CHAMP CAR

CARTチャンピオンシップ・シリーズ 第7戦 デトロイト【プラクティス1】レポート

<US-RACING>
■デトロイトの第1プラクティスで異常事態、ホンダとフォードが走行せず
 
今シーズン一番の寒さとなった前回のミルウォーキーとは打って変り、真夏日を思わせる気候となったデトロイトの初日。快晴となったものの早朝に降った雨のせいで蒸し暑く、歩くだけで汗が噴出すほどのコンディションとなる。プラクティスが始まろうとしていた午前9時30分の時点で気温は33度、路面温度は37度だ。

今年2度目のストリートコースでいったい誰が初日のトップになるか、注目の第1プラクティス。しかしこの直前に行われたサポート・シリーズのプラクティスで、エンジン故障が原因による清掃に時間を取られてしまい、本来のスタート時間から遅れること15分、9時45分になってやっとセッションが開始となった。

ところがいつものプラクティスとは異なり、コースに出て行くのはトヨタ・エンジンを搭載するマシンのみ。フォード陣営はマシンの中でドライバーが待機し、ホンダのドライバーは誰一人としてマシンに乗ろうとすらしていない。トヨタ・ドライバーだけが周回を重ねるという、異様な光景が展開する。

10時8分にジュンケイラがターン12のタイヤバリアに追突し、ここでレッドフラッグ。本人に問題は無く、オフィシャルの押しがけでエンジンがかかり、再びコースに復帰することができた。だがタイヤバリアを修復するために時間が取られ、10分間もセッションが中断してしまう。ジュンケイラに8分間のペナルティが科せられることになった。

このレッドフラッグ中、30分が経過した時点でのトップ3はルーキーのディクソン(79.051秒)、2位は同じパックウエストの先輩、グージェルミン(79.975秒)で、3位は約2秒差でジュンケイラ(81.237秒)がつけている。

さらに30分が経ち、1時間が過ぎても相変わらずコースはトヨタ勢のみ。順位は開幕戦の覇者ダ・マッタ(77.364秒)、2位はモレノ(77.378秒)、3位はフィッティパルディ(77.641秒)と続く。このままトヨタだけのセッションとなってしまうのか、心配されていた中で午前11時になってようやくフォード勢が走行を開始した。

だが、依然ホンダのドライバーはマシンに乗る気配が無く、セッションはそのまま11時15分に終了。トップ3はバッサー(76.305秒)、フィッティパルディ(76.486秒)、ダ・マッタ(76.537秒)と、フルにセッションを走ったトヨタ勢が占め、わずか15分だけのセッションとなってしまったフォード勢はカーパンティエの6位が最高という結果になった。

いっぽう、全員がノータイムとなってしまったホンダ勢。なぜこのような事態になったのか、その原因は今日の朝になってCARTから支給されたポップ・オフ・バルブにあった。従来のポップオフバルブの装着部分に3/4インチのスペーサー(約19ミリ)を取り付け、プレナムチャンバー内の気圧を測るセンサーの位置を変更する構造になっていたのだ。

これによってプレナムチャンバー内の構造が変わり、エンジンの特性が変わってしまうことを危惧したフォードとホンダは、十分な性能を発揮できないとしてCARTに提訴。CART側としては、6月12日(火曜日)に行われたミシガン・スピードウエイにおけるテストで全チーム(5チーム)に配っていたものだと主張したが、当日、ホンダはCARTから何の説明も無く配られたもので、まったくテストしていないものは付けられないと主張。尚且つ、これまで問題となっていたスーパースピードウエイにおけるスピード・ダウンという、安全を考慮した本来の目的から外れるとして、このスペーサーを外してテストを実施していた。

2日後、CARTはそのスペーサーが付いたポップオフバルブを今回のデトロイトでも使うことをオーナー達に伝え、初日となる金曜日の朝に突然支給。だがホンダは同様にテストをしていないものを実戦に投入することはできないという理由でチームに理解を求め、結局、誰一人として走ることは無かったというのが事の顛末だ。フォードにとっては地元のレースということもあり、大勢の関係者が集まっている中でまったく走らないわけにはいかないという事情で、15分だけ走行したのだった。

このまま午後のセッションもホンダとフォードは走らないのか、混沌としている状況のデトロイト。午後のプラクティスに関するレポートと、関係者のコメントはまた数時間後にアップする。