Motegi Special

▼All Races Review あの時の興奮をもう一度!・・・2007年





All Races Review あの時の興奮をもう一度!・・・2007年








IRLインディカー・シリーズ第3戦
ブリヂストン・インディ・ジャパン300 4月19日〜21日






2007年、アメリカン・オープン・ホイールの最高峰がもてぎに上陸し、記念すべき10回目のレースを迎えた。2006年は雨に祟られ、プラクティスと予選がキャンセルされたが、この週末は3日間とも天候が良好。昨年のウイナー、エリオ・カストロネベスは今年も絶好調で、2年連続ポール・ポジションからスタートすることになった。





果たして10年目のレースはどのような結末となるのか、グリーン・フラッグが振られ、戦いの火蓋が切って落とされた。ポール・ポジションを獲得したエリオ・カストロネベスが抜群のダッシュを見せ、ターン1へ飛び込むが、直後のターン2でいきなり日本人ドライバーの松浦孝亮がクラッシュし、早くもこの日最初のコーションが発生する。地元ドライバーの早過ぎるリタイアに、観客から悲鳴にも似たどよめきが聞こえた。松浦のマシンの回収作業が終わった10周目にレースは再開され、カストロネベスが一気に2番手以下を突き放しにかかる。32周目に発生した2回目のコーションを利用して、ほぼ全車が1回目のピット・ストップを行い、ここでもカストロネベスはトップをキープするものの、38周目にリスタートが切られると、突然ペースが落ち込んでしまう。





変わってトップに立ったのは、2004年と2005年にもてぎを連覇しているウエルドン。序盤のカストロネベスのようにハイペースでレースをリードし、2番手には燃費作戦を敷くトニー・カナーンが続く。レースは終盤に向ってこの2人の一騎打ちになりかけた135周目、マルコ・アンドレッティのクラッシュによってレース展開が微妙に変わる。依然としてトップ2の優位は変わらないものの、このコーションを利用してピットに入ったダリオ・フランキッティ、カストロネベス、サム・ホーニッシュJr.、スコット・ディクソンに、燃費作戦を用いた逆転優勝の可能性が出てきた。





ピット・インを選ばなかったウエルドンとカナーンは、レースが再開されてからも激しいバトルを繰り広げる。トップはウエルドンと変わらないが、スピードを保ちつつ燃料をセーブするカナーンが徐々に優位に立ち、ウエルドンが186周目にピット・インすると、チャンスと見たカナーンはここで一気にスパートを掛けた。カナーンはウエルドンの4周後にピットインすると、ついに逆転に成功する。しかしレースはまだ終わらない。





残り10周でトップに立ったのは、135周目に発生したコーションを利用してピット・インしたホーニッシュJr.。もう一度コーションが発生すれば、このまま優勝を勝ち取れるため、観客の視線はホーニッシュJr.に集まる。だが、結局コーションは発生することなく、ホーニッシュJr.は残り5周で力尽きてピットへ向かった。ようやくリーダーの座を取り戻したカナーン。レース序盤の燃費作戦が功を奏し、まんまとウエルドンを出し抜いた。最後はペースをコントロールし、0.4828秒までウエルドンを引き付けてのチェッカー・フラッグ。挑戦10年目にして念願のもてぎ初勝利を手に入れた。





10年前はオーバルという言葉すら知らない人が多勢だったが、年に1度行われるもてぎのレースによって確実にオーバル・レースが浸透し、2007年は前年の最高記録をさらに更新する7万8500人が観戦。ただ一人10年連続で出場するトニー・カナーンが優勝という結末は、記念すべきレースに相応しい結果となった。


●(16kb-pdf) IRLインディ・カー・シリーズ第3戦 ブリヂストン・インディ・ジャパン300決勝結果





■トニー・カナーン(優勝)
「スタート直後のハンドリングは良くなかったけれど、レースが進めば路面が良くなって行き、自分たちのマシンに合ったコンディションになるものと確信していた。辛抱強く走ることが勝つために求められるレースになっており、そうすることができたからこそ僕らは優勝できたんだと思う。去年から1.5マイル・オーバルではチーム・ペンスキーとターゲット・チップ・ガナッシ・レーシングが非常に強かったけれど、ツインリンクもてぎでは僕らが優勝できた。冬の間にチームが頑張って開発を進め、それが実ったという点から、本当に嬉しい勝利となった」





■ダン・ウェルドン(決勝2位)
「レース序盤にして無線が通じないトラブルが発生した。それによって燃費に関して慎重な作戦を取らざるを得ず、不利な戦いを強いられていた面はあった。しかし、それだけが今日の僕らの敗因ではなかったと思う。今日のレースでは僕らも速かったけれど、トニー・カナーン、そしてアンドレッティ・グリーン・レーシングが最強だった。彼らを倒すだけの力が僕らにはなかったし、そもそもトラブルは自分たちのミスによって生まれたものなのだ」





■ダリオ・フランキッティ(決勝3位)

「トニー・カナーンとダン・ウェルドンに匹敵するスピードが僕らにはあった。しかし、僕ら3人はほぼ互角で、コース上でのバトルで彼らをパスできるかは疑問だった。そこで最後のフルコースコーションでギャンブル的な作戦を採ることにしたんだ。燃費を稼ぎ、みんなより1回少ないピットストップでゴールまで走り切ることにした。僕らの作戦は優勝には結びつかなかったが、結果的に3位でゴールすることができた。良いギャンブルだったと思う」