第4戦の舞台となるアラバマのバーバー・モータースポーツ・パークで行われた新エアロキットによるオープン・テスト。二日間を通してトップ・タイムをマークしたのは昨年のチャンピオン、ウィル・パワー(シボレー)でした。2011年から2連勝し、3度ポール(2010、2011、2014年)を獲得しているパワーは、第3プラクティスで1分7秒3118をマーク。昨年自身が記録したポール・タイム、1分8秒3120から約1秒も短縮したことになります。(Photo by: INDYCAR Chris Jones)
「エアロキットがたくさんのダウンフォースを作りだしてグリップが増したから、クルマはどこででも速くなった。(今年は)ほとんどのレースでコースレコードが破られると予想しているよ」とパワー。「チームは(開幕戦)セント・ピーターズバーグと、ここのレースに戻ってくる時(4月26日)に向けて、手ごたえを得ることができたと思う」(Photo by: INDYCAR Chris Owens)
総合2位はこのバーバーでコース・レコード(1分6秒7750)を持つスコット・ディクソンで、第4プラクティスでトップだったものの0.0878秒及びませんでした。過去5回のレースで2010年から4年連続で2位に入り、昨年は3位だったディクソン。今回のテストでもトップを逃しましたが、レースでは今度こそ優勝したいところでしょう。(Photo by: INDYCAR Chris Owens)
昨年と一昨年のチャンピオンがワンツーで並び、ペンスキーとガナッシが名門の力を見せつけたその後ろ、3位にはKVレーシングのルーキーであるステファノ・コレッティが入りました。GP2で通算8勝した彼はノーラですでにインディカーを体験しているとはいえ、初めてのバーバーで、しかもチームメートであるセバスチャン・ブルデイを上回ったのは特筆すべきことと言えます。(Photo by: INDYCAR Chris Owens)
これまでのインディカーに共通するオーソドックスなデザインをベースにするシボレー勢に対し、現在のF1にも見られる最先端のアプローチを取り入れてきたホンダのベストは7位、トップ10に2台が入るのみとなりました。昨年不振に喘いだレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングのグラハム・レイホールがホンダの最上位です。(Photo by: INDYCAR Chris Jones)
初日17位だった佐藤琢磨は、第3プラクティスで18位に留まるも、第4プラクティスでは終盤に入って一時3番手までジャンプアップ。最後はシボレー勢に先行されましたが、ホンダのエアロキット開発の中心だったアンドレッティ・オートスポーツ勢を上回り、ホンダの中では2番目となる1分7秒6638をマークしました。このセッションではトップから0.2229秒差の7位、最終的に総合10位でバーバーのテストを終えています。(Photo by: INDYCAR Chris Owens)
「ニューオリンズからの3日間で非常に多くのことを吸収できて、最終的にはクルマもかなりまとまった領域までセットアップを進めることができたので、僕としては満足できていますし、手ごたえもつかみました」と笑顔を見せた琢磨。新しいエアロキットに関しては、「まるで別のクルマになったという感じです。昨年まではスペックシリーズという特性からメカニカル・グリップに頼ったクルマ作りだったのですが、新しいエアロパッケージになって、全然そのセットアップが通用しなかったです。3日目にしてようやく理解度が深まった感じですね。2台体制になったこともよく、1台ではここまでできなかったと思います」と語っており、充実したテストになったようです。(Photo by: INDYCAR Chris Jones)
シボレーが上位を独占する圧倒的な速さを見せたものの、全23台中21台が0.9539秒以内に入る結果となり、昨年までのワンメイク時代とそれほど変わらない接戦が維持されています。昨年のパワーのポール・タイムを上回ったのは本人だけでなく、この21人がすべてブレイクしたので、全体には相当なスピードアップが実現したと言えるでしょう。佐藤琢磨のコメントから解るのは、ホンダ勢はこの3日間でやっと慣れてきた感じであり、メカニカル・グリップが重要な次のセブリング・テストでは、上回る可能性も十分にあると思いました。(斉藤和記)(Photo by: INDYCAR Chris Jones)
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●ホンダのエアロキットをドライブするヒンチクリフのオンボード映像