2013年開幕戦セント・ピーターズバーグのポール・ポジションは、またもW.パワーでした。最後のラウンドで記録した1分1秒2070が今回のタイムです。佐藤琢磨が第3プラクティスでトップに立ち、ひょっとしたらという期待が高まったのですが、ほんとニクいぐらい速いですね。ライブタイミングを見ながら「くやしー」って叫んだファンも多かったのではないでしょうか。ここでは実に4年連続のPPで、通算ではD.フランキッティを抜いて30回目(歴代8位)となりましたよ。すごいですねー。
彼がインタビューに答えていたのを聞きながら写真を撮っていたのですが、「今までAJのチームが最後まで残るなんて、あまりなかったよね。AJだよ。今年はすごいことが起きてる」と少し興奮ぎみのパワーでした。新たなライバル登場って感じでしょうね。「すごくタイトな予選になると思ってたけど、新しいタイヤになって新しいドライバー達がやってきたんだ。シモーナがきたのはすごくクールだし、佐藤が速いのはみんな知ってる。みんなの期待どおりになったね。明日は天気しだいになると思うけど、長いレースでスマートに戦いたい」
パワーに0.3706秒届かず、予選2位となったのが佐藤琢磨でした。ほんと、惜しかったですが3ラウンドとも興奮しっぱなしの予選は久しぶりですよね。昨年の予選ベストはエドモントンの4位(スタートはひとつ繰り上がって3番手)で、フロントローからスタートするのはその前年のエドモントンのポール以来となります。ホンダ勢の中ではもちろんトップで、エンジン・バトルも面白くしてくれそう。
予選後、琢磨がマシンから降りるとスタンドから大きな拍手と歓声が沸き起こりました。写真はAJの息子でチーム・ディレクターのラリー・フォイトですが、琢磨を選んだのは彼だったので、さぞうれしかったでしょうね。クルーからも次々に祝福され、すごくいい雰囲気でした。HPDのスタッフもうれしそうでしたよ。あれ、ガナッシはどこかな?
「新しいチームにきて、新しいシーズンのスタートで、ほんとうにうれしいです」と開口一番に語った琢磨。「冬の間に速さを見せてきましたけど、実戦で証明できたのは良かったです。チームの働きもすばらしかったし、ほんとうにいいスタートだったと思います。予選に向けて3回のセッションで順調にクルマを作りあげることができ、第3プラクティスではニュータイヤを履いてパフォーマンスの確認をしました。予選はレッドなのでどうなるかと思ったのですが、マシンのバランスは良かったですね。ポールを獲れなかったのは悔しいですが、各ラウンドを攻め抜いての結果なので、まずは最高の滑り出しだと思っています」
今回のうれしいサプライズはもうひとつ、予選3位に入ったシモーナです。昨年エンジンで散々苦労していただけに、本人もうれしそう。琢磨とは0.1894秒差でした。彼女を応援に来ていたファンや、女性のお客さんから熱烈な声援を受けていましたね。「すごく良かった!今週末は全体的にとてもうまくいっていて、我々が欲しかった結果になって最高よね。この機会を与えてくれたKVレーシングに感謝しています。ウィルや佐藤がいつもいるところに行けてよかったし、彼らとのレースが楽しみ」
シモーナの隣はJ.ヒンチクリフで、わずか0.0559秒差しかありませんでした。「今年初めてレッド・タイヤを使うわけで、ビッグ・チャレンジだよね。テストも一切できないから、誰もわかんない」と語っていたヒンチ。チームメートのチャンピオン、R.ハンター-レイはファイナル6に入れず、8番グリッドからのスタートとなります。
ここで3勝しているH.カストロネベスは最終ラウンドで早目にコースインしたのですが、作戦が裏目に出たのか、最終的に5位となりました。「不運にもミスしてしまったよ。去年勝ったときも予選5位だったし、同じポジションでフィニッシュしたいよね」と語ったエリオ、今年もウェルドン・ウェイの看板があるフェンスに上れるでしょうか?
もうひとつ、びっくりしたのがルーキーのT.ボーティエで、最終ラウンドまで残ったのは立派。昨年のインディ・ライツ・チャンピオンでもある彼は、この2年のインディ・ライツとスターマツダのレースで優勝しています。インディカーでも優勝すれば、毎年ステップアップするたびに勝つことになりますよ。
心配されていた雷雨になることもなく、予選は最後までドライのまま終わってくれました。気温は25.6度とそれほどでもないですが、少し蒸し暑かったので、歩くとすぐ汗が噴出してきます。カメラマン復帰の最初のレースで琢磨が最終ラウンドまで行き、残念ながらポールのシーンは撮れませんでしたが、みんなが喜んでいるところを撮れたのはラッキーでした。後からどっと体にきましたけど、ほんと心地よい疲れですよね。決勝も楽しみです!
●予選リザルト