開幕戦まで1週間となったロング・ビーチに行って来ました。ロング・ビーチ・グランプリといえば、その歴史と共に歩んできたといっても過言ではないのが、トヨタ・プロ/セレブリティ・レースです。毎年ハリウッドスターや音楽関係などの業界の有名人と、往年のベテランドライバー達を集めて開催されるこのイベントは、グランプリ・ウィークの花。開催回数も今年でちょうど30周年を記念します。これまでにエントリーしたドライバーの総数は、373名に達しました。
今回出走するドライバーで日本でもなじみの深い顔ぶれとしては、TVドラマシリーズ“24”のエージェント・カーティス役でおなじみのロジャー・クロス、“スター・トレック”のカーク船長役ウイリアム・シャットナー、“ザ・ロンゲスト・ヤード”、“ブラックホーク・ダウン”のウイリアム・フィッチナー、テニス界の女王マルチナ・ナブラチロワ、ヒップホップ・アーティストのXzibit(イグジビット)などなど、豪華なラインアップです。またプロフェッショナル・ドライバー部門では、昨年のセレブ部門のウイナー、パトリック・デンプシー(セレブでも過去の勝者はプロ部門からの出走となります)をはじめ、クラフツマン・トラック・シリーズのタッド・ボダインやデイビッド・ロイティマンなどがエントリーして、プロ/セレブ双方の総エントリー台数は21台。
今日はそのプラクティスが行われていたのですが、あいにく朝から雨が降ったりやんだり。でもクラッシュなどのアクシデントもなく、無事プラクティス走行を終了しました。使用マシンは1977年から続いてきたセリカGTに代わり、今年からトヨタ・サイオンtCとなります。この車種は日本では未発売ですね。エンジンは給排気系をTRD製のものと交換し、燃料はレーシング・ガソリン(100オクタン)を使用するものの、基本的には市販ベースで175馬力を発生します。クラッチとサスペンションもレース仕様に交換されて、ハードな走りに耐えるように改造されています。決勝レースはレース・ウィーク二日目の土曜日で、後日全米テレビ中継されます。ロング・ビーチ・グランプリが成功を収めてきたひとつの要素として、このようなハードコア・レースファン以外の人たちでも楽しめるイベントの存在が大きいのではないでしょうか。
サイオンtCのプラクティスの合間に、ペースカー・ライドも行われていて、順番を待てば誰でも乗せてくれるというので、僕も乗せてもらいました。実はこれまでドイツ・ラウジッツのスーパー・スピードウェイ・オーバル、バンクーバーの市街地コースと2度ペースカーに乗せてもらった経験がありますが、雨の日のテンポラリー・コースは初めてでした。路面はウエットだったのでスピードは普段よりも低いようでしたが、コーナーでは弱アンダー気味だったので、それなりに迫力もありましたね。
そのあとパドックで写真を撮っていたら、レーシングスーツに身を固めた、セバスチャン・ボウデイがいました。声をかけたら、どうやら二人乗りチャンプカーをドライブするためにスタンバッているとか。ただし少しでも路面がウエットだと、クラッシュした際の責務の関係で走れないそうです。「つい先日までフロリダにいたんだ。向こうは暑かったけれど、LAはまだ涼しいね」と言っていました。このあとはフォンタナでの合同テストに入るそうです。彼はデイトナ24時間ではリタイアに終わってしまったものの、セブリングの12時間では見事クラス優勝でした。どうやら今年も3年連続チャンピオンに一番近いところにいるのかもしれませんね。