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チャンプ・カー・ワールド・シリーズ 第5戦 ラウジッツ【決勝】フォト&レポート

<US-RACING>
Photo&Report by Hiroshi Nakajima

 今季初オーバルで、まったく予想できなかった顔ぶれが表彰台に立った。ルーキーのボウデイ然り、昨年とは見違えるほどの安定したスピードを披露し、僅差の2位と優勝まであと一歩に迫ったドミンゲスもそうだ。ジョルダインは予選3位、決勝3位でポイントランキングも3位。スタートで失敗して大きく後退するも、その後ポジションアップ。トップ争いの終盤にはベスト・ラップをマークする。

 ブロック行為をしたとの理由で、トップ争い中の81周目、ピット・イン中に5秒間のペナルティを科せられてしまったドミンゲス。記者会見では2位の嬉しさの反面、CARTオフィシャルの判断に対する不満を語るなど、堂々としたものだ。

 接戦のオーバルのレースを制して大喜びのボウデイ。ロード・コース用のウイングを使った今回はダウン・フォースも強く、その特性はリオ・デ・ジャネイロのようにオーバル用というよりもロードコース用に近かった。次のミルウォーキーもこれまでと違ってロードコース用のウイングを使用するが、Rが大きいためによりオーバル的な要素が強くなるだろう。ここでもボウデイが好結果を残した場合、モントーヤ同様その実力は本物と言っていいかもしれない。

 セレモニーとはいえ、予選タイムが元チームメイトのザナルディのタイムに及ばなかったバッサーの心中やいかに。予選11位でスターとしたものの、スタートで後退、決勝は8位という結果で終わった。タグリアーニと同様、新チームからエントリーするこのベテラン・ドライバーは、これまでの5戦中3戦でトップ10フィニッシュを飾っている。

 ルーキーのチーム・メイトに予選決勝ともに水をあけられてしまったジュンケイラは4位。自分に対するプレッシャーと憤りを持ちながらも、ポイント・ランキングではトレイシーと同ポイントのランキング・トップに躍り出た。開幕前から今年のチャンピオンの最有力候補とされ、実際にそうなってはいるものの勝てないフラストレーションが高まっている。

 ポイントリーダーのまま臨んだ第5戦。しかしレギュレーションによってダウンフォースがきついマシンになってしまい、予選から苦戦を強いられ決勝でもハンドリングに苦しむ。予選16番手からスタートしたトレイシーは、まったく戦闘力のないマシンで12位、1ポイントを獲得したものの、ヨーロッパラウンドに入る前は26ポイントもあったジュンケイラとのポイント差は、この第5戦を終了してゼロとなってしまった。

 第2戦では3位表彰台をゲットし、第3戦と第4戦でもポイントを獲得したタグリアーニ。今回もマシンは好調で、8番手スタートから14周目には4位までポジション・アップ。新参チームで健闘するタグリアーニだったが、28周目にメカニカル・トラブルで惜しくもリタイアを喫する。一方のユーンはデビュー戦の第2戦で9位フィニッシュし、ポイントを獲得したものの第3戦から連続3戦のリタイア。ノーポイントでなかなか結果を残せない。

 ポール・ポジションから飛び出したボウデイはホールショットを決めてトップを守る傍ら、ジョルダインは集団に飲まれて後退。一方16番手からスタートしたポイントリーダーのトレイシーは、一気に10位までジャンプアップし、2周目には9位に上がった。ルーキーが9人もいた今季初オーバルのレースだが、レース中のアクシデントはピット・レーンでのルマリエのみ。

 スタート前のセレモニーに登場した地元のバイク集団とマーチング・バンド。アメリカンな雰囲気を演出したかったのか、腕に刺青をした強面のバイカー達と、笑顔の可愛らしいバトンガールが少しミスマッチだった気がしないでもない。当日は6万8千の観客で賑わったユーロスピードウエイ、レースウイークエンドのトータルは11万人に達したという。おみやげ物を買うのも一苦労という感じだった。

 悪夢のアクシデントから1年半、走れなかったラスト13周を完走したザナルディ。周回を重ねるごとにラップタイムは向上し、最後のラップは37.4487秒(平均時速194.2マイル以上)をマーク! これは予選5番手のタイムだ。金曜日のテストでは昨年仕様のエンジンを使用していたらしいが、あまりの速さに2003年仕様のリストリクターを付け直したという。ファンからの惜しみない拍手と喝采に嬉しそうに応えていた。