためにも今回はマシンを壊したくなかったということもありました」
●和田康裕 HPD社長
「今シーズン最も勝つのが難しいレースだと考えていたのがナザレスです。そこで1-2-3-4フィニッシュを飾ることができ、とても喜んでいます。ペンスキー勢はさすがの速さを予選で発揮し、レース前半もリードしていました。しかし、そのペース自体は決して想定していた以上に速いものではありませんでした。今日は燃料補給のタイミングに合わせるかのように、タイミング良くフルコース・コーションが出されましたね。146周目のピットストップからゴールまでを走り切る展開となりましたが、あそこからでも我々は給油なしでゴールできるという読みでした。あの後に出た2度の長いイエローがなかったら、燃費が勝敗を分けるものになっていたかもしれません。トニー・カナーンはテレメトリーにトラブルが出ていたために燃費計算が難しい状況になっていましたが、チームメイトのデータを利用し、対処していました。今回のレースでは、ホーニッシュJr.の給油トラブルによってペンスキー勢は完全にペースが乱れましたね。Hondaとしては、アンドレッティ・グリーンの4台が頑張ってくれ、レイホール・レターマンの2台も、ちょっと勢いが無かったけれども、やはり頑張ってくれていました。そして、フェルナンデスがまた良い走りを実現していましたね。その中で、今日は特にアンドレッティ・グリーンの3台がペースも速かったし、ピットワークも完璧でした。一番苦戦を予想していたレースでクリーンに勝てました。ショートオーバルで勝利を重ねたことにより、アンドレッティ・グリーンはさらに自信をつけることができたと思います。我々としては、もちろん彼らの活躍に期待をしていましたが、ここまでキチッと勝利を重ねてくれているのですから、本当に嬉しいですね」