<US-RACING>
Photo & Report by Hiroyuki Saito
今回のレースは81周目までに3回のピット・ストップを行わなければならず、また必ずピット・ストップでは四本のタイヤ交換が義務づけされている。また、オプション・タイヤも必ず使用しなければならず、このオプション・タイヤをいつ使うかが鍵となった。表彰台に乗っている3人はスタートの時点でオプション・タイヤを使用。ジュンケイラ、トレイシーは、スタートでのバッシングにポジション・アップをかけていたのは間違いない。今回はトップ・スリーがさほど入れ替わるわけでもなく、単調なレースとなったが、今後も、このオプション・タイヤ、プッシュ・トゥ・パス・ボタンを駆使して、レースがもっと面白くなるといいのだが……。
スタートで抜かされることも無く、94周中85周のリード・ラップを記録し、見事今シーズン2度目のポール・トゥ・ウインを飾ったボウデイ。モンテレイ、ポートランドと常設ロード・コースを完全制覇している。今回のレースも含め現在常設ロード・コースでは、ニューマン/ハースの2台が飛びぬけて速い。次戦は昨年優勝をしたクリーブランド。ランキングも3番手にアップしただけに、連続優勝を飾りトップへと踊りでることができるだろうか?
今シーズン3度目の2位フィニッシュとなったジュンケイラ。一時はボウデイに0.5秒差まで追いついたのだが、抜かすまでにはいたらかなった。なかなか優勝することができないジュンケイラだが、しっかりとランキング・トップは維持。しかし今回優勝したボウデイが7ポイント差まで迫ってきているだけに、うかうかしていられないのは確かだ。次戦のクリーブランドで優勝し、一気に差をつけたいところ。
フォーサイスの2台が3、4位でフィニッシュした。トレイシーは予選順位と変わらず、3位に。終わってみれば2位のジュンケイラと約40秒もの差が開き、最後まで前を走る2台のマシンを捕らえることができなかった。予選13位からスタートしたカーパンティエは、トップ・グループとピット・ストップのタイミングをずらす作戦が功を奏し、4位までポジション・アップすることに成功した。今回のポートランドではニューマン/ハースの2台に、昨年のチャンピオン・チームも太刀打ちできないままレースを終えることになった。カーパンティエはランキング2番手をキープし、トレイシーは4番手にアップした。
今年は珍しく雨が降らず3日間を通して快晴となったポートランド。気温も飛びぬけて暑い日は無く、この週末は安定した気候となった。トップ・スリーのドライバーは、最初からオプション・タイヤを装着し、スタートを切った。ソフト・コンパウンドのタイヤとプッシュ・トゥ・パス・ボタンを使用し、何とか前に出ようと考えたようだが、結果は変わらずトップ・フォーまで順位の変動は無かった。このように新しいシステムが導入され、スタートでは大きなクラッシュが心配された矢先、予選8位からスタートしたジョルダインJr.がコースアウトするとグラベル上にスタックしてしまった。損傷はさほどなかったもののコースに復帰するのに時間がかかり、早くも周回遅れとなってしまう。4周目にリスタートのグリーン・フラッグが振られたのだが、最終コーナーの立ち上がりで、ドミンゲスがスピン。マシンは後ろ向きのまま、コース外側のコンクリートウォールに進み、走行ラインを防ぐ形になると、不幸にもそこにラビンが突っ込み両ドライバーのマシンは大破してしまう。幸いマシンから自力で降りる姿をスクリーンで確認することができたが、タイミングが悪ければ、大怪我は免れなかったはずだ。ヒヤッとした瞬間だった。
前日の予選でポール・ポジションを獲得したダニカ・パトリック。トップからのスタートとなったが、ターン1の進入手前で予選2、3番手のマシンに先行を許してしまう。ターン1に進入後、今度は後方のマシンに接触されスピン。コースアウトすると一気に最後尾まで後退してしまった。しかし徐々にポジションを上げたパトリックは15台中7位まで追い上げることに成功した。昨日のレース終了後、ランキング・トップだったパトリックだが、2日連続優勝を飾ったジョン・フォガティがランキング・トップとなり2番手にダウン。初優勝はまたの機会となったが、女性ドライバーによるアメリカン・オープン・ホイールでの初優勝はそう遠い日ではないことを実感する週末となった。