ヒート・レースによる2年目の予選は、今年から最初に1周ずつ(インディ500以外のオーバルは通常2周の平均)のシングル・カー・クォリファイ(SCQ)を行って3つのグループにわけ、それぞれ50周のヒート・レースで行われました(方式に関してはこちらのイラストを)。ミジェットやスプリントカーといった伝統のオーバル・レースと同様のシステムです。この写真は第3ヒート・レースのスタートで、SCQの上位6台に第1、第2ヒート・レースの1位と2位が入り、計10台によって争われました。
SCQで185.687mphのトップ・スピードをマークし、第3ヒート・レースをポールからスタートしたエリオ・カストロネベスが完璧に50周を走り切って優勝。2012年のアラバマ以来となる今季初ポールに輝き、9ポイントのボーナスを獲得してポイントリーダーの座をしっかりと堅持しています。通算では実に38回目となるのですが、エンジン交換のペナルティにより、レースは11番グリッドからスタートします。
「最高だよ、今日勝ったから明日はレースしなくてもいいんでしょ?」といつものジョークを飛ばすカストロネベス。「チャンピオンシップを争っている中で、このポイントはとても重要だよね。日立のクルーは素晴らしい仕事をしてくれた」。日立のクルーといっても別に日立の人たちがいるわけではないんですけど、いつもその時々のスポンサー名を入れて、今回の場合は「The Hitachi boys」って呼んでます。「今日のレースからだいぶ学ぶことができたよ」と語るカストロネベス。「明日のレースはもっと渋滞した中でスタートするから、まったく違う展開になると思う」
予選2位はカストロネベスのチームメート、ウィル・パワーでした。レースはポールからのスタートとなります。前回のミルウォーキーの記者会見で、今スランプにあることを認めたパワー。「今年は何が違うのか、これまでのことをスタッフとじっくりと見直しているところだよ」というパワー。オーバルで初ポールを獲得したここで、今季初優勝といきたいところですね。
過去6戦中4回も優勝しているアンドレッティ・オートスポーツは、ジェイムズ・ヒンチクリフが最上位となる予選3位を得ました。昨年ここで優勝しているチームメート、前回のミルウォーキー・ウィナーのライアン・ハンター-レイは今回予選14位。2011年にここで勝利したマルコ・アンドレッティは、予選4位から今季初優勝を狙います。
シボレー勢が今回も好調で、トップ4を独占。ホンダ勢の最上位はスコット・ディクソンで、第1ヒート・レースを制してこの順位にたどり着きました。しかし残念ながら彼もエンジン交換のペナルティで、15番手スタートとなります。
第1プラクティスで178.786mphを記録し、19番手だった佐藤琢磨はそのセッションの終盤にエンジンが壊れて急きょ交換。予選シミュレーションができなくなったものの、SCQでは10位となる182.384mphをマークしました。上の写真のとおり、第1レースで2番手フロントローからスタートした琢磨は、そのまま2位をキープしてフィニッシュ。第3ヒート・レースへと駒を進め、最後尾の10番手から7位まで追い上げてゴールしたのですが、エンジン交換により17番手からのスタートとなります。
「最後に予選のシミュレーションをやりたかったのですが、内部のパーツが壊れてしまい、できなくなりました」とプラクティスの状況を語った琢磨。「最初の予選は1周だけだったのでシビレましたね。でも、シミュレーションをしていない割には、まずまずだったかと思います。最初のヒート・レースはフロントローだったので、楽でした。第3ヒートレースは、やはり上位勢のペースが速く、先に行かれてしまって、もう少しスピードが欲しいですね。バランス的にはよくなっているのですが…」と琢磨。上の写真はプラクティスでトップだった元チームメートのカナーンと予選中に話しているところですが、違うチームでエンジンも違うというのに、今回も堂々と情報交換してましたよ。
たぶん、今年一番の暑さとなった初日。31.7度と気温も高いのですが、湿度がけっこうありました。最近オーバルのレースは観客が少なくなっていますが、ここはけっこうお客さんが入ります。今年から土曜日のナイトレースではなく日中のレースとなりましたが、今回はアメリカの3大ネットワークABCで放送されるからだそうで、スポンサーもそのほうが嬉しいようです。日本では少しきつい時間ですが、今年のショートオーバルはこれが最後なので、ぜひ楽しんでください!
●スターティング・グリッド
●予選ヒート・レース・ハイライト映像
●シングルカー・クォリファイ・ハイライト映像
●第1プラクティス・リザルト
●第1プラクティス・ハイライト映像