INDY CAR

松浦孝亮、インディカーで初めてのトップ疾走!


テキサス・モータースピードウェイで行われるシリーズ第5戦「ボンバーディア500」は今年初のナイトレースでの開催。予選4位の好位置からスタートした松浦孝亮は、そのポジションを保ってターン1へと飛び込んでいった。24度ものハイバンクでの接近戦は初めての経験だったが、松浦はレースを戦う中で素早くその戦い方を身につけていき、ポールシッターだったダリオ・フランキッティ、予選2位のバディ・ライス、同3位のトニー・カナーン、そして、2001、2002年チャンピオンのサム・ホーニッシュJr.や、インディ500で2度優勝しているエリオ・カストロネベスなど、IRLインディカー・シリーズのトップドライバーたちとポジションを入れ替えながらのバトルを続けた。
松浦孝亮、インディカーで初めてのトップ疾走!
しかし、トラブルにより無念のリタイアとなる

▽2004年6月14日
■日時:6月12日(決勝)
■開催地:テキサス州フォートワース
■サーキット:テキサス・モータースピードウェイ
■天候/気温:晴れ/32℃
テキサス・モータースピードウェイで行われるシリーズ第5戦「ボンバーディア500」は今年初のナイトレースでの開催。予選4位の好位置からスタートした松浦孝亮は、そのポジションを保ってターン1へと飛び込んでいった。24度ものハイバンクでの接近戦は初めての経験だったが、松浦はレースを戦う中で素早くその戦い方を身につけていき、ポールシッターだったダリオ・フランキッティ、予選2位のバディ・ライス、同3位のトニー・カナーン、そして、2001、2002年チャンピオンのサム・ホーニッシュJr.や、インディ500で2度優勝しているエリオ・カストロネベスなど、IRLインディカー・シリーズのトップドライバーたちとポジションを入れ替えながらのバトルを続けた。
松浦の駆るパナソニックARTA/パノスGフォース・Hondaはハンドリングも安定しており、松浦は抜きつ抜かれつのバトルを演じながら上位のポジションを保ち続けた。ピットストップのタイミングが上位陣と異なったため、一時は13位までポジションを落としたが、そこから前を行くマシン群を次々とパス。レースが折り返し地点を迎えようとする98周目にはトップに躍り出た。インディカーデビュー5戦目にして初めてのリードラップを記録した松浦は、ピットに向かうまでの8周にわたってトップを疾走した。
ピットストップのタイミングがレース展開に大きな影響を与えることなく、レースは終盤へと突入。松浦は安定したペースでトップグループでの戦いを続けていた。しかし、ピットへ向かおうとした128周目からスピードが徐々にダウン。ピット作業を終えてコースへと復帰した直後からエンジンの燃料系トラブルが深刻な状態に陥り、137周目には15位まで後退。140周目にピットに戻って修復を試みたが不可能であることが判明し、141周でリタイアとなった。
シーズン5戦目にして初めてのリタイアはマシントラブルによるものだったが、チームのエンジニアリングの方向性は正しく、戦闘能力の高いマシンに仕上がっていたことは誰の目にも明らかだった。130周にもわたってトップ争い繰り広げる中で、松浦が多くのことを学び、身につけたこともまた間違いない。
松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング/Gフォース)は、予選4位からスタートしてトップグループでの戦いを続け、98周目から8周に渡ってトップを走った。しかし、140周目にピットストップを行ってコースに復帰したところで燃料系のトラブルが発生し、残念ながらリタイアとなった。
●松浦孝亮
「トップを走った時は本当に気持ちが良かったです。自分のパフォーマンスを100%出すことができました」
「勝てるレースでしたね。悪くても3位以内には入れたはずです。一時は13位まで下がりましたけど、トップまで自力で這い上がることができました。あれだけの台数を抜いたドライバーは僕だけだったと思います。アウトでもインでも走れたので、どこからでも抜けるクルマになっていました。すごく良いマシンになっていたのでトラブルが起きてしまったのは本当に残念です。しかし、それもギリギリまでパワーを出そうとして最善を尽くした結果だと思います。レース序盤はオーバーステアだったので、何回もリヤが出て危ない時もありました。しかし、オーバーが出た後でもクルマには粘りがあって、滑った後でもリヤのグリップの保ち方が良かったですね。タービュランスの中でも速かったですし、チームもミスをせずにやってくれたので本当に感謝しています。トップを走った時は本当に気持ちが良かったです。ピットのタイミングなどではなく、オーバーテイクでトップに立てたんですから。今日は頭を使って、どうやったら抜けるのか、どうやったら抜けない相手をパスできるのか、外から行って駄目だった時には……といろいろと考えながら走っていました。得るものが多いレースにすることができたと思います。今日のレースで得た自信が、次に向けて大きなプラスになるはずですし、チーム全体のモチベーションも高まっています。他のドライバーに対しても、僕がトップで走る力量があることを少しは見せられたと思います。自分のパフォーマンスを100%出し切れたし、チームも100%の力を出しました。ただ運がなかっただけ。残り11レースがありますが、最低でも一つは勝ちたいですね。このレースのことは早く忘れて次戦で頑張ります」
●鈴木亜久里 チーム代表
 「インディ500を戦い抜いて孝亮は大きく成長した。トラブルが出たのは仕方がないことだ」
「孝亮はまったく物怖じせずに思いっきり走っていた。クルマの調子も良かったとは 思うが、デビュー5戦目にしてこんなにもいいレースをするとは思っていなかった。今回のレースではピットストップでポジションが少し落ちても、一気に同じポジション まで上がっていけたからね。トラブルが出てしまったが、原因の詳細はまだ判明していない。しかし、レースにはクラッシュもあればトラブルもあるので、それは仕方の ないことだ。インディ500を戦い抜いたことで孝亮は成長したし、それが伝わってきたレースだった。クルマに乗せられているのではなく、しっかりと操ることができている。クルマ をどう動かすか、ポジションの置き方はどうするのか、そうした面がとても上手くなっている。いいレースをしていたので楽しかったし、燃えたよ。今後の課題はピット ストップを早くすることだね」
●トム・アンダーソン マネージング・ディレクター
「コウスケは素晴らしいドライビングを見せていた。最後まで戦うことができなかっ たのが残念だ」
「とてもエキサイティングなレースだった。コウスケは素晴らしいドライビングを見せたし、チームのエンジニアたちもトップを争えるハンドリングを実現していた。電気系か燃料系のトラブルが出たため、最後まで戦うことができなかったのが残念だ。タイヤ交換を行わないピットストップもあったが、ファイアストンタイヤは2スティントを問題なく走れるものと確信していたからだ。レース中には無線がときどき聞き取りにくく時もあったが、それは仕方がない。4台ものマシンが接近して走っている状態では電波に障害が出るからね。今後はレース中のコミュニケーションをより短く、正確なものとしなくてはいけない。今回のレースでは、我々にトップ争いができる力があることを示すことができた。次戦のリッチモンドが楽しみだ」
戻る