灼熱の太陽が照りつける中で行われた第7戦カンザスは、IndyCarならではの超高速バトルが300マイルにわたって繰り広げられ、バディ・ライス(レイホール・レターマン・レーシング/Gフォース)がチームメイトのヴィットール・メイラ(レイホール・レターマン・レーシング/Gフォース)との激しいバトルを制し、今シーズン2度目となるポール・トゥ・ウィンを達成した。
バディ・ライスが今シーズン2勝目
Honda Indy V-8 トップ6独占で6連勝を飾る
IRL PRESS RELEASE
▽2004年7月5日
決勝日:7月4日(日) サーキット:カンザス・スピードウェイ 天候:晴れ 気温:29.5℃
灼熱の太陽が照りつける中で行われた第7戦カンザスは、IndyCarならではの超高速バトルが300マイルにわたって繰り広げられ、バディ・ライス(レイホール・レターマン・レーシング/Gフォース)がチームメイトのヴィットール・メイラ(レイホール・レターマン・レーシング/Gフォース)との激しいバトルを制し、今シーズン2度目となるポール・トゥ・ウィンを達成した。これはレイホール・レターマン・レーシングにとって、IRLIndyCarシリーズにおける初めての1-2フィニッシュである。アンドレッティ・グリーン・レーシングのトニー・カナーン、ダリオ・フランキッティ、ブライアン・ハータが3、4、5位でゴールし、エイドリアン・フェルナンデス(フェルナンデス・レーシング/Gフォース)は6位。HondaIndy V-8はシリーズ第2戦フェニックスからの6連勝を圧勝で飾った。200周目のチェッカーを受けたとき、ウィナーとなったライスと、2位でゴールしたメイラとの差は、0.0051秒という僅差であった。これはIRLIndyCarシリーズ史上で2番目にランクされるクロース・フィニッシュ・レコードである(歴代1位は2002年9月のシカゴランドでの0.0024秒)。そして、彼らの約コンマ2秒後方でポイントリーダーのカナーンはゴールした。
第6戦の行われたリッチモンドから西へ1100マイル移動し、アメリカ大陸のほぼ中央、ミズーリとカンザスの州境にあるカンザス・シティにて第7戦は開催された。IndyCarシリーズ第7戦が開催されたのは、15度のハイバンクを持つカンザス・スピードウェイである。今年は決勝日がアメリカの独立記念日であり、休日をハイスピード・バトル観戦で楽しもうと多くファンが集まった。朝方は涼しい気候であったが、スタート前のセレモニーが始まる頃には快晴の空と30℃近い真夏の気温に包まれていた。
スタートではフロントロー外側グリッドからカナーンが一気にトップに立ち、レイホール・レターマン・レーシングのライスとメイラをリードした。そして、そのまま200周、300マイルのレースがゴールを迎えるまで、彼ら3人の激しい戦いは続いた。アクシデントによるフルコース・コーションが2回、合計16周出されただけで、今シーズン最速となる平均時速177.183マイルの記録が誕生した。この熾烈を極めたハイスピード・バトルでもHonda Indy V-8はパワー・アドバンテージを見せつけた。ライスが最多リードラップ=83周を記録し、カナーンは75周、メイラも37周に渡ってトップを走った。200周のレースのうちの195周をこの3人のHonda Indy V-8勢がリードしたのだ。そして、他のHondaドライバーたちも常に上位にポジションを保ち続けていた。しかし、8番グリッドからスタートした松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング/Gフォース)は、ガス欠によるスロー走行を余儀なくされた後、175周目に他車と接触、そのままターン2の壁にクラッシュし、リタイアとなった。
ライスにとって今回の勝利は今年のIndy500に続くキャリア2勝目で、最多リードラップのボーナス3点を含む53ポイントを加えた彼はポイント・ランキングで3位へと浮上した。メイラは自己キャリア・ベストタイとなる2位でゴール。彼のランキングは14位から一気に10位タイへとジャンプアップしている。予選後にエンジン交換を行ったために最後尾の21番グリッドからスタートしたフランキッティは、目覚しい走りを続けて4位までポジションを上げてフィニッシュし、ランキングを9位から7位へと上げている。Hondaは連勝記録を6へと伸ばし、マニュファクチャラー・ポイントのリードを14点から17点へと広げることに成功。ドライバー部門でもHonda勢が1、2、3位を占めることとなった。
なお、昨年の第3戦ツインリンクもてぎからHonda Indy V-8搭載Gフォースをグレッグ・レイに委ねて来たアクセス・モータースポーツは、今回の第7戦カンザス・シティを欠場した。彼らはチーム体制を建て直し、できる限り早い復帰を目指す第8戦からの出場も現在再検討を行っている。
●バディ・ライス(決勝優勝)
「今日は僕らのスポンサー(アージェント・モーゲイジ)にとっても最高のレースになった。今回は僕らのスポンサーが大会スポンサーも兼ねていたからね。多くの人々が応援してくれている前で優勝を飾ることができ、本当に嬉しい。Hondaについては、もうコトバでは感謝を言い尽くせない。最後のバトルを含め、十分なパワーを必要な時に得られていた。ヴィットール(・メイラ)との戦いは、いつ仕掛けるのか、どこでどのようなアクションを起こすのか、最後はタイミングの勝負となっていた。そして、僕はそれをパーフェクトに行えた。ヴィットールとのレースは最高だった。レイホール・レターマン・レーシングが1-2フィニッシュを果たすことができたのだから、なおさら嬉しい」
●ヴィットール・メイラ(決勝2位)
「最後の10周は100周もの長さに感じた。チームメイトとの優勝を賭けた戦いは、ひとつ自分がミスしただけでチーム全体の1日を無駄なものとしてしまう可能性を秘めている。しかし、僕とバディ(・ライス)はお互いをレーサーとして尊敬し合う関係にあるので、激しく、しかしクリーンなレースを最後まで続けることができた。そして、それがチームの1-2フィニッシュに繋がったんだから本当に嬉しい。この勢いを保って向かうことのできる次のレースが楽しみだ」
●トニー・カナーン(決勝3位)
「ライスとメイラは素晴らしい走りをしていた。彼らのマシンは速く、最後の10周を完全にコントロール下に置いていた。僕は彼ら二人の間にノーズを突っ込もうと何度もトライしたけれど、それは果たせなかった。3台並ぶ態勢にもって行ってでも勝ちたいと考えていたけれど、そうできるだけの力が今日の僕のマシンにはなかった。Hondaにとって今日はファンタスティックなレースだった。トップ6をHonda Indy V-8が制したんだからね。今日の僕は勝てなかったが、そういうレースでは少しでも多くのポイントを稼がなくてはならない。それが今日は実現できた」
●松浦孝亮(決勝18位)
「最後の10周は100周もの長さに感じた。チームメイトとの優勝を賭けた戦いは、ひとつ自分がミスしただけでチーム全体の1日を無駄なものとしてしまう可能性を秘めている。しかし、僕とバディ(・ライス)はお互いをレーサーとして尊敬し合う関係にあるので、激しく、しかしクリーンなレースを最後まで続けることができた。そして、それがチームの1-2フィニッシュに繋がったんだから本当に嬉しい。この勢いを保って向かうことのできる次のレースが楽しみだ」
●和田康裕 HPD社長
「トップ6フィニッシュは本当に嬉しい結果です。予選ではライバル陣営に接近されている印象を受けましたが、レースではまだパワーのアドバンテージが残っていることが感じられました。最後のトップ争いはレイホールのところがドライバーたちを信頼して無線での指示を何も出していませんでした。3位となったカナーンも含め、彼ら3人のうちの誰が勝ってもおかしくない状況になっていました。Hondaチームの力が伸びて来たのを強く実感できるレースでした。そして、その強さを彼らが存分に発揮してくれるようになっていることを嬉しく思っています。今日のレースはフルコース・コーションが少なく、ハイペースで進みましたが、予想していたよりも気温が高くなりませんでしたし、エンジンに問題は何も出ませんでした。昨日の予選ではフランキッティのエンジンに小さなトラブルの気配が認められたため、安全を考え、念のためにエンジンを換装してスタートしました。燃費は全体的に見て、ライバル勢と比較しても決して悪くない数字が出せていたと思います。今シーズンはもてぎとインディでの勝利と、少なくとも3分の1のレース、つまり6戦以上で勝ちたいとシーズン前から考えていました。マニュファクチャラー・チャンピオンシップを獲得するには、それだけ勝たなければならないと考えたからです。夏までに第一の目標である6勝をあげられたことは大きなステップになったと思います。今後もアドバンテージをさらに広げるために開発をハイピッチで進めて行きます」
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