<US-RACING>
■カストロネベスがトップに立つも、午前中のトップタイムには届かず
好天に恵まれたツインリンクもてぎの気温はぐんぐん上昇し、午後のプラクティス開始時には気温が24度、路面温度は49度にまで達する。午前のプラクティスに比べるとトラクション面でやや不利なコンディションだ。さらに、ターン1のエイペックス付近では向かい風になる厳しい状況で、午後1時45分に90分間の走行は始まった。
グリーンフラッグが振られると同時にコースに出た中野信治は15周を一気に走ると、午前中のタイムを0.213秒上回る21秒652のタイムをマーク。プラクティス開始10分の時点で3位につけている。
スタートから14分が経過し、ホンダ・レイナードのカストロネベスがここまでのプラクティスで最速となる26.192秒をマーク。以下、2番手アンドレッティ26.371秒、3番手ブレックの26.493秒と続く。しかし依然、カナーンが記録した朝のトップタイムは誰も破ることができない。
2時25分、セッションも中盤へと入ったがトップは相変わらずカストロネベス。だが2位には朝のトップ、カナーンが上がり、アンドレッティは3位へと後退してしまう。午後もホンダ・レイナードが絶好調だ。その6分後、いくつかのチームから「タイヤが切れる」という報告が入ったため、コース上に破片などが無いか、コースのチェックが行われた。
いったんグリーンとなって走行が再開するも、2時49分に再びコース整備が必要と判断されてイエローフラッグ。トップは引き続きカストロネベスで、26.248秒のカナーンが2番手とここまでは一緒だったが、3番手に26.255秒のダ・マッタが食い込んできた。全員がインディライツ出身の若手ブラジル人ドライバー達である。
この日のプラクティスも終わりに近づいたセッション残り3分、前戦のナザレスの覇者ディクソンがターン3で失速。惰性でターン1まで走り、コース内側に止まった。このためコース処理に十分な時間がないと判断したオフィシャルは3時13分、プラクティスを2分残してチェッカードフラッグを振る。
気温の上昇と風の影響から、午前中にトップタイムをマークしたカナーンの26.142秒を更新するドライバーはセッションを通じて現れず、この日の総合ではカナーンがトップ。午後のトップだったカストロネベスは2位。総合の2位から8位までは、午後にタイムを更新したドライバーが占める。午前のセッションは0.5秒以内に8人だったが、午後は16人が入るなど、ポジション争いは僅差の勝負となってきた。
中野信治は午前中のタイムを0.337秒更新し、26.528秒をマークして13位。高木虎之介も0.576秒のタイプアップを果たして19位に入った。総合でも中野は13位、高木は19位と変わらず。中野は明日の予選に向けて建設的なセッションを送った様子。高木は課題を残したセッションだったようだ。
エンジン・マニュファクチャラー別ではホンダがワンツーを取り、トップ10圏内では6、9、10位と5台を送り込む。トヨタは上位進出に成功して3、4、8位、フォードは5、7位と午前に引き続きホンダの優勢ぶりが目立つ。シャシーに関しては、ホンダ以外は全員がローラだった朝とは変わり、フォード・レイナードの組み合わせのカーパンティエも5位に入る。ナザレスにおいて、決勝以外は劣勢だったレイナードだが、今回は調子がいい。トヨタはトップ10の3台すべてがローラだった。
今日の最高速度記録は、ブレックがターン3の手前で記録した230.474マイル(370.833キロ)! レギュレーションの変更(40インチから37インチへとブースト圧変更)によって、昨年に比べてパワーダウンしたはずのエンジンだったが、この第5戦にして昨年を上回るパワーが出ているようだ。コンディションにもよるが、各チームとも予選用のセットアップを煮詰める明日の朝のセッションは、更なるスピードアップが予想される。
■トニー・カナーンのコメント
「僕のクルマは去年のここでもいい状態だった。セットアップをあまり変える必要がなかったので、空力に少し手を加えるだけで最初から速く走れることはわかっていた。ホンダ・ドライバーの誰もがここで勝とうとしているから、プレッシャーはある。ホンダはいいエンジンを用意してくれたが、ホンダ・ドライバーは9人もいる。その中で勝利を得るのは大変だ」
■中野信治のコメント
「もてぎではチームメイトのエイドリアン・フェルナンデスがいい成績を残していることもあって、クルマのバランスはコンスタントだった。去年走っているのも大きい。今日は人の後ろにくっついて走ってドラフトの感じを確かめることに集中した。明日の予選に向けていいセッションになったと思う」
■高木虎之介のコメント
「レースカーとTカーを同じバランスで持ってきたはずなのに、レースカーのバランスが悪かったので主にTカーに乗って走った。それでも、ようやくバランスにまとまりがでてきたのがセッションの最後の1時間。もっともっと踏めるはずなので、明日は頑張りたい。クリスチャンの後ろでドラフトを確かめてみたが、他のサーキットよりは影響しないと思う」