<US-RACING>
Photo&Report by Hiroyuki Saito
数々のチームやドライバーがIRLに移行し、今シーズンの開催が危ぶまれていたCART。しかし蓋を開けてみれば、昨年より1台多い19台が参戦して2003年のシーズンがスタートした。初開催となったこのセント・ピーターズバーグも設置されたスタンドはほとんど観客で埋め尽くされ、フェンス越しにも人垣ができていた。ここまでCARTという組織を再建し、再スタートまで持って来たCEOのクリス・プークが、この状況を誰よりも喜んでいるに違いない。プークは世界中のCARTファンから賞賛される仕事を成し遂げた。
開幕戦のウイナーに輝いたトレイシー。そして2001年のミシガン以来、2度目の表彰台となったジョルダインJr.(過去最高位)。昨年のチャンピオンチーム、ニューマン/ハースから参戦するジュンケイラが3位に。ルーキーの活躍が目立つ週末となったが、表彰台はやはりベテランドライバーが独占した。
ボウデイがトラブルで最後尾に後退したあと、予選2位からスタートしたトレイシーがトップとなり、その後71周ものリードラップを築き見事開幕戦ウイナーとなった。今シーズン、プレイヤーズ・フォーサイス・レーシングから参戦するトレイシーだが、新しいチームで早速優勝。今後の展開も楽しみだ。参戦13年目に20勝目を記録したトレイシーが、この調子で念願のチャンピオン獲得となるか?
レイナード勢で予選トップとなる6位からスタートしたルーキーのハバーフェルド。安定した走りで表彰台目前となる4位で開幕戦を終えた。昨年までIRLにエントリーしていたチームは今シーズンからCARTに移行。ストリートコースも得意なようだが、それもそのはず、もとCARTドライバーがチームオーナーだったりする。久しぶりのCARTのレースは楽しかったかな?
ピットとメインストレートの間、通称“アイランド”がクリーブランド同様、かなり広い。表彰台もこのアイランドに設置し、ピット側にあるスタンドの観客に見えやすいような配慮をしている。レース中はメインストレートがよく見えるように、骨組みだけの設置にしておき、レースが残り5周となったところで大勢のスタッフが表彰台のところにあつまると、終わった瞬間、いっきに表彰台のセッティングをはじめた。そこへトラックも到着し、100人以上のカメラマンがいっせいに上がったが、スタンドの観客から“見えない”と大ブーイング。ビール瓶(もちろんプラスチック)が何本も投げ込まれ、トラックはすぐに撤去された。
4周目、タグリアーニのクラッシュから始まり、レースは計5回のイエローコーションが発生した。初開催地、そして初参戦するチームやドライバーが多かったことや、開幕戦というシチュエーションを考えれば、5回のコーションは妥当かも。ベテランチームのウォーカーは、2人のルーキードライバーが参戦したが、ラビンはクラッシュでリタイア。マニングはピットアウトの際に2速目にギアが入らず、エンジンストールしてしまうというトラブルを何度も繰り返すと、結局コースに戻ることができず無念のリタイアとなった。
レース序盤の30周をリードしたルーキーのボウデイ。途中、2位に11秒以上の差をつける独走だった。しかし、最初のピットストップ後、温まっていないグリップ力のないタイヤで走行していたボウデイは、コントロールを失いタイヤホイールをコンクリートウォールにヒットするミスを犯す。このアクシデントでスロー・パンクチャーとなり、タイヤ交換のために再びピットインを余儀なくされ、最後尾まで順位を落としてしまう。この週末でボウデイの速さは証明され、優勝を期待されていたが、やはりレースは何が起こるかわからない。ルーキーならではのミスだが、優勝する日はそれほど遠くないともいえる。
快晴となった決勝日。午後1時にグリーンフラッグが振られると、ポールポジションのボウデイを先頭にターン1にマシンがなだれ込む。トップグループはターン1から始まるシケインをスムーズに通過するが、6番手スタートのハバーフェルドと7番手スタートのジュンケイラはターン1のコーナーをオーバーラン。順位変動はなかったものの、ハバーフェルドがジュンケイラをブロックしたと指摘され、オフィシャルから警告を受けていた。
予選22位からスタートしたレーサー鹿島は、上位陣がアクシデントで鮮烈を離れる中、粘り強い走りで15位フィニッシュ。終盤雨となったレースだったが、最後まで無事に走りきった。下の写真はミニ・アンサーことアルフレッド・アンサー。現在IRLに参戦しているアル・アンサーJr.の息子で、プロシリーズのデビュー戦を予選19位からスタートし、11位までポジションを上げてフィニッシュ。
今年で13シーズン目を迎えた人気者、トレイシーのファン御一行。フェンスの外から何度も「ポール!」と叫んでいたが、肝心のトレイシーは予選2位にはいったためにプレスコンファレンスへ。終盤になって今にも雨が降りそうな天気だったが、今日も大勢の観客がコースに訪れていた。