CHAMP CAR

チャンプ・カー・ワールド・シリーズ 第1戦 セント・ピーターズバーグ【プレビュー】

<US-RACING>
BRIDGESTONE PRESENTS THE CHAMP CAR WORLD SERIES POWERED BY FORD
Round 1

ブリジストン・プレゼンツ・ザ・チャンプカー・ワールド・シリーズ・パワード・バイ・フォード
第1戦

Streets of Downtown St.Petersburg
セント・ピーターズバーグ・ダウンタウン市街地コース

■開催地:フロリダ州セント・ピーターズバーグ
■レース・トラック:セント・ピーターズバーグ・ダウンタウン市街地コース
■コース全長:1.806マイル(2.889キロ)
■決勝レース:105周
■昨年のウイナー:初開催
■昨年のポールシッター:初開催
■コース・レコード:初開催

●空港滑走路と市街地をミックスした新コースで開幕
ブリヂストンとフォードのパートナーシップを得て、新しいスタートをきるチャンプカー・ワールド・シリーズの開幕戦がセント・ピーターズバーグで開催を迎える。これまでの2年間はメキシコのモンテレイでオープニングを迎えていたが、今年はフロリダ州セント・ピーターズバーグに移動。フロリダ州では1995年にマイアミ・ダウンタウンのストリート・コースで開幕戦が行われ、その後2000年まではホームステッド‐マイアミ・スピードウエイの1.5マイル・オーバルで5年間開幕戦が行われていた。

途絶えていたフロリダ州での開幕戦が、再び実現することとなった今シーズン。舞台となるダウンタウンのストリート・コースは全長2マイルで、一般道と空港の滑走路を使用する今までにないテンポラリー・コースだ。ダウンタウンにある海沿いのベイフロント・センター周辺の一般道路と、隣接するアルバート・ウイテッド空港の滑走路の一部を使用するとても興味深いレイアウトとなっている。

●ベテラン対ルーキーの熾烈な戦いに
CARTの旧体制による不手際で、一昨年のペンスキーに始まり、昨年いっぱいでチップ・ガナッシやチーム・グリーン、モー・ナン・レーシングといった有力チームが姿を消した今年。ドライバーもチャンピオンのクリスチアーノ・ダ・マッタがF1参戦を決め、クリスチャン・フィッティパルディはNASCARにチャレンジ。IRLに移行したマイケル・アンドレッティ、トニー・カナーン、ダリオ・フランキッティ、ケニー・ブラック、スコット・ディクソン、高木虎之介など、いっきに9人ものレギュラードライバーがいなくなってしまった。

もうダメかといわれていたCARTだが、クリス・プークをはじめとする新体制の懸命な努力により、5つの新チームとルーキー・ドライバーが9人増えて昨年を上回る19台がエントリー。その中で一番注目すべきは2002年のチャンピオンチーム、ニューマン/ハース・レーシングのルーキー・ドライバー、セバスチャン・ボウデイだ。2月4日から3日間行われたセブリング・インターナショナル・レースウェイでのスプリングトレーニングで、最終日に50.584秒をマークしたボウデイは堂々の総合トップを獲得し、関係者をあっといわせたばかり。

ボウデイは2002年のF3000で7回のポールポジションと3勝を挙げてチャンピオンを獲得しており、同じ7回のポールと4勝を挙げてチャンピオンとなったファン・モントーヤの再来とも言われている。昨年CARTシリーズで総合2位だったチームメイトのブルーノ・ジュンケイラも同じF3000チャンピオン(2000年に4勝して王座に)であり、先輩としては決して負けるわけにはいかない。今シーズンはニューマン/ハ―ス・レーシングのチームメイト同士も激しい戦いを繰り広げるのは必至だ。

多くのレギュラードライバーを失った今年のCARTだが、そのセブリングでは上位13台が1秒以内に入る結果となったことも注目したい。その13台の中にはレイナード最上位となる7位につけたダレン・マニング(全日本F3チャンピオン&マカオF3のウイナー)や、12位のライアン・ハンター‐レイ(昨年のアトランティックで3勝、ランキング6位)といったルーキーも入っており、彼らも要注目だ。実力が未知数のルーキーが多いだけに、正直いって昨年よりも全体的なレベルが下がるのは事実だが、今年はエンジンがワンメイクとなることから、今までにない面白さも期待できる。

●耐久性と信頼性を向上しながらパワーは変わらず
フォード・コスワースのスペック(統一規格)エンジンとなる今シーズン、CARTに参戦する全チームが昨年のXFを改良したXFEを使用。16000rpm以上回り、600マイルの走行距離が上限とされていたXFを、12000rpmまでにして1200マイルもたせるのがXFEだ。エンジンライフを長くすることで参戦経費を削減するのが狙いだが、パワーの方はそれでも750馬力は出ているといわれており、1月末のラグナ・セカでの合同テストではジュンケイラが69.172秒を記録。昨年ダ・マッタが予選で記録したポールタイム、69.473秒をすでに凌いでいる。

そのカギはブースト圧であり、回転数は落ちたもののロードコースにおいて昨年までの34インチから41.5インチまでアップ。パワー的には昨年とほとんど違わないといえよう。注目すべきはそのドライブ・フィールであり、トレイシーは「90年代前半の頃のようなエンジンで、ターボがいきなり効くからピーキーでおもしろい」という。トラクションコントロールの廃止と相まって、ドライバーの差が確実に出るのはいうまでもなく、暴れるマシンを押さえつけて走るようなシーンが何度も見られるだろう。

昨年12月に、アメリカ人ドライバー育成プログラムであるラダー・システムにより、5人のアトランティック・ドライバー達がXFEエンジンを搭載するチャンプカーをドライブ。テスト走行で合計1210マイルもの距離をノートラブルで走破するなど、信頼性もアップしていることから、これまでのようなエンジントラブルでリタイアというようなシーンは少なくなるはずだ。一見、昨年のXFをそのまま使用しているかのような印象を受けるかもしれないが、その中身は75%も新しくなっているとコスワースのブルース・ウッドが語る。

●蓋を開ければレイナードが1/3もエントリー
今シーズンからローラのワンメイクになると予想されていたが、レイナードをウォーカー・レーシングと今シーズンから参入してきたアメリカン・スピリット・チーム・ヨハンソン、フィッティパルディ/ディングマン・レーシング、マイ‐ジャック・コンクエスト・レーシングの4チームが使用。台数からするとローラの13台に対し、レイナードは6台と3分の1を占めることになった。ローラは参加チームのコストダウンと競争レベルの一定化を図るため、昨年のB02/00シャシーのデザインに基本的な変更を行なっていない。レイナードも同様だ。

●いったい誰が勝つか解らないのは今年も同じ
9人のルーキーにとっては実戦でのピットストップも初めてとなることから、当面はベテラン勢のバトルが続くだろう。今後、レースのたびにボウデイやマニング、ハンター‐レイといった注目のルーキーがどう絡んでくるか。今シーズンの行方を探る上で、絶対に見逃せない開幕戦がもうすぐグリーンフラッグとなる。