INDY CAR

バディ・ライスが今シーズン3勝目、Honda Indy V-8は1-2-3フィニッシュで9連勝を達成


IRL IndyCarシリーズは夏期に2度の3連戦がスケジュールされているが、その前半3連戦の最後を飾るのが今回の第10戦ミシガン・インディ400だ。アメリカ自動車界の首都デトロイトから西に70マイルほどの距離にあるミシガン・インターナショナル・スピードウェイは、インディアナポリス・モーター・スピードウェイに次ぐ全長である2マイルのスーパー・スピードウェイ。そして、Indy500に次ぐ400マイルの長距離を出場22台のマシンが緊迫したハイスピード・バトルで展開した。
バディ・ライスが今シーズン3勝目
Honda Indy V-8は1-2-3フィニッシュで9連勝を達成

▽2004年8月2日
決勝日:8月1日(日) サーキット:ミシガン・インターナショナル・スピードウェイ 天候:快晴 気温:31℃
IRL IndyCarシリーズは夏期に2度の3連戦がスケジュールされているが、その前半3連戦の最後を飾るのが今回の第10戦ミシガン・インディ400だ。アメリカ自動車界の首都デトロイトから西に70マイルほどの距離にあるミシガン・インターナショナル・スピードウェイは、インディアナポリス・モーター・スピードウェイに次ぐ全長である2マイルのスーパー・スピードウェイ。そして、Indy500に次ぐ400マイルの長距離を出場22台のマシンが緊迫したハイスピード・バトルで展開した。
目下8連勝中のHonda Indy V-8勢は今回も好調を維持し、ポイントリーダーのトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)がポールポジションを獲得。ルーキーの松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング/Gフォース)が予選3位につけ、予選2位だったエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)が決勝を前にエンジン交換により2番グリッドを放棄したため、カナーンと松浦がフロント・ローからレースをスタートすることとなった。この結果、6人のHondaドライバーたちが予選でトップ10入りを果たした。
決勝レースは、ポールポジション・スタートのカナーンが速いペースで183周をリード。コース上では一切アクシデントが起きなかったレース展開となったが、緊迫感の高さがピットでのアクシデントを誘発していた。200周のレースが156周を迎えたところで4回目のフルコースコーションが発生。残り39周で最後のグリーンフラッグが振られると、カナーンはここでもリードを保ち続けた。トップが交代したのは、190周目のターン3だった。予選6位からスタートしたバディ・ライス(レイホール・レターマン・レーシング/Gフォース)がカナーンを抜き去った。残り4周となった197周目にカナーンは逆襲を試み、ライスの横へと並びかけた。そのままHondaドライバー2人によるトップ争いはゴールまで続き、0.0796秒の僅差でカナーンを抑えきったライスが今シーズン3勝目を獲得した。ダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)が3位でゴールし、Hondaは9連勝を1-2-3フィニッシュで飾った。ヴィットール・メイラ(レイホール・レターマン・レーシング/Gフォース)が5位、ブライアン・ハータ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)が6位と、Honda Indy V-8勢は5人がトップ10フィニッシュを果たした。
2位スタートだった松浦はレース序盤ではカナーンの背後にぴたりとつける2位を走行し、その後も上位フィニッシュが十分に可能なポジションを走り続けていた。しかし、残り23周のターン2で3位のポジションを争う集団を走行中にカストロネベスと接触し、フロントウィングの翼端板を失ったためにトップ5フィニッシュを諦めなくてはならなくなった。ピットでノーズ交換を行って周回遅れとなった松浦は17位でゴールした。

Honda Indy V-8を使うカナーンは、最多リードラップを記録しての2位フィニッシュにより43点を加算。ポイントスタンディング・トップの座をキープしている。ライスはカナーンと並ぶ3勝目をマークし、ポイント差を64点から57点へと縮めた。そして、ランキング3位のウェルドンもチャンピオン争いに踏みとどまっている。ここまでのトップ3はすべてHonda Indy V-8勢である。今回の勝利によってHondaのマニュファクチャラーズ・ポイントでのリードは26点へと広がった。Hondaは次戦以降、マニュファクチャラーズ・ポイントで2位につけているトヨタより一度でも上位でフィニッシュすれば、今年度のマニュファクチャラーズ・タイトルを手にすることができることとなった。

●バディ・ライス(決勝優勝)
「長く厳しい戦いになることはスタート前からわかっていた。プラクティスの段階から我々はレース用セッティングに集中し、レース中のコンディション変化でマシンがどのような影響を受けるかのアイディアを掴んでいた。レースでのパフォーマンスを重視し、予選用のセッティングはほとんど試さなかった。そして、レースは我々のチームマネジャーであるスコット・レムキーと、エンジニアのトッド・ボウランドが想定した通りの展開になった。勝負を仕掛ける時を待って僕らはトップ争いへと加わり、リーダーの座に躍り出、ライバル勢を突き放した。レース終盤は燃費をセーブしながらチャンスを待っており、残り10周となった頃、ピットからゴー・サインが出て、カナーンをパスしたんだ」

●トニー・カナーン(決勝2位)
「今日の僕らのマシンは最高の仕上がりになっていた。180周以上をリードした。Hondaはまたしても1-2-3フィニッシュを達成した。素晴らしいエンジンを作ってくれたHondaに感謝する。僕がIRL IndyCarシリーズへの参戦を決意したのは、Hondaと共に戦いたいからだった。今日のレース終盤、僕はピットから受けた指示通りのことをした。最終ラップで僕はアウト側のラインからライスをパスしようと試みたが、イン側のラインの方が速く、相手を抜き切ることはできなかった。今日は僕らのチームより、相手の方がスマートだった。ナッシュビルでのレースを振り返ると、僕らは最強のマシンではなかったけれど、勝利を手にした。今晩、ライスが何を考え、どう感ずるのかが僕にはわかる」

●ダン・ウェルドン(決勝3位) 
「今日の僕らは、バディ・ライスとトニー・カナーンに対してあと一歩セッティングで劣っており、それがレースを難しくしていた。しかし、得られた結果はまずまずのものと言っていいと思う。今日のレースでは、ピットでのアクシデントによって僕らのクルーの1人が弾き飛ばされた。それでも僕らはポジションを2つ落としただけでレースに戻ることができた。あれには本当に驚いた。彼は怪我もしなかった。信じられないことだし、本当によかったと思う。3位は今日の僕らが望めたベストの結果だった。ライスとカナーンが3勝で並んだ。僕は2勝。残りのレースでさらなる活躍ができることを願っている」

●松浦孝亮(決勝17位)
「とてもいいレースを戦えていましたが、最後に接触でフロントウィングを傷めてしまい、残念な結果となってしまいました。今日のマシンは本当にハンドリングが良く、150周目までは順調で、トップ5も達成できる状況でした。最後のピットストップでエイドリアン・フェルナンデスが目の前でスピンし、僕の右フロントタイヤを担当するクルーを弾き飛ばしてしまった。それで大幅に遅れてコースに戻ったのですが、それでもトップグループに追いつくことができました。しかし、今度は目の前で急に減速したマシンのリアにウィングがぶつかってしまいました」

●和田康裕 HPD社長
「9連勝を達成できたのは本当に嬉しいことですが、他のマニュファクチャラーとの差は確実に縮まっています。シーズン後半に向け、我々もさらにエンジンの改良をしなければなりません。アンドレッティ・グリーン・レーシングとレイホール・レターマン・レーシングがチャンピオン争いを行っていますが、フェルナンデス・レーシングも力をつけて来ていることが今回のレースで見ることができました。残る6戦は今まで以上に厳しい戦いになるでしょうが、我々Hondaのユーザーチームはさらに層が厚くなっています。今後も連勝を続けて行きたいと考えています」

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